(57)固定資産税はなぜ評価誤りが多いのか、どのように評価誤りを見つけ正していくのか

 今号は、固定資産税はなぜ評価誤りが多いのか、どのように評価誤りを見つけ正していくのか、について説明します。
 過去のブログと重複する部分もありますが、「1.固定資産税の評価誤りがなぜ発生するのか」→「2.固定資産税評価の誤りを正す方法」→「3.評価誤りがあった場合何年分戻ってくるのか」→「4.固定資産税見直しコンサルタントの活用」の流れで説明します。
 固定資産税は、土地、家屋、償却資産からなりますが、土地と家屋は役所が一方的に評価し課税する「賦課課税方式」が採用されています。
 この「賦課課税方式」は納税者からすると評価や課税の内容が分かりませんし、また評価した市町村の側でも、誤っていることに気づかずに評価・課税し続けているということも多いのです。
 例えばWEBサイトの検索画面で、『固定資産税・評価誤り・お詫び』とキーワードを入力して検索しますと、次のような市町村による評価誤りへの『お詫びサイト』が検索されます。
 「令和3年3月15日のGoogleChromeによる検索結果(一部)」

 いかがでしょうか。これは、検索結果の極一部ですが、常にこのような状態ですので、潜在的な固定資産税の評価誤りがいかに多いかということが想像できる訳です。
 ところで、なぜこのようにサイトで検索できるかですが、平成12~13年頃から自治体の情報公開条例が出来ており、自治体行政のミスがあった場合には、必ず住民にお知らせ(お詫び)をすべきとされ、そのための記者発表資料を自治体のホームページに掲載すると、その結果としてサイトで検索できる訳です。
 ※ホームページの内容は、一定期間が経過すると、市町村により削除されますのでご注意ください。

1.固定資産税の評価誤りがなぜ発生するのか

 固定資産税の評価誤りは様々な原因によりますが、そのなかで主なものは次のとおりとなります。

(1)土地評価の誤り

<住宅用地の評価(減額)の見落とし>
 土地の評価では、地目認定は現況利用から判断されますので、現地調査を行うことにより外見からも判断できるため、家屋と比べて評価誤りは少ないと言えます。
 しかしその中でも、住宅用地は200㎡までが6分の1(200㎡を超える部分は3分の1)に減額されるのですが、それが見落とさている場合があります。
 例えば、アパートの隣地が駐車場である場合、その駐車場をアパートの居住者が利用しているのであれば、一体画地として6分の1(3分の1)になるべきですが、雑種地として課税されている場合が見られます。
 このような場合、外観からどのように使用されている土地か判断が難しいため、市町村では、条例で「申告」を義務づけていますが、仮に「申告」がなくても住宅用地であるか否かを市町村が判断しなければならないとされています。これは固定資産の土地と家屋は「賦課課税」であるから、「申告が無いからといて住宅用地を否定するものではない」との見解が正式なものとなっているのです。

<太陽光発電施設用地>
 最近では、太陽光発電施設用地の相談が多くなっています。これは、評価誤りというよりも、太陽光発電施設用地評価の全国基準が存在していないため、市町村により評価方法が異なっていることから、評価額の高低差があり、納税者としては混乱する傾向にあります。

  太陽光発電施設用地については、上記41号、42号では説明しきれていませんので、今後掲載していきます。

(2)家屋評価の誤り

<「再建築価格方式」の複雑さによる誤り>
 家屋は土地と比べても評価誤りが多いと言えます。
    家屋は新築時に評価されれば、その後は増改築等が無い限り、その評価により経年減価等により在来家屋として評価・課税されていきます。
 従って、問題は「新築時の評価に誤りがあるかどうか」ということになります。家屋の評価は「再建築価格方式」によりますが、固定資産評価基準(家屋編)や各市町村の固定資産評価事務取扱要領(名称は市町村により異なります)に詳細な基準が定められています。実は、その詳細な基準が、家屋の評価誤りの原因となっているとも言えます。

(3)償却資産の評価誤り

<家屋と償却資産の二重課税>
 償却資産は、土地と家屋と異なり、所有者からの申告に基づいて課税されます。
 そこで、評価誤りがあるとすると、家屋と償却資産の二重課税があり得るということです。家屋として評価されているのに償却資産としても申告し、市町村でも気づかずに二重課税がされている状況です。この二重課税が意外と多いので、担当される税理士さんも気をつけてください。

