(46)固定資産税の家屋とはどういうものか

 今回は、順番が逆になりましたが、そもそも「固定資産税の家屋とはどういうものか」です。
 その前に、家屋の税金としての歴史を簡単に見ていきます。

固定資産税家屋の歴史

 固定資産税としての家屋は、昭和24年にシャウプ勧告が出されて、昭和25年に地方税法が制定され、そこで市町村税として土地、償却資産とともにスタートしました。
 それ以前は、明治15年に家屋税が大府県(東京、大阪、京都、神奈川)に対して創設され、明治21年にこれらの府県の市町村に家屋税付加税が、その後明治23年に全国で課税されるに至っています。
 このように、現在の税としての家屋は、土地(地租)、償却資産(船税、電柱税、軌道税)に対する課税とともに、長い歴史を有しています。

固定資産税家屋の定義

 そこで、固定資産税の家屋とは何かということですが、地方税法341条に次のとおり規定されています。

※地方税法341条第3号(固定資産税に関する用語の意義)
「家屋とは、住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含む。)、倉庫その他の建物をいう。」

 この用語の定義は、地方税法創設から一貫して変わっていませんが、これは単に種類を列挙して間接的に定義しているにすぎません。
 では、具体的に固定資産税の家屋とは何かということですが、不動産登記法における建物と意義を同じくする、とされています。次の「地方税法の施行に関する取扱について(市町村税関係)」は総務省の通知ですが、次のとおり説明されています。

※地方税法の施行に関する取扱について(市町村税関係)
「 家屋とは不動産登記法の建物とその意義を同じくするものであり、したがって登記簿に登記されるべき建物をいうものであること。」

 そこで、次から不動産登記法上の建物についてみていきます。

不動産登記法の建物とは

 不動産登記法の建物は、不動産登記規則(113条)で12種類、不動産登記事務取扱手続準則(80条)で25種類、併せて37種類が規定されています。ただし、これにより難い場合には、建物の用途により適当に定めるものとする、とされています。

※不動産登記法の37種類の建物
・ 居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所(不動産登記規則:12種類)
・ 校舎,講堂,研究所,病院,診療所,集会所,公会堂,停車場,劇場,映画館,遊技場,競技場,野球場,競馬場,公衆浴場,火葬場,守衛所,茶室,温室,蚕室,物置,便所,鶏舎,酪農舎,給油所(不動産登記事務取扱手続準則:25種類)

固定資産税の家屋とは(家屋の意義)

 固定資産税の課税客体となる家屋の認定に当たっては、次の(1)から(5)の要件が必要とされます。

(1)屋根を有すること

 屋根は、雨露をしのぐために必要不可欠です。不動産登記規則111条では

「屋根及び周壁又はこれらに類するものを有すること」(外気分断性)

とあります。
 ただし、高架下の建造物については、家屋として評価すべき屋根はないが、屋根に相当する構築物があるため家屋として取り扱われます。

(2)周壁を有すること

 家屋は、周壁により内側に一定の利用空間が発生し、外気分断性有りと判断されます。
 ただし、周壁については、厳密な意昧での外気との分断がされていなくても、建造物の使用目的、利用状況等を考慮して外気分断性があると判断される場合もあります。例えば、駐車場では外周壁が腰壁程度しかないものが見受けられますが、外気分断性があると認められます。

(3)土地に定着した建造物であること(土地への定着性)

 土地への定着性の判定は、基礎工事や付帯設備の状況により、土地への物理的な結合状態を判断基準とします。ただし、この建物の規模、構造、耐久性、使用目的、利用状況等をも総合的に考慮し、継続的な土地への定着性を有するか否かにより判断されます。

(4)家屋本来の用途に供しうること(用途性)

 家屋本来の目的は、その空間を居住、作業、貯蔵、営業、保管等の用途に供しうるもの(人貨滞留性)でなくてはなりません。

(5)恒久性を有すること

 不動産登記法準則第77条に「半永久的な建造物と認められるものに限る」とあるように、家屋は、恒久性を有することが必要です。
 なお、特殊な構造等のものについては、個々の利用状況等も考慮して判断することになります。

