(第107号)固定資産税の「非課税」「減免」「課税免除及び不均一課税」について

(投稿・令和5年11月-見直し・令和6年2月)
※今回は過去閲覧歴10位までの第3位(22号)、第9位(13号)の「非課税」と第4位(15号)の「減免」をまとめ「非課税、減免、課税免除及び不均一課税」を一覧表にしました。

 なお、それぞれの詳細については、次の各号をご覧ください。

 
<「非課税、減免、課税特例及び不均一課税」一覧表>

 
2023/11/20/14:00
 

 

(第19号)固定資産税の家屋とはどういうものか(基本編)

(投稿・令和1年-見直し・令和6年2月)<過去閲覧数7位>

 今号は、固定資産税の家屋で「固定資産税の家屋とはどういうものか」という基本編ですが、その前に、家屋の税金としての歴史を簡単に見ていきます。

固定資産税家屋の歴史

 固定資産税としての家屋は、昭和24年にシャウプ勧告が出されて、昭和25年に地方税法が制定され、そこで市町村税として土地、償却資産とともにスタートしました。
 それ以前は、明治15年に家屋税が大府県(東京、大阪、京都、神奈川)に対して創設され、明治21年にこれらの府県の市町村に家屋税付加税が、その後明治23年に全国で課税されるに至っています。

 このように、現在の税としての家屋は、土地(地租)、償却資産(船税、電柱税、軌道税)に対する課税とともに、長い歴史を有しています。

固定資産税家屋の定義

 そこで、固定資産税の家屋とは何かということですが、地方税法341条に次のとおり規定されています。

<固定資産税に関する用語の意義(家屋)>
※地方税法341条第3号
「家屋とは、住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含む。)、倉庫その他の建物をいう。」

 この用語の定義は、地方税法創設から一貫して変わっていませんが、これは単に種類を列挙して間接的に定義しているにすぎません。

 では、具体的に固定資産税の家屋とは何かということですが、不動産登記法における建物と意義を同じくする、とされています。次の「地方税法の施行に関する取扱について(市町村税関係)」は総務省の通知ですが、次のとおり説明されています。

※地方税法の施行に関する取扱について(市町村税関係)
「 家屋とは不動産登記法の建物とその意義を同じくするものであり、したがって登記簿に登記されるべき建物をいうものであること。」

 そこで、「不動産登記法上の建物」についてみていきます。

不動産登記法の建物とは

 不動産登記法の建物は、不動産登記規則(113条)で12種類、不動産登記事務取扱手続準則(80条)で25種類、併せて37種類が規定されています。ただし、これにより難い場合には、建物の用途により適当に定めるものとする、とされています。

<不動産登記規則113条(12種類)>
・ 居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所

<不動産登記事務取扱手続準則80条(25種類)>
・ 校舎,講堂,研究所,病院,診療所,集会所,公会堂,停車場,劇場,映画館,遊技場,競技場,野球場,競馬場,公衆浴場,火葬場,守衛所,茶室,温室,蚕室,物置,便所,鶏舎,酪農舎,給油所

固定資産税家屋としての要件

 固定資産税の課税客体となる家屋の認定に当たっては、次の(1)から(5)の要件が必要とされています。

(1)屋根を有すること

 屋根は、雨露をしのぐために必要不可欠です。不動産登記規則111条では「屋根及び周壁又はこれらに類するものを有すること」(外気分断性)とあります。
 ただし、高架下の建造物については、家屋として評価すべき屋根はないが、屋根に相当する構築物があるため家屋として取り扱われます。

※高架下の建造物は家屋として認定

(2)周壁を有すること

 家屋は、周壁により内側に一定の利用空間が発生し、外気分断性有りと判断されます。
 ここで周壁を有するとは、概ね3面以上に周壁がある(その面の3分の2程度以上の部分に壁があることをもってその面は周壁を有する)ことをいいます。
 ただし、周壁については、厳密な意昧での外気との分断がされていなくても、建造物の使用目的、利用状況等を考慮して外気分断性があると判断される場合もあります。例えば、駐車場では外周壁が腰壁程度しかないものが見受けられますが、外気分断性があると認められます。

※3面に周壁を有するので家屋として認定

(3)土地に定着した建造物であること(土地への定着性)

