(特別号)商業地等の土地の負担調整措置が緩和(令和4年度のみ)

<令和4年10月投稿>

 今回は(特別号)として、非住宅用地(商業地、更地)(以下「商業地等」)に係る土地の負担調整措置について、令和4年度では緩和措置がされています。 

 まず商業地等の負担調整措置の仕組みですが、第4号「固定資産税土地の負担調整措置の仕組み(非住宅用地の場合)」で解説していますので、そちらをご覧ください。

 
 第4号でも説明してあるとおり、商業地等の土地の負担調整措置は、本来は、次のとおりとなっています。
① 当該年度の額が評価額の60%を上回る場合には60%相当額(上限)とする。
② 評価額の20%を下回る場合には、20%相当額(下限)とする。
③ 負担水準が20%~60%となった場合の上昇幅を5%とする。

令和4年度の負担調整措置 

 令和4年度税制改正において、新型コロナウイルス感染症の影響により、社会経済活動や国民生活全般を取り巻く環境が大きく変化したことを踏まえ、景気回復に万全を期すため、商業地等の土地の負担調整措置(上昇幅)を2.5%に緩和されています。
 上記③の上昇幅5%が2.5%に緩和されている訳です。

 この令和4年度の緩和措置は、商業地等に係る土地の負担調整措置のみで、住宅用地や農地等は対象にはなっていません。また、令和4年度のみで、令和5年度からは従来の負担措置の仕組みに戻ります。

<令和4年度・商業地等の負担調整措置>

 

令和5年度の負担調整措置 

 この商業地等の負担調整措置の仕組みは、令和5年度から、また上昇幅が5%に戻ります。
(※ただし、これは令和4年10月現在の情報です。) 

<令和5年度・商業地等の負担調整措置>

 

 

(69号R1)大規模画地の補正は奥行価格補正率のみで良いのか-鑑定評価の<開発法>での検証

(投稿・令和4年6月-Review1・令和4年10月)

 第36号「大規模画地の固定資産税評価について」で、大規模画地の固定資産税評価について解説し、また第47号「相続税における大規模宅地評価の推移-固定資産税評価との関係」でも大規模画地について触れてきました。それでは大規模画地の不動産鑑定評価ではどうなるでしょうか。

 今回は不動産鑑定評価の<開発法>で評価した場合を紹介します。また、今後の大規模画地補正の検討についても触れさせていただきます。

 

不動産鑑定評価<開発法>による評価

 一般的に、不動産鑑定評価で用いられる鑑定手法は、取引事例比較法、収益還元法、原価法が主なものですが、一定面積以上の大規模画地では開発法も併せて適用します。

 開発法とは、対象不動産の面積が近隣地域の標準的な土地の面積と比較して大きい場合に価格を求める場合に、対象不動産上に宅地分譲やマンション分譲の開発を行うことを想定して、評価する方法です。

 この開発法は、求めた価格(単価)を標準画地の単価と比較することにより、大規模画地がどれほど減価するかの減価率を判断をすることに適しています。

大規模画地の画地分割の想定

 まず、開発法を適用するに当り、近隣地域から標準的な画地(標準画地)を想定し設定します。そして評価対象の大規模画地を、標準画地を基準にして分割利用することを想定した宅地分割図を作成する必要があります。
(※第36号「大規模画地の固定資産税評価について」及び第47号「相続税における大規模画地の推移-固定資産税評価との関係」と同じ大規模画地です。)
 
※大規模画地の分譲画地計画図(宅地分割図)

 
 鑑定評価では、その標準画地の価格を取引事例比較法と収益還元法から標準画地の価格(標準価格)を査定しますが、標準画地として次の土地を想定します。

<想定標準画地>
・面積…150㎡(戸建用地)
・道路条件…東側幅員約6mの公道
・標準画地の市場価格(標準価格)…300,000円/㎡
(※固定資産税路線価210,000円/㎡(標準画地価格の7割)と対応させています。)
 また、この大規模画地を宅地分譲地として利用できるように、12画地に分割し、幅員4mの通路を設定します。