(※)賦課期日に完成していること

 これは家屋の意義とは異なりますが、建築中の建物がどの程度まで完成していれば家屋の課税対象となるかについては、昭和59年の最高裁判決により「固定資産税の性質目的及び地方税法の規定の仕方からすれば、新築の家屋は、一連の新築家屋が完了したときに、固定資産税の課税客体となる」とされ、1月1日現在で(完全に)完成した建物となります。
 となると、新築建物は12月に完成させるよりも、次の年の1月に完成させた方が1年課税を遅らせることができるということになります。

(45)家屋評価の簡素化の検討

今回は、「家屋評価の簡素化の検討」です。

 43号と44号で、固定資産家屋の評価は、固定資産評価基準によって再建築価格方式により行われていると書きました。

 この再建築方式は、評価対象家屋と同一のものを評価の時点で、その場所において新たに建築とするものとした場合に必要とされる建築費(再建築費)を算出することを基礎として、その評価額を求める方式です。

再建築価格方式が見直される理由

 再建築価格方式に基づく評価方法は、固定資産税における適正で均衡の確保された家屋の評価額として、最高裁の判例等においても、その合理性が認められています。

 ところが、前号でも指摘したとおり、建築費を積算する手法であることから、市町村の評価事務も相当複雑煩瑣なものとなり、評価誤りの一因ともなっています。

 ところで、再建築方式は固定資産評価基準により、木造、非木造ともに次の3つの方法が規定されています。

①部分別評価方法

 部分別評価方法は、再建築価格方式の本来的な方法ですが、評価担当者の相当数の確保や建築構法と建築資材等に関する知識、評価実務経験を得るための相応の期間が必要不可欠となります。

 ところが一方では、市町村職員の人事異動のサイクルが短くなる傾向にあり、この部分別評価方法の習得環境が厳しくなっています。

②比準評価方法

 比準評価方法は、上記の部分別評価方法の煩雑さを軽減し、評価事務の簡素化を図る目的として固定資産評価基準で位置づけられました。

 この方法は、市町村で標準家屋を設定して、新築家屋をこの標準家屋の部分別建築費表点数に比準して求める方法ですが、新築家屋(主に木造)の件数が比較的多い大きな都市ではかなり採用されているものの、比較的規模の小さな市町村では採用されていないという傾向があります。

③在来分評価方法

 この在来分評価方法は、既に算出されている前評価基準による再建築費表点数に対し、資材費等の価格の変動割合を基礎として定められた再建築費評点補正率を乗じることにより、基準年度の再建築費表点数を求める方法(いわゆる既存家屋の評価方法)で、固定資産評価基準でも規定されています。また、平成15年度基準から、国が再建築費評点補正率を定める方法にされたことにより、在来家屋(既存家屋)の評価の簡素化に繋がっています。

過去に検討された家屋評価方法

 これまでも、財団法人資産評価システム研究センターを通じて、地方公共団体職員を委員とする「家屋の新たな評価方法検討委員会」において、家屋評価の簡素化の検討がされてきています。

 その検討内容は、①再建築価格方式、②㎡単価方式、③広域比準評価方式の3方法になります。

 検討に当たっては、新たな評価方法が「シンプルであること」「客観的であること」「メンテナンスが容易であること」「公平性を欠かないこと」を条件として比較検討されてきましたが、その結果②の㎡単価方式が最も望ましいとの判断がなされ、議論されてきました。

 では、㎡単価方式とはどのようなものでしょうか。

㎡単価方式の基本構造

 ㎡単価方式は、「基準家屋の延べ床面積1㎡当たりの再建築表点数を再建築価格基準単価とし、これに補正率及び評価対象家屋の延べ床面積を乗ずることにより当該評価対象家屋の再建築費表点数を求める方式」です。

 これを計算式で示しますと次のようになります。

 再建築価格基礎単価×補正率×計算単位(延べ床面積)=再建築表点数

 しかし、この㎡単価方式も未だに家屋評価の方式として採用されてはおりません。

 前号でも記したとおり、家屋の評価は土地と比較しても相当な複雑な仕組みとなっており、市町村の職員への負担と、納税者にはなかなか見抜けない評価誤りの原因ともなっているのです。

(44)家屋評価(再建築価格方式)の複雑さと課税誤り(その2)