 土地に定着した建造物であるということは、建造物が建造されている土地から容易に移動できないことをいいます。
①建物の大きさ、重さ、構造、基礎の施工の程度、 建築設備の状況により物理的または経済的に他の場所に移動させて利用することが容易でないこと
②建物の用途、目的からしてある程度の期間(通常賦課期日をはさんで1 年以上)継続し利用することが予定されていること
の2つの要件を充足している建物の場合には、通常、土地に定着している建造物といえます。
 土地に対する定着性が欠ける建造物と考えられるものは、次の例示によります。
ア   容易に運搬できる切符売場、入場券売場等
イ   単に置いた程度のスチール製の物置、簡易便所等

(4)家屋本来の用途に供しうること(用途性)

 家屋本来の目的は、その空間を居住、作業、貯蔵、営業、保管等の用途に供しうるものでなくてはなりません。
 次のようなアーケードは、道路の用途を高めるものであって家屋本来の目的とは異なるので家屋とは認定できません。

※アーケードは家屋として認定しない

(5)恒久性を有すること

 不動産登記法準則第77条に「半永久的な建造物と認められるものに限る」とあるように、家屋は、恒久性を有することが必要です。
 なお、特殊な構造等のものについては、個々の利用状況等も考慮して判断することになります。
 家屋として認定しないものを例示するとつぎのものがあります。
ア 園芸用ハウス(温室)で屋根、周壁がビニール・シートのもの
イ ビニール・シート等で葺き上げた車庫
ウ 簡易な鶏舎、豚舎等の畜舎、堆肥舎等

(※)賦課期日に完成していること

 これは家屋の意義とは異なりますが、建築中の建物がどの程度まで完成していれば家屋の課税対象となるかについては、昭和59年の最高裁判決により「固定資産税の性質目的及び地方税法の規定の仕方からすれば、新築の家屋は、一連の新築家屋が完了したときに、固定資産税の課税客体となる」とされ、1月1日現在で(完全に)完成した建物となります。

2022/5/8/13:30
 

 

(第105号)固定資産税の課税誤りによる還付金(返還金)の返還期間は何年間か

(投稿・令和5年10月) <閲覧上位再生版(第27号&第28号)>
※(第27号は過去の閲覧記録で第2位、第28号は第6位)

 
 今回は、固定資産税の評価・課税誤りによって納め過ぎた場合、その還付金又は返還金は何年間遡って還してもらえるかについて解説します。

地方税法による原則的手続<5年>

 地方税法では、徴収し過ぎた税金(還付金)の請求権は5年で消滅時効になる、つまり5年間遡って還してもらえると定められています。

還付金の消滅時効(5年まで)

<還付金の消滅時効>
※地方税法第18条の3
「地方団体の徴収金の過誤納により生ずる地方団体に対する請求権及びこの法律の規定による還付金に係る地方団体に対する請求権は、その請求をすることができる日から5年を経過したときは、時効により消滅する。」

 ところで、固定資産税の納め過ぎの原因のほとんどは、課税当局の誤り(課税ミス)によるものと考えられますが、課税誤りが発見されるケースは、納税者等からの指摘によることがほとんどです。 

「審査申出前置主義」とは

 課税処分に不服がある場合は、(課税当局が認めない場合には)裁判所にその処分を取り消してもらうための取消訴訟を提起しなければなりませんが、いきなり裁判所に取消訴訟を提起することはできません。

 まず価格の不服について固定資産評価審査委員会へ「審査の申出」を行い、その決定に不服がある場合に取消訴訟を提起できることになります。

 これが地方税法上の原則的な手続で、「審査申出前置主義」と言われています。

<①審査の申出>
※地方税法第432条1項
「固定資産税の納税者は、価格に不服がある場合には、納税通知書の交付を受けた日後3ヵ月までの間に文書をもって、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる。」
<②争訟の方式>
※地方税法第434条1項
「固定資産税の納税者は、①の決定に不服があるときは、その取消しの訴えを提起することができる。」
<③出訴期間>
※行政事件訴訟法第14条1項
「取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から6ヵ月を経過したときは、提起することができない。」

「重大な錯誤」による修正<10~20年>

 地方税法の原則的手続は上記のとおりですが、地方税法では特例規定とも言うべき規定として、「重大な錯誤」がある場合の「固定資産の価格等のすべてを登録した旨の公示の日以後における価格等の決定又は修正」が認められています。