分譲各画地の個別格差率及び分譲総額

 そこでまず、標準価格が300,000円/㎡とされた場合、この宅地分割図の宅地(12画地)部分の価格はどうなるかを査定します。

 次の「分譲各画地の格差補正率及び分譲総額」表にまとめてありますが、査定結果は次のとおりになります。

<格差率>
※方位…東(±0)、北(▲2)、南(+1)
※規模…150㎡(±0)、170㎡(▲2)
※道路接続…角地(+5)、間口狭い(▲3)
<査定結果>
・宅地部分の総面積…1,840.00㎡(153.33㎡/区画)
・総額(単価)…547,418,000円(297,500円/㎡)

※各画地の格差補正率及び分譲総額

宅地造成工事費の査定

 次に、この大規模画地の造成工事費等を専門家の意見等を参考にして求めますが、宅地造成総工事費は30,948,000円となります。
 
※宅地造成工事費

<開発法>の適用と結果の減価割合

開発計画の概要及び収支計画

 そして、開発法の適用になりますが、1.「開発計画の概要」及び2.「収支計画」は次のとおりとなります。
 2.の「収支計画」のうち、販売費及び一般管理費を分譲収入の10%とします。
 また、投下資本収益率とは、企業が事業活動のために投じた資金を使って、どれだけ利益を生み出すかの指標ですが、主に借入金利率・開発利潤・危険負担の3要素から構成され、本件では立地・開発計画等を総合的に勘案し12%と査定しています。
 
※開発計画及び収支計画

開発スケジュール及び複利現価による価格

 次は、3.「開発スケジュール」と4.「複利現価による価格」、そして4.の収入から支出を控除して「開発法による価格」を求めます。

 スケジュールは3.の表のとおりですが、工事着工を6ヵ月後から、完成を12ヵ月後、販売開始を8ヵ月後、完売時を20ヵ月後としています。
 また、4.の複利現価とは、将来の一定の金額は金利分を割り引くと今いくらになるかという現在価値を表したものです。

・開発法による価格…収入(464,075,900円)- 支出(77,573,600円)=386,502,300円
・開発法による単価…386,502,300円÷2,040㎡=189,500円/㎡
 
※開発スケジュール及び複利現価による価格

 

 

<開発法>適用による減価割合

 以上により、大規模画地の開発法による価格(単価)が189,500円/㎡と査定されました。
 この標準画地の価格300,000円/㎡と比較すると大規模画地(2,040㎡では)63%で減価割合は▲37%となっています。
(第36号での固定資産税の画地計算法では、これと同じ大きさの画地の減価率は標準的画地と比べて▲14%の減価でした。)

 不動産鑑定評価では、規模が2,000㎡程度で▲37%ですから、更に面積が大きくなれば減価割合も大きくなることが予測されます。

 このように市場の取引においては、規模が大きくなると、取引総額が漸減し単価も低くなっていきます(これが市場流通性です)。

 ところが、固定資産税の奥行価格補正率表では、最大減価率が<0.80>までとしかなっていないのです。

今後の大規模画地補正率の検討について

 最後に、今後の固定資産税評価における大規模画地補正率の検討についてです。

(1)今回の<開発法>の検証は「画地分割が可能な大規模画地」を対象にしましたが、土地が存する地域要因や土地の個別的要因(最有効使用)は様々であることから、必ずしも上記の検証が全てにあてはまるものではありません。

 例えば高度商業地域で、規模が大きくてもビル建設が最有効使用となれば、潰地が必要無く、規模が大きくても必ずしも「大きな減価」とはならない可能性もあります。
 ただし「総額が嵩むことから買い手が限定される」ことにより、それなりの規模減価は発生します(規模の大きさにもよりますが)。

(2)それにしても、固定資産税評価では「大規模価格補正は奥行価格補正で足りる」とされていますが、固定資産評価基準の奥行価格補正率が最大▲20%では減価率が小さ過ぎます。

 固定資産税の本来的性格が「資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存在する受益関係に着目された資産税」ではありますが、「市場流通性」も考慮すべきです。最高裁判決でも、固定資産税の「適正な時価」=「客観的交換価値」とされています。

(3)ところで今後検討される、固定資産税評価における大規模画地の補正率は、奥行価格補正率に加えての減価補正であり、かつ用途地区に応じて設定することですので、全国一律の基準設定も可能な筈です。