 前号(43号)の「家屋評価(再建築価格方式)の複雑さと課税誤り(その1)」では、固定資産税家屋の評価が再建築価格方式であり、合理的で公平な方式ではあるが複雑煩瑣な仕組みで、課税誤りの原因の一つともなっていると指摘しました。
 なにしろ固定資産評価基準(家屋)の別表だけでも200ページ(A4版)を超える分量ですし、その上、各市町村では「固定資産評価事務要領」(市町村により名称は異なる)に膨大な基準が定められています。
 今回は、「家屋評価の仕組み」で記した、時の経過によって生ずる損耗の状況による減点補正の仕組みを説明します。

経年減価の基準=経年減点補正率基準表

 家屋は時の経過とともに損耗が生じるため、固定資産評価基準による経年減点補正率基準表に基づき、3年に一度の基準年度ごとに評価替えを行い評価額が減額されます。
 ただし、次の場合は減額とはなりません。
①基準年度単位での物価上昇率が減価率を上回る場合は「据置」となります。
②評価割合(残価率)が20%になると、それより評価額は低くはならず、家屋が存在する限り20%の評価・課税となります(以下「最終残価率」)。
 家屋の損耗の状況による減点補正は、新築後の年数の経過に応じて生ずる通常の減価ですが、固定資産評価基準では、この他に積雪寒冷地域に存する家屋の積雪寒冷地域の補正や天災、火災その他の事由により通常以上の損耗が生じている場合の損耗残価率も定められています。

<木造家屋の経年減点補正率基準表>
 木造家屋の経年減点補正率基準表は、次の9種類に分類されています。
①専用住宅、共同住宅、寄宿舎及び併用住宅用建物
②農家住宅用建物
③ホテル、旅館及び料亭用建物
④事務所、銀行及び店舗用建物
⑤劇場及び病院用建物
⑥公衆浴場用建物
⑦工場及び倉庫用建物
⑧土蔵用建物
⑨附属家

「木造家屋経年減点補正率基準表(専用住宅、共同住宅等)」

<非木造家屋の経年減点補正率基準表>
 非木造家屋の経年減点補正率基準表は次の8種類に分類されています。
①事務所、銀行用建物及び②~⑧以外の建物
②住宅、アパート用建物
③店舗及び病院用建物
④百貨店、劇場及び娯楽場用建物
⑤ホテル及び旅館用建物
⑥市場用建物
⑦公衆浴場建物
⑧工場、倉庫、発電所、変電所、停車場及び車庫用建物

「非木造家屋経年減点補正表(事務所、銀行用建物等)」

 上記の木造、非木造ともに次の最終残価率20%まで、基本的に経年減点補正が行われますが、木造及び非木造の住宅・アパート用建物のみ初期減価が行われます。初期減価は新築後1年目に0.8(つまり20%減価)されるということです。

固定資産税特有の最終残価率20%

 上記のとおり、固定資産税評価は時の経過とともに価値が減少していきますが、固定資産税評価においては、最終的に価値はゼロとはならず、20%の価値が残り続けます。
 この最終残価率20%の制度は、「年数の経過に伴って家屋の価値は減少していくが、通常の維持補修を行い家屋として効用を発揮している家屋であれば、家屋の持つ使用価値はゼロにはならず、最低限の価値は保たれる。」と従来から説明されています。
 つまり、家屋の固定資産税は、何年経過しても家屋を使用(保有)している限りは最低限20%の評価・課税がされ続けるということになります。

固定資産税家屋評価の論点

 固定資産税の家屋評価については、これまでも様々な検討が行われきていますが、いくつか論点を上げてみます。

(1)木造・非木造の区分けについて

 前号(43号)と今号で家屋評価の再建築費評点基準表と経年減点補正率基準表を掲げましたが、木造、非木造ともに両者の分類区分が一致していません。このことも家屋評価の複雑さの一因となっています。
 ところで、近年では木造建築の技術も進み、かつての無垢材ではなく木材の集成材により非木材と同様の耐久性もみられる家屋も現に建築されています。
 このような状況にもかかわらず、現在の固定資産評価基準の再建築費評点基準表と経年減点補正率基準表の内容は「時代遅れ」と言わざるを得ません。