「重大な錯誤」とは

 そこで、設けられている規定が地方税法第417条1項です。

<重大な錯誤>
※地方税法第417条1項
「市町村長は、…登録された価格等に重大な錯誤があることを発見した場合においては、直ちに…決定された価格等を修正しなければならない。」

 ここで「重大な錯誤」とは、虚偽の申告又は申請による誤算、固定資産課税台帳に登録する際の誤記、価格等を決定する際の計算単位のとり違い、評価調書における課税客体の明瞭な誤記又はその認定の誤り等、客観的にみて価格等自体の決定に重大な誤りがあると認められるような錯誤を言い、軽微な誤り程度のものは含まれません。

 つまり、このような「重大な錯誤」があれば、原則的な手続(審査の申出等)を経ることなく、市町村長は直ちに修正しなくてはならないのです。

 ここで価格等が修正され、過徴収金がある場合、「重大な錯誤」であれば、その返還期間が10年や20年もあり得ることになります。
※この場合の5年間が地方税法上の「還付金」で、残りの期間の還付不能額を「過誤納補填金」(又は「返還金」)と称します。

「過誤納金返還要綱」による返還

 そして、この「重大な錯誤」があった場合の10年か20年の返還を市町村毎に定めているのが、次の「過誤納金返還要綱」になります。
 この「要綱」とは法律や条例とは異なり、市町村の行政内部(議会に諮らず)のみで定めることができるもので、全国の7割程度の市町村で保有していると言われています。

 ところで、この 「過誤納金返還要綱」による還付不能額とは、「固定資産税の課税客体に係る過誤納金のうち、地方税法第18条の3の規定により還付することができない税相当額」と定義されています。

 仮に10年間の過誤納金である場合は、還付金5年+返還金5年の合計10年間という計算になります。

 また「過誤納金返還要綱」では、一般的には10年間の返還ですが、固定資産税納付の領収書等が確認できれば20年間の返還を認めるともなっています。

 しかし、そもそも固定資産税は、所有者の申告を必要とせず(償却資産は申告が必要)、行政が一方的に評価・課税をする「賦課課税」となっていますので、仮に誤りを認めるのであれば、その責任を納税者に転嫁するのはおかしいと言わざるを得ません。

国家賠償法の適用<最高20年>

  以上のとおり、固定資産税の課税誤りがあった場合の還付又は返還は、原則として地方税法による原則的手続による5年、また「過誤納金返還要綱」による場合は10年間から最高20年間も有り得るということです。

浦和地裁判決(平成4年2月)による効果

 第97号の「住宅用地の減額特例に関する浦和地裁判決(H4年2月)とその効果—住宅用地の認定と国家賠償法の適用等」でも紹介しましたが、平成4年2月24日の浦和(現さいたま)地方裁判所の判決では「固定資産税の賦課決定に重大かつ明白な瑕疵(過失)があった場合は、国家賠償法の適用(20年間の返還)が可能である」とされました。

 実は、この判決を受けて、市町村による「過誤納金返還要綱」が策定されるに至った訳です。

 
 そして、この方向を一歩進めたのが、次の最高裁判決でした。

最高裁判決の内容

 この最高裁判決(平成22年6月3日)において、「固定資産税の評価・課税に過失による誤りがある場合は国家賠償の請求を認める」との判断がなされたのです。

<平成22年6月3日最高裁(第一小法廷)判決>
「公務員が納税者に対する職務上の法的義務に違背して当該固定資産の価格ないし固定資産税等の税額を過大に決定したときは、これによって損害を被った当該納税者は、地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経るまでもなく、国家賠償請求を行い得るものと解すべきである。」
「記録によれば、本件倉庫の設計図に『冷蔵室(-30℃)』との記載があることや本件倉庫の外観からもクーリングタワー等の特徴的な設備の存在が容易に確認し得ることがうかがわれ、これらの事情に照らすと、原判決が説示するような理由だけでは、本件倉庫を一般用の倉庫等として評価してその価格を決定したことについて名古屋市長に過失が認められないということもできない。」

 この最高裁判決によると、一定の要件の下では、地方税法上の審査請求や取消訴訟を経ることなく、国家賠償請求を行うことができ、固定資産税の過徴収金の返還期間は最高20年となります。