 ここはやはり、市町村の「所要の補正」に委ねるのではなく(著しい特性がある場合は別として)、全国一律の固定資産評価基準に補正率表を設けるべきではないでしょうか。

2022/06/10

 

(47号R1)相続税における大規模宅地評価の推移-固定資産税評価との関係

(投稿・令和2年Review1・令和4年10月)

 大規模宅地の相続税評価は、課税時期が平成29年12月31日以前の評価方法「広大地の評価」と、平成30年1月1日以降の評価方法「地積規模の大きな宅地の評価」に分かれます。

 一方、固定資産税評価では、固定資産評価基準において規模格差の基準は「大規模工場用地の評価」のみとなっています。

 それでは、今回は相続税の評価を中心に解説していきます。

広大地の評価(平成29年12月以前)

 広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められる宅地をいいます。ただし、大規模工場用地に該当する宅地及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適している宅地は除かれます。 

 「広大地の評価」は、かなり低目に評価されることから、相続人にとっては有利な制度でしたが、残念ながら平成29年12月31日で終了となりました。 

「広大地の評価」

地積規模の大きな宅地の評価

地積規模の大きな宅地とは

 平成30年からは「広大地」から「地積規模の大きな宅地」と名称が変わりました。
 地積規模の大きな宅地とは、三大都市圏においては500㎡以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000㎡以上の地積の宅地をいいます。

 ただし、次のいずれかに該当する宅地は、地積規模の大きな宅地から除外されます。
①市街化調整区域に所在する宅地
②用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地
③指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在する宅地
④財産評価基本通達22-2に定める大規模工場用地
 

 

「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地

「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地は、路線価地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地のうち、普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在するものとなります。また、倍率地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地に該当する宅地であれば対象となります。

規模格差率及び評価方法

「地積規模の大きな宅地の評価」

 なお、上記「規模格差補正率」中の(B)及び(C)は、地積規模の大きな宅地の所在する地域に応じて、それぞれ次に掲げる表のとおりです。

「(B),(C)の補正率」

相続税の大規模宅地評価の比較

 それでは、「広大地の評価」と「地積規模の大きな宅地の評価」について、次の事例(路線価:240千円、規模:2,040㎡、普通住宅地、三大都市圏)により、計算してみましょう。

 なお、この2,040㎡の大規模宅地は、第36号「大規模画地の固定資産税評価について」で用いたものと同規模の土地としましたが、そこで検証した固定資産税評価の減価率は▲14%でありました。

 
「相続税における大規模宅地の評価」

 この計算のとおり、「広大地の評価」(減価率▲52%)に比べ「地積規模の大きな宅地の評価額」(減価率▲25%)と減価率は少なくなります。

 しかし、前者の場合は「通路が必要となるいわゆる戸建開発用地」が対象となっており適用範囲が限られていましたが、後者では、指定容積率400%までの宅地に認められます。このことから、後者では適用範囲がやや広がったとも言える訳です。
 
2022/5/30/17:35

 

(36号R1)大規模画地の固定資産税評価について

(投稿・平成27年-Review1・令和4年10月)

 今回は、固定資産税評価の画地計算の具体的な方法を紹介するとともに、面積が大きい土地(大規模画地)がどの程度の減価になるか、その上で不動産鑑定評価ではどの程度の減価になるかを(今後の号で)比較検討していきます。

固定資産税の画地計算の方法

 今後の本ブログでの大規模画地は、次のような規模2,040㎡の土地を想定します。なお、この地域の標準的画地は150㎡とします。
 [地域条件等の設定]
・ 用途地域   第1種低層住居専用地域
・ 建ぺい率 40% ・ 容積率 80%
・ 接面道路 6m公道  ・ 路線価 210,000円/㎡
 
 ※大規模画地(例)

標準的画地の画地計算

 まず、標準的画地の画地計算(1点当り評点数)を行ってみます。

 画地計算の基本は、路線価×奥行価格補正×間口狭小補正×奥行長大補正です。

 210,000円/㎡×奥行価格補正率1.00(普通住宅地区の15m)×間口狭小補正率1.00(普通住宅地区の10m)×奥行長大補正率1.00(奥行/間口1.5)=210,000円/㎡(1点当り評点数)。