(2)リフォームや用途変更が行われた場合の適用について

 家屋を新増築した場合は評価担当側でも把握は可能ですが、リフォームをされた場合や途中で用途が変更された場合(例えば住宅用から事務所用)、適切に経年減価変動率の適用が出来ているのかどうかは疑問です。
 現実の不動産取引においては、リフォームやリノベーションを加えた家屋は高に取引されますが、固定資産税評価には反映されていないのが現状のようです。

(3)最終残価率20%について 

 法人税の減価償却において法定耐用年数が定められていますが、固定資産税の最終残価年数とは制度趣旨が異なるため、必ずしも同一ではありません。しかし、法人税の減価償却ではゼロまで償却されますが、固定資産税は残価率20%で評価額はそれ以下には下がりません。

「(参考)法人税の法定耐用年数」

 この固定資産税の残価率20%については、「最終残価率はなぜゼロにならないのか」との反対意見も多くあります。逆に、木造にしても非木造にしても、現実の耐久性も良くなっており、建築専門家の方々からは「最終残価までの年数が短か過ぎる」との意見もあります。
 ところで、「最終残価率をゼロに」との意見に対しては、「そもそも固定資産税は何故課税されているのか」という”そもそも論”に目を向ける必要があります。”そもそも論”とは「固定資産税は行政サービスの対価としての費用分担の一つである」ということです。最近では、この「行政サービスの対価」との主張がほとんどなされていないようですが、この点も不思議です。

不動産取引における建物の評価

(※不動産取引や鑑定評価の世界では、「家屋」ではなく「建物」の名称を使うのが一般的です。とは言え固定資産評価基準の再建築費評点基準表と経年減点補正率基準表では「建物」の用語が使われています。この理由はよく分かりません。)
 日本では、土地から独立して建物のみの取引は伝統的に採用されていないこともあり、不動産取引における建物価値の査定では、上記の法定耐用年数を参考にするケースが多く、希に固定資産税評価額を建物の価格として採用する場合もあります。
 また、不動産鑑定の評価では、建物の減価率査定においては、「経済的残存耐用年数」という概念を採用し、仮に法定耐用年数を経過している建物でも、実際にあと何年使用できるかという年数により査定します。また、現に居住に供されている建物でも相当程度劣化が進んでいれば、土地・建物一体の最有効使用を更地と査定して、建物取り壊し費用を土地価格から控除する評価を行う場合もあります。

再建築価格方式の見直し

 固定資産税評価における再建築価格方式は、昭和25年に地方税法が創設されて以来一貫して採用されており、「適正な時価」や「正常価格」の基準となりうる最適な方式とされています。
 しかし、一方では、市町村での評価担当者からすると、この再建築方式は複雑過ぎて難しいという指摘がされており、また当然、納税者にとっても理解が難しく、何度か固定資産評価の簡素・合理化についての検討はされてはいますが、未だ実現に至ってはいません。

(次号は「家屋評価の簡素化の検討」の予定です。)

(43)家屋評価(再建築価格方式)の複雑さと課税誤り(その1)

 本ブログでは、これまで固定資産税の土地を中心に連載してきましたが、これからは家屋あるいは償却資産についてもコメントしていきます。

 まず、今回は家屋評価の基本の話ですが、固定資産家屋の評価は、固定資産評価基準によって、再建築価格方式と定められています。

 実は、この再建築価格方式の仕組みが大変複雑で、市町村の評価実務にも負担が大きく、家屋の課税誤りが発生する一つの原因であるとも考えられます。

 では、再建築価格方式とはどのようなものなのでしょうか。

再建築価格方式とは

 再建築価格とは、評価の対象となった家屋と同一のものを、評価の時点において新築するとした場合に必要となる建築費をいいます。
 不動産鑑定評価での、原価法による再調達原価と同一の概念です。

 この再建築価格(再調達原価)は、実際にその家屋をいくらで建築したのか、あるいはいくらで取得したのか建築費(取得費)とは異なるものです。

 この再建築価格方式は50年以上にわたって採用されている評価方法ですが、この方式は仕組みが複雑であるため、これまで総務省や市町村では(資産評価システム研究センターを通じて)、家屋評価の簡素合理化が検討されてきています。しかし、これまでの経緯や様々な要因により、抜本的な簡素合理化には至っていないのが現実でもあります。