 では、いかなる場合に国家賠償の請求が認められるのかですが、これは国家賠償法第1条によります。

※国家賠償法第1条
「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」

 そして、過徴収金返還の時効は20年になりますが、これは民法第724条によります。

<不法行為による損害賠償請求権の消滅時効>
※民法第724条
「不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1  被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。
2  不法行為の時から20年間行使しないとき。」

「過失」とは「手抜きがあったとき」

 上記の最高裁判決では「過失とな何か」が明確に定義されていませんが、他の下級審判決等によると「職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことの無いような場合には、国家賠償が認められるような違法になる」と判断されています。

 この場合の過失とは「手抜きがあったとき」とされています。

 つまり、「手抜き」のような過失(職務上通常尽くすべき注意義務を尽くされていない)では、国家賠償法の対象で20年間の返還になり得るということです。
 
2023/10/28
 

 

(第16号)固定資産税(土地)の地目認定は現況主義による

(投稿・平成25年-見直し・令和6年2月)<過去閲覧数5位>

 今号は、固定資産税の土地の地目認定はいかに行うか、についてです。

地目とは(地目の定義)

地方税法での地目

 まず地方税法で、固定資産税の土地とは何かということです。

<用語の意義(土地)>
※地方税法341条1項2号
「土地とは、田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、山林、牧場、原野その他の土地をいう」

 ここでお分かりのように、地方税法では「土地とはどういうものか」という定義がされているのではなく、土地の利用面からの分類、すなわち土地の地目を掲げた条文となっています。

 固定資産税の土地の評価は地目ごとに行います。
 そのため、固定資産評価基準(自治省告示第158号)にも土地の地目が定められています。

<固定資産評価基準の地目>
※固定資産評価基準第1章第1節
「土地の評価は、次に掲げる土地の地目の別に、それぞれ、以下に定める評価の方法によって行うものとする。この場合における土地の地目の認定に当たっては、当該土地の現況及び利用目的に重点を置き、部分的に僅少の差異の存するときであっても、土地全体としての状況を観察して認定するものとする。
(1)田、(2)畑、(3)宅地、(4)鉱泉地、(5)池沼、(6)山林、(7)牧場、(8)原野、(9)雑種地」

 地方税法の定義と固定資産評価基準を比べると、若干の違い(塩田が無くなって池沼が入り、その他の土地=雑種地が入っている)がありますが、ほぼ同じ地目となっています。

 この中で中心となる地目は、宅地、田、畑、山林あたりですが、もう一つ雑種地、実はこの雑種地が固定資産税評価の中ではかなり重要な地位を占めています。

不動産登記法での地目

 ところで、地方税法と固定資産評価基準では地目の意義の定義がされていませんが、不動産登記法の地目の定義と同じで、具体的には不動産登記事務取扱手続準則の定める通りとされています。

 そこで、参考までに不動産登記事務取扱手続準則の定める地目を掲げます。

<不動産登記法の地目>
※不動産登記事務取扱手続準則第68条
「 次の各号に掲げる地目は、当該各号に定める土地について定めるものとする。この場合には、土地の現況及び利用目的に重点を置き、部分的にわずかな差異の存するときでも、土地全体としての状況を観察して定めるものとする。
(1) 田 農耕地で用水を利用して耕作する土地
(2) 畑 農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
(3) 宅地 建物の敷地及びその維持若しくは効用を果すために必要な土地
(4) 学校用地 校舎、附属施設の敷地及び運動場
(5) 鉄道用地 鉄道の駅舎、附属施設及び路線の敷地
(6) 塩田 海水を引き入れて塩を採取する土地
(7) 鉱泉地 鉱泉(温泉を含む。)の湧出口及びその維持に必要な土地
(8) 池沼 かんがい用水でない水の貯留池
(9) 山林 耕作の方法によらないで竹木の生育する土地
(10) 牧場 家畜を放牧する土地
(11) 原野 耕作の方法によらないで雑草、かん木類の生育する土地
(12) 墓地 人の遺体又は遺骨を埋葬する土地
(13) 境内地 境内に属する土地であって、宗教法人法(昭和26年法律第126号)第3条第2号及び第3号に掲げる土地(宗教法人の所有に属しないものを含む。)
(14) 運河用地 運河法(大正2年法律第16号)第12条第1項第1号又は第2号に掲げる土地
(15) 水道用地 専ら給水の目的で敷設する水道の水源地、貯水池、ろ水場又は水道線路に要する土地
(16) 用悪水路 かんがい用又は悪水はいせつ用の水路
(17) ため池 耕地かんがい用の用水貯留池
(18) 堤 防水のために築造した堤防
(19) 井溝 田畝又は村落の間にある通水路
(20) 保安林 森林法(昭和26年法律第249号)に基づき農林水産大臣が保安林として指定した土地
(21) 公衆用道路 一般交通の用に供する道路(道路法(昭和27年法律第180号)
による道路であるかどうかを問わない。)
(22) 公園 公衆の遊楽のために供する土地
(23) 雑種地 以上のいずれにも該当しない土地」