 この場合、標準的画地でもあるため、1点当り評点数での補正率に変化はありません。

 ※奥行価格補正率表(固定資産税)

 ※奥行価格補正とは…宅地の価格は、道路からの距離が長くなるにしたがって、また、奥行が著しく短くなるにしたがって減価するため、奥行距離に応じて補正します。

 ※間口狭小・奥行長大補正率表(固定資産税)

 ※間口狭小・奥行長大補正とは…間口が一定限度以下の狭小な宅地、又は奥行と間口の関係が不均衡な状態にある画地は、宅地本来の効用を果たすことが困難なため利用価値が減少します。

大規模画地の画地計算

 次に、大規模画地の画地計算です。

 210,000円/㎡×0.86(奥行60m)×1.00(間口34m)×1.00(奥行/間口1.7<2)=180,600円/㎡(1点当り評点数)。

 この結果から、固定資産評価基準の補正率のみの適用では、大規模画地は標準的画地と比べて、▲14%減価となります。
 

 

大規模画地の活用例

 設定条件により、この地域は第1種低層住居専用地域の建ぺい率40%、容積率80%、標準的画地(面積)150㎡ですから、標準的使用は戸建て住宅用の敷地です。

 では、大規模画地はどうでしょうか。

 アパート建築が不可能ではありませんが、この土地を最も有効に活用する方法は150㎡程度の土地を12画地に分割して使用することと考えられます。鑑定評価で言う最有効使用の考え方です。

 ※大規模画地の分割(例) 

 この画地分割の例では、12画地を有効な宅地として配置するためには、通路を設ける必要があります。(厳密には隅切りも必要です。)

 ところで、3大都市圏では面積が500㎡以上になると、開発行為となり、それなりの手続き等も必要となります。

 また、総額が大きくなると、個人ではなかなか買うのが難しく、開発業者が主な購入者となります。そうなりますと、市場流通性性が狭く(劣ることと)なり、実際の市場取引では、土地の単価はかなり減価されるのが通常です。

大規模画地の価格形成要因

 ところで、大規模画地とはどのような土地を指すのでしょうか。

 これには、画地規模が社会通念上絶対的に大きい場合と標準的画地規模と比較して相対的に大きい場合が考えられます。

 不動産鑑定評価の場合は、用途別に標準的画地規模を想定し、それとの比較で大規模画地を考えるという相対的な概念として把握するのが一般的です。

 土地の規模が価格へ影響する要因として、質的要因と量的要因が考えられます。

規模格差の質的問題

・潰地等……前号の大規模画地の分割例(下図)のように、標準的画地に分割利用した場合、道路が必要となりますし、更に大きな画地では公園等の公共潰地が生じます。また、造成工事費や負担金等も生じて標準的画地規模よりも価格が下がります。

・用途の多様性、高度利用……規模が大きい場合は、高層マンション、店舗・レジャー施設、学校等への用途の多様性、高度利用が可能となります。

規模格差の量的問題(市場性の問題)

 不動産を購入する場合は、総額が予算の範囲内であることが必要になります。

 この場合、単価と総額の問題とも関連してきます。例えば、総額が張るから割安になる、総額が小さいから買い易く割高になるなどです。

 しかし、一般的には総額が大きくなると、個人では手が出ないという面から買い手が限定される、つまり市場性が狭くなる傾向があります。

 もちろん、地価動向や景気状況とも関係する問題でもあります。

固定資産税の「所要の補正」

 固定資産税の評価は、固定資産評価基準により全国的に一元化されるとともに、市町村ごとに「所要の補正」が定められています。

 この大規模画地に係る土地の「規模格差補正」を「所要の補正」として定めている市町村は全国的に1割にも満たないのではないかと思われます。(平成15年当時で5%弱)

 「所要の補正」は市町村ごとに「◯◯市土地評価事務取扱要領」で定められています。

 固定資産評価基準では、大規模画地の規模格差補正率は定められてはいません。

 資産評価システム研究センターでは、何回かこのテーマで研究会が行われていますが、土地の規模格差については「奥行価格補正率」で足りている、との見解が出されています。

固定資産税評価における大規模工場用地

大規模工場用地の評価-固定資産評価基準

 ところで、固定資産税においては、全国基準である「固定資産評価基準」では「大規模工場用地」(おおむね20万平方メートル以上のものに限る)のみが「大規模格差補正」が認められています。
 「大規模工場用地の補正率」