それでは、まず再建築価格方式の家屋評価の仕組みをみることにします。

家屋評価の仕組み

 家屋評価は再建築価格方式により、まず用途別区分(木造13種類、非木造9種類)及び部分別区分(木造11種類、非木造14種類)により、再建築費評点基準表により再建築費表点数を算出します。

 次に、この求められた再建築表点数に時の経過によって生ずる損耗の状況による減点補正等を行い、評価の対象となった家屋の表点数を算出します。

 この場合の評点一点当たりの価額は、1円に物価水準による補正率及び設計管理費等による補正率を乗じた価額となります。

「家屋評価の仕組み」

家屋評価の用途別区分

 まず家屋は、固定資産評価基準で木造家屋と非木造家屋とに区分されます。

 次に、木造、非木造家屋それぞれに、再建築費評点基準表による用途別区分が規定されています。

 その用途別区分は、木造家屋が13種類、非木造家屋が9種類に分類されています。
<木造家屋の用途別区分>
①専用住宅用建物
②共同住宅及び寄宿舎用建物
③併用住宅用建物
④ホテル、団体旅館及び簡易旅館用建物
⑤普通旅館及び料亭用建物
⑥事務所及び銀行用建物
⑦店舗用建物
⑧劇場用建物
⑨病院用建物
⑩工場、倉庫用建物
⑪附属家用建物
⑫簡易附属家用建物
⑬土蔵用建物
<非木造家屋の用途別区分>
①事務所、店舗、百貨店用建物
②住宅、アパート用建物
③病院、ホテル用建物
④劇場、娯楽場用等のホール型建物
⑤工場、倉庫、市場用建物
⑥住宅用コンクリートブロック造建物
⑦軽量鉄骨造建物
ア.住宅、アパート用建物
イ.工場、倉庫、市場用建物
ウ.事務所、店舗、百貨店等用建物

 この用途別区分は、以前は木造、非木造ともに20~30種類ほどありましたが、平成30年度基準では上記のとおり13種類と9種類に統合されています。(実際の建築現場では逆に種類が増えているのが現実です。)

家屋評価の部分別区分

 固定資産評価基準では、上記の用途別区分ごとに部分別区分が規定されています。
 木造家屋では11種類、非木造家屋では14種類に区分され、再建築費表点数を計算します。そして、それらの部分別を合計して、その家屋の再建築表点数を算出することになりますが、家屋評価においては、この作業で大部分を占めることになります。
<木造家屋の部分別区分(11種類)>
①屋根
②基礎
③外壁
④柱・壁体
⑤内壁
⑥天井
⑦床
⑧建具
⑨建築設備
⑩仮設工事
⑪その他の工事
非木造家屋の部分別区分(14種類)>
①主体構造部
②基礎工事
③外周壁骨組
④間仕切骨組
⑤外部仕上げ
⑥内部仕上
⑦床仕上
⑧天井仕上
⑨屋根仕上
⑩建具
⑪特殊設備
⑫建築設備
⑬仮設工事
⑭その他工事

 この部分別区分は、建築された家屋の表面に表れている部分から隠れた内部をも推定して評価できるように、家屋の構造を外見的な面から区分されています。したがって、この部分別区分は、実際の建築の見積書の区分とは異なることになります。

 そして、この部分別区分ごとに使用資材の種類、品質、施工の態様に応じて「標準評点数」が決められており、さらに実際に家屋を見て「補正項目」「補正係数」を査定し、床面積等の「計算単位」を乗じることにより部分別再建築費表点数を求めることになります。
(計算内容は詳細に亘るため割愛します。)

課税(評価)誤りの原因

 上記のとおり、固定資産評価の区分と実際の建築見積書の工事別区分とは異なります。
 そのため、市町村の担当者は実際の建築見積書や図面から、固定資産評価の用途別区分及び部分別区分に該当する項目を拾い出す作業を行わなければなりません。

 仮に、固定資産評価基準での木造家屋の専用住宅用建物再建築評点基準表だけでも8ページに亘り、非木造家屋の事務所、店舗、百貨店用建物となると24ページに亘る基準表になっています。