 固定資産税の地目は9種類ですが、不動産登記法はそれよりはるかに多い23種類です。

不動産鑑定評価での土地の種別

 不動産鑑定評価では、土地の種別(地目とは言いません)は、その属する地域の種別に応じて分類される土地の区分となります。

 土地の種別は宅地、農地、林地、見込地、移行地に分けられます。

 これらは、さらに地域の種別の細分化に応じて、例えば宅地でしたら、住宅地、商業地、工業地等に細分されます。

 例えば、市街化区域で駐車場に利用されている土地は、固定資産税評価では雑種地評価ですが、不動産鑑定評価では宅地評価を行うことになります。

 もちろん、いきなりそう決めるのではありません。

 不動産鑑定評価では、一般的要因を始めとして、地域要因及び個別的要因を分析した上で、その土地の最有効使用が住宅用の土地と判断されるか、という手順を経る必要があります。

地目の認定は「現況主義」

地目認定の時期と取扱い

 まず、地目認定の時期ですが、固定資産税の賦課期日が1月1日とされており、地目の認定も1月1日現在の土地の現況や利用目的を重視することから1月1日現在の認定となります。

<固定資産税の賦課期日>
※地方税法第359条
「固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とする。」

 次に認定の取扱いですが、固定資産税の土地評価上の地目の認定は現況の地目(「現況主義」)によります。

 では、土地の地目が登記簿と現況が異なる場合は、どうなるのでしょう。

 例えば、登記簿上の地目が「山林」となっているのに、実際には家屋が建っている土地の場合ですが、この土地の固定資産税の地目は、「現況主義」によって「宅地」と認定されます。

地目認定の単位

 地目認定の単位は、原則として1筆ごとに行います。

 ただし、地目は土地の現況や利用目的に重点を置いて認定しなければならないものであり、部分的に僅少の差異があるときでも土地全体としての状況を観察して行います。
 また、1筆の土地が相当の規模で、2以上の全く別の用途に利用されている場合(例えば、1,000㎡の土地の700㎡が畑、300㎡が宅地として利用されているような場合)には、これらの利用状況に応じて区分して、それぞれの地目を定めることになります。

地目認定の実地調査

 ところで、このような「現況主義」は、土地の面積は現地調査で見ただけでは判断できませんが、地目は現地調査で認定することが比較的容易であるからです。 

 では、固定資産税を担当する市町村の職員は、どの程度の実地調査を行っているのでしょうか。地方税法で実地調査の規定があります。

<固定資産税の実地調査>
※地方税法408条
「市町村長は、固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少なくとも一回実地にさせなければならない。」

 「固定資産評価員」及び「固定資産評価補助員」とは、いずれも市町村の固定資産税を担当する職員のことですが、「評価補助員」は担当者全員がなります。また、「評価員」はそのセクションの長があたるのが普通ですが、その市町村の議会での同意が必要とされています。(「評価員」が置かれていない市町村もあります。)

 一般的に、固定資産の実地調査は、申請や問題がある都度行う「随時調査」と、所管地域を一斉に行う「定期調査」が考えられますが、408条は「定期調査」に係る規定です。

 土地の評価替えは3年に1度であるため、実務上は3年単位で評価替えスケジュールが組まれるため、多くの市町村では「定期調査」もこの中で組み込んで行われるのが一般的ではないかと思います。

2022/5/7/14:45
 

 

(第111号)固定資産税の家屋がなぜ分かりにくく「課税誤り」が多いのか

(投稿・令和6年2月)