2022/05/27

 

(77号R1)生産緑地の2022年問題は予想外-89%が特定生産緑地(農地の継続)を希望

(投稿・令和4年7月-Review1・令和4年10月)

 第52号「生産緑地指定解除の2022年問題と固定資産税」でお知らせしたとおり、1991年(平成3年)から指定されている生産緑地が、30年後の2022年(令和4年)に指定の解除(買取りの申出)が可能になります。

 
 この第52号の最後に「さて、この生産緑地の2022年問題はどうなるでしょうか?」と書きましたが、現在までの推移を見ると、驚くことに『89%が生産緑地を継続する(特定生産緑地の希望)』との調査結果(令和4年6月現在)が出ているのです。

 生産緑地の解除が可能となると、多くの生産緑地(農地)が宅地化されるのではないか(2022年問題)との予想は見事に外れました。つまり、生産緑地のほとんどが特定生産緑地(農地)として継続されるということなのです。

 特定生産緑地制度は、2017年(平成29年)に生産緑地法が改正され、市町村長が、生産緑地の所有者等の同意を得て、買取り申出基準日より前に特定生産緑地として指定され、買取りの申出が可能となる期日を10年延期する制度(「特定生産緑地制度」)が創設され、既に平成30年4月から施行されています。

特定生産緑地制度の概要

 この特定生産緑地に指定されることにより、引き続き生産緑地が保全され、良好な都市環境の形成が図られることが期待されます。

 昨今では、多くの都市で人口減少が進み、宅地需要が沈静化しつつある中、農地の転用により住宅供給等を推進する必要性が低下しています。

 また、生産緑地は、身近な農業体験の場や災害時の防災空間などとして多様な機能をする場として、都市における重要な土地利用でもあります。

 特定生産緑地制度の概要は次のとおりです。

(1)生産緑地の所有者等の意向を基に、市町村長は告示から30年経過するまでに、生産緑地を特定生産緑地として指定できます。
 ただし、30年経過した後は特定生産緑地として指定できません。
(2)指定された場合、買取りの申出ができる時期が10年間延期されます。
(3)10年経過する前であれば、改めて所有者等の同意を得て、10年の延長ができます。
(4)特定生産緑地の税制については、従来の生産緑地に措置されてきた固定資産税の一般農地としての評価、課税及び相続税の納税猶予が継続されます。
 

 

特定生産緑地の指定メリット

営農を続ける際のメリット

(1)固定資産税等は引き続き一般農地として評価、農地課税となります。
(2)特定生産緑地の指定を受けてから10年毎に継続の可否を判断できます。
 特定生産緑地の指定は、10年毎の更新制です。
 10年間の間に相続等が生じた場合は、これまで同様、買取りの申出が可能です。

相続する際のメリット

(1)次の相続での選択肢が広がります。
 次世代の方は、次の相続時点で相続税の納税猶予を受けて営農するか、買取りの申出をするか選択できます。
(2)農地を残しやすくなります。
 次世代の方が、第三者に農地を貸しても、相続税の納税猶予が継続します。

特定生産緑地の指定見込みが89%

 ところで、国土交通省が実施した、「特定生産緑地の指定意向に関する調査」によると、令和4年6月末時点で、「指定済」「指定受付済」「意向あり」が面積ベースで89%を占めています。

「特定生産緑地の指定見込み」

 令和4年6月時点で「生産緑地の継続(特定生産緑地)」の希望が89%とは驚きました。

 しかし、大都市圏の市町村においては、30年前には「市街化区域であるので市街化を進める」と考えていたのですが、昨今では「できるだけ都市にも緑を残したい」と変わってきているのも事実で、これは市町村の思惑も反映されているものと思われます。

 その状況が如実に表れているのが、次の都道府県別の指定見込みグラフですが、東京都、大阪府での「指定済・指定見込み」が圧倒的な割合となっています。

「都道府県別の指定見込み」

2022/07/31