2.固定資産税評価の誤りを正す方法

 固定資産税評価の誤りを正すには、その誤りを課税当局の市町村に認めてもらうことが絶対要件になります。
 そこで、どのような方法で進めていくのかについて説明します(ここでは、納税者自身が行うことを前提にします)。

(1)市町村に説明を求める

 毎年の年度当初に市町村から、納税通知書と課税明細書が送られてきます(市町村によって4月~6月)ので、固定資産税の評価又は課税額(以下「賦課決定」)に疑問や不服があれば、まず市町村の担当者に説明してもらうことをお勧めします。市町村では、評価計算書等で説明してくれます。

(2)「審査の申出」を行う

 仮に、その説明が納得できず、賦課決定に不服がある場合は、固定資産評価審査委員会に「審査の申出」ができます。この審査の結果、課税価額が固定資産評価基準に照らして不適当なものであると認められると、課税価額が修正されることとなります。
 この「審査の申出」が出来る期間は、3年に1度の評価替え(基準)年度で、納税通知書が到達してから3ヶ月以内が原則となっています。
 ただし、地方税法417条1項により、価格等に「重大な錯誤」がある場合には、「審査の申出」の期間に関わらず、市町村は評価額を修正しなければならないことになっています。

<地方税法第417条第1項>
「市町村長は…登録された価格等に重大な錯誤があることを発見した場合においては、直ちに固定資産課税台帳に登録された類似の固定資産の価格と均衡を失しないように価格等を決定し、又は決定された価格等を修正して、これを固定資産課税台帳に登録しなければならない。…」

 つまり不服申立の原則は、3年に1度の評価替え(基準)年度(30年度、33年度、36年度…)に「審査の申出」を行うことですが、それに関わらず賦課決定に不服があれば、市町村に働きかけてみることが必要なのです。

(3)訴訟を提起する

 固定資産税の賦課決定に不服があり、訴訟を提起する場合は、原則として(地方税法上では)、上記の「審査の申出」を行い、その結果に不服がある場合に限られます。訴訟は「審査の申出」の決定があってから6ヶ月以内とされています。

<地方税法434条第1項(争訟の方式)>
「固定資産税の納税者は、固定資産評価審査委員会の決定に不服があるときは、その取消しの訴えを提起することができる。」

 しかし、第32号でも触れましたが、平成22年6月3日の最高裁判決により「職務上通常尽くすべき注意義務が尽くされていない場合」は、国家賠償法による違法性が認めらています。つまり、地方税法上の「審査の申出」を経る必要が無いということです。ここで言う「通常尽くすべき義務が尽くされていない場合」とはいわゆる「手抜き」と解されています。

3.課税誤りがあった場合何年分戻ってくるのか

 固定資産税の評価誤りが認められると、過去に遡って減額され、その減額分は戻ってきますが、それを還付金と言います。
 それでは、何年間遡って還付されるのでしょうか。

(1)地方税法上の原則-5年間

 地方税法では、遡る年数は5年間とされています。

<地方税法18条の3(還付金の消滅時効)>
「地方団体の徴収金の過誤納により生ずる地方団体に対する請求権及びこの法律の規定による還付金に係る地方団体に対する請求権は、その請求をすることができる日から5年を経過したときは、時効により消滅する。」

(2)「固定資産税過誤納付金補填支払要綱」による還付-10年間(20年間)

 全国の7割ほどの市町村が「固定資産税過誤納付金補填支払要綱」を定めていますが、それによると「重大な錯誤」により評価誤りが有った場合は、10年間還付されます。また、納税した領収書が保存されている場合には20年間遡る場合もあります。
※「要綱」とは、行政内部で定めた規程で、議会を通じて制定される条例とは異なります。

(3)国家賠償法による場合-20年間

 上記の最高裁判決により「通常尽くすべき義務が尽くされていない場合(手抜きがあった場合)」には20年間の還付が可能となります。

⇒ 第32号「固定資産税の課税誤り(過徴収金)の返還期間-最高裁判決(20年間)」

4.固定資産税見直しコンサルタントの活用

 以上の固定資産税の評価誤りの見直し手続きには、専門的で納税者ご自身で対応するのが難しいというのが実際のところです。
 そのような方は、ぜひ「固定資産評価見直しコンサルタント」(任意団体)までご相談ください。
 ご依頼される場合の手数料は、着手金(前金)は不要で、あくまでも成功報酬(還付金額の2分の1)のみとなります。
 詳しくは、下記のホームページ「固定資産評価見直しコンサルタント」をご覧ください。