「木造(専用住宅用建物)」

「非木造(事務所・店舗・百貨店用建物)」
 上記のとおり、非木造家屋の用途別は9種類ですので、この再建築費評点基準表の9倍になる訳で膨大な量になります。

 市町村の税務担当者は、通常、事務職であることから建築の専門家ではありません。もちろん、研修等は行われますが、建築の専門的名称や構造等を十分に理解するのには時間が掛かります。ところが、市町村の事務職は3~5年程度で異動するのが一般的であり、折角慣れた時期には異動するという事態が発生します。
そのような事態を防ぐため、市町村によっては、家屋評価の専門的な職員を配置することや、京都府内の京都地方税機構のように京都府と(京都市を除く)25市町村での広域連合のような共同化の試みも進められています。

 また、政令指定市以外の市町村では、200㎡あるいは500㎡以上の非木造家屋の評価は県(県税事務所)に依頼しています。

 ところで、毎年送られてくる固定資産税(都市計画税)納税通知書を見ると、土地については「前年度課税標準額、本則課税標準額、課税標準額の金額が異なる」等分かりにくくなっていますが、家屋は「単に課税標準額」で税率を乗ずると税額が分かる記載になっています。しかし、その裏側では家屋評価は大変複雑で、ややもすると誤りがあるかもしれないのです。

(42)太陽光パネル設置用地の固定資産税評価(その2)

 前回、再エネ施設用地の固定資産税地目は雑種地がほんどで、その雑種地の中でも「その他の雑種地」に該当する旨記述しました。

 今回は、その他の雑種地の評価方法について説明します。

 その他の雑種地の評価は、固定資産評価基準(※)には売買実例地比準方式と近傍地比準方式の2つの方法が規定されています。

※固定資産評価基準(第1章10節一雑種地の評価)

売買実例地比準方式

 この方式は、「雑種地の売買実例価額から評定する適正な時価によってその価額を求める方法」ですが、再エネ施設用地は一般的な宅地と比較して新しい利用形態であることから、売買実例も少ないものと思われます。

 総務省の実態調査によっても、この方式によって評価された施設は1割未満となっています。したがって、次項以降は近傍地比準方式についての説明となります。

近傍地比準方式

 この方式は、「市町村内に売買実例価額がない場合においては、土地の位置、利用状況等を考慮し、附近の土地の価額に比準してその価額を求める方法」です。

 この方式では、まず再エネ施設用地の評価にあたり、比準元(地目)を選定し、次に、比準元から比準を行うことになります。

比準元の選定

   再エネ施設用地の比準元の選定においては、「土地の位置、利用状況等」を考慮する必要があります。

 位置については、「附近の土地」とされておりますが、鉄軌道用地の評価においては「沿接する」との用語が用いられており、この両者の違いに留意する必要があります。

 その他の雑種地では「附近」ということですので、例えば、必ずしも接続する路線価でなくても良く、社会通念として「近い」と解される範囲内であれば良い訳です。

 次に、利用状況については、附近に類似の雑種地があれば、その雑種地の選定で良いのですが、実態としてそのような雑種地が存在しない場合が多いと思われます。

 先の実態調査においても、全国の再エネ施設用地のうち9割弱の土地の評価において、比準元となる「附近の土地」が宅地とされているようです。

 比準元が宅地である場合の雑種地評価の比準としては、①宅地間比準と②地目間比準の2段階の比準作業が行われることになります。

宅地間比準(第一段階)

 この方法は、比準元の宅地と評価対象地(宅地化が想定される再エネ施設用地)との間で比準を行うものです。つまり、本来は再エネ施設用地は雑種地ではありますが、一旦そこを宅地と想定し、宅地同士の比準を行います。

 ここでは、通常の宅地評価で考慮される要素である地域的格差及び個別的格差を比準することになります。

地目間比準(第二段階)

 ここは、宅地とその他の雑種地の間における格差、すなわち、同位置・同形状の土地に係る地目間の格差を反映するための比準となります。

 この場合、評価対象地であるその他の雑種地が宅地となるべき要素として、造成費相当額が主なものとなります。つまり、想定された宅地としての価格から造成費相当額を控除して求めることになります。

 この場合、市町村によっては、造成費相当額ではなく、一定の比準割合を設定して適用する方法も多く行われています。

 なお、この地目間比準は、本来は評価対象地が宅地化される際の格差が査定されるべきものであり、単に造成費相当額を控除するのではなく、他の要素があれば控除対象として適正な価格が求められるべきと考えます。