(71号)「無道路地」と「不整形地かつ無道路地」の固定資産税評価

(第1回目投稿:令和3年、第2回目見直し:令和4年6月)

 今号は「無道路地」及び評価対象地が「不整形地でかつ無道路地」である場合の固定資産税評価についてお知らせします。なお、参考として相続税の無道路地評価も紹介します。

 無道路地すなわち路線に接しない画地については、宅地としての利用上の制約によって、その価値は著しく低下することになります。

 今回は路線価評価に限定しますが、地価公示価格を基準にしますと、固定資産税路線価は地価公示の7割、相続税路線価は8割となります。

 無道路地の路線価評価では、固定資産税と相続税の方法はかなり異なります。
 相続税評価においては、古くから「陰地割合評価方式」が採用されており、計算方法は複雑ですが、固定資産税評価も平成8年度まで同様の方法を採用していました。
 しかし、平成9年度から、固定資産税の無道路地評価は「通路開設補正率」と「無道路地補正率」が導入され簡素化されております。
 固定資産税では、平成9年度から負担調整措置が導入されていますが、これに併せて無道路地の評価方法が簡素化されたと言われています。
 なお、住宅用地の負担調整の仕組みは、第4号と第5号で解説してきましたので、そちらも確認してください。

無道路地の固定資産税評価

無道路地の固定資産税評価法

※「固定資産評価基準」
    原則として、当該無道路地を利用する場合において、その利用上最も合理的であると認められる路線の路線価に奥行価格補正率表(附表1)によつて求めた補正率、通路開設補正率表(附表9)によつて求めた補正率及びその無道路地の近傍の宅地との均衡を考慮して定める無道路地補正率(下限0.60)を乗じて1平方メートル当たりの評点数を求め、これに当該無道路地の地積を乗じてその評点数を求めるものとする。

 固定資産税の無道路地評価は、次のとおり行います。

固定資産税の無道路地評価計算

※「無道路地の例図(固定資産税)」


 では、上図の固定資産税評価を行います。
 固定資産税の無道路地補正率は(0.6)とされていますので、無道路地であれば最低でも減価率▲40%となります
<無道路地の補正率>
 遠い奥行の奥行価格補正率(0.95)×近い奥行の通路開設補正率(0.80)×無道路地補正率(0.6) =無道路地補正率(0.46)
<無道路地の評価額>
 路線価(70,000円/㎡)×無道路地の補正率(0.46)×地積(150㎡)=無道路地の評価額(4,800,000円)
 なお、固定資産税の場合、200㎡以下の小規模住宅用地は1/6となります。
 4,800,000円×1/6=800,000円(固定資産税評価額)

不整形地が無道路地の場合の評価

 評価対象地が不整形地で無道路地の場合には、上記の無道路地評価に加えて不整形地の評価をプラスします。
 評価対象地が道路に接していることを想定した上で、陰地割合による不整形地補正率を乗じて1㎡当たり評点数を求めることになります。
※「不整形地かつ無道路地の例図(固定資産税)」


<無道路地の補正率>
 遠い奥行の奥行価格補正率(0.95)×近い奥行の通路開設補正率(0.80)×無道路地補正率(0.6) =無道路地の補正率(0.46)
<陰地割合>
{想定整形地の地積(150㎡)−評価対象地の地積(125㎡)}÷想定整形地の地積(150㎡)×100=17%
<1㎡当たり評点数>
 正面路線価(70,000)×無道路地の補正率(0.46)×陰地割合17%の不整形地補正率(0.96)=30,900円/㎡
<不整形無道路地の評価額>
 1㎡当たり評点数(30.900円/㎡)×地積(125㎡)×小規模住宅用地(1/6)=643,800円

無道路地の相続税評価(参考)

無道路地の相続税評価法


 相続税の無道路地評価は、上図のとおり、奥行価格補正率で補正した後の①不整形地補正率と②間口狭小補正率×奥行長大補正率の低い方の係数を採用します。

相続税税の無道路地評価計算

※「無道路地の例図(相続税)」

a.奥行価格補正後の評価対象地(1)の価額
 計算の方法として、まず奥行価格補正率による奥行価格補正後の評価対象地(1)の価額を求めます。

 この結果、(1)評価対象地の価額は10,800,000円となります(計算経過は省略)。
b.不整形地の価額の計算
<補正率>
・不整形地補正率…0.79(普通住宅地、かげ地割合50%)
・間口狭小補正率…0.90(通路部分幅員2m)
・奥行長大補正率…0.90(奥行距離30m/間口2m=15)
※相続税の補正率表は省略します。
①の不整形地補正率は、(不整形地補正率0.79×通路部分の間口狭小補正率0.90)により求めます。…0.71
 10,800,000円×0.71=7,668,000円
②の補正率は(通路部分の間口狭小補正率0.90×奥行長大補正率0.90)により求めます。…0.81
 10,800,000円×0.81=8,748,000円
 上記より①<②のため、不整形地の価額は7,668,000円となります。
c.無道路地のしんしゃく
 b.の不整形地の価額から、通路部分の価額を控除します。
 通路部分の価額=路線価(80,000円)×通路面積(30㎡)…2,400,000円
d.相続税評価額
 7,668,000円−2,400,000円=5,268,000円(相続税評価額)

 今回、相続税の無道路地評価は参考までに記しましたが、いかがでしょうか。固定資産税評価と比べて相続税評価の方法は相当複雑な方法になっています。