 今回は、固定資産税の家屋評価方法が「分かりにくく『課税誤り』が多い」ことについてです。

 評価方法(再建築価格方式)が複雑

 固定資産税家屋の評価方法は、再建築価格方式が採用されています。

 この再建築価格方式は、昭和34年から昭和36年にかけて固定資産評価制度調査会において審議され、家屋の評価方法として決定されて以来一貫して採用されています。

 この固定資産評価制度調査会においては、①再建築価格方式、②取得価格方式、③賃貸料収益方式、④売買実例価格方式が併せて検討されましたが、①の再建築価格方式が家屋の構成要素として基本的なものであり、その評価の方式化も比較的容易である、との理由で採用されています。

 再建築価格方式は、評価の対象となる家屋と同一のものを、評価する時点において、その場所に新築するとした場合に必要とされる建築費(再建築価格)を求め、この再建築価格に時の経過等によって生ずる損耗の状況による減価を考慮し、必要に応じて需給事情による減価を考慮して家屋の価格を算出します。

 
 しかし実は、この再建築価格方式は「評価の方式化が比較的容易」とありますが、建築の専門家でないと理解できない内容も数多くあり、大変複雑な内容になっています。

 

市町村での新築家屋評価の対応

「再建築費評点数」の査定が難しい

 この再建築価格方式は、評価の対象となった家屋と同一のものを、評価の時点において新築するとした場合に必要となる建築費を査定することになりますが、実際にその家屋をいくらで建築したのか、あるいはいくらで取得したのかの建築費(取得費)とは異なるもので、あくまでも固定資産評価基準(以下「評価基準」)に従って算出します。

<固定資産税家屋の評価方法>

 ところが、この評価基準の仕組み自体が複雑で、特にこの図の「評点数」→「再建築費評点数」の査定が最大の難関となります。

「再建築評点数」を求める作業

 再建築価格方式は「実際にその家屋をいくらで建築したのか、あるいはいくらで取得したのかとは異なる」のですが、「再建築費評点数」を求めるためには「当該新築家屋の内容を把握する」ことが必要になるため次の作業を行います。

  家屋所有者に調査協力を依頼し、新築家屋の見積書や竣工図等を借用し情報を取得します。
  実際に当該家屋に赴き、用途別区分とともに家屋の外観や内部の使用資材等を確認します。
  借用・保存した見積書等から評価基準の部分別区分に照らして、必要な資材を拾い出し部分別分類を行います。.
  その上で、市町村が有する評価システムに評価基準の評点項目と使用資材量の数値を入力して評点数を算出します。

 いかがでしょうか、大変ですが評価基準による再建築価格方式は、このような手順が必要とされているのです。

市町村の組織対応について     

市町村の職員は事務職で異動も頻繁

 そもそも市町村の固定資産課税部門の職員は事務職が殆どで、建築部門の知識を有していないのが現実です。

 例えば、建築専門用語として「屋根小屋組(屋根を支えるために設けた骨組み)」の名称だけでも、次のようなものがあります。

 「敷桁(しきげた)、小屋梁(こやばり)、小屋束(こやづか)、小屋貫(こやぬき)、火打梁(ひうちばり)、小屋折違(こやすじかい)、母屋(もや)、棟木(むなぎ)、隅木(すみぎ)、谷木(たにぎ)、垂木(たるき)、陸梁(ろくばり)、合掌(がっしょう)、真束(しんづか)、対束(ついづか)、釣束 (つりづか)、方杖(ほうづえ)」。

 しかも、通常4~5年で職場異動する職員が多いことから、組織として固定資産税家屋評価の知識を蓄積するのも十分ではないことになります。

市町村の固定資産税評価の対応

 仮に固定資産税職員が初心者の場合には、家屋の評価作業は難しいものです。

 所有者から提出された見積書を見て、記載されている資材・機器のうちどれが固定資産税の家屋評価に必要なのかを見分けること、必要な資材であると理解してもそれがどこに使用されているのか(上部分なのか下地材なのか等)、資材のグレードや規格を判断する等々の作業が必要となります。

 そこで、総務省及び一般財団法人資産評価システム研究センターでは、全国の市長村固定資産税職員に対する研修を積極的に進めています。

 また、市町村によっては、固定資産税の専門的な職員(「専任職」)や組織(「固定資産税センター」)等を設ける工夫もされています。
(※「専任職」や「固定資産税センター」は仮名です。)

 ところで、政令指定市以外の市町村では、300㎡あるいは500㎡以上の非木造家屋の評価は県(県税事務所)が対応しています。課税権は市町村長なのですが、家屋評価は県に委託しているのです。

 これは、地方税法第73条の21の1項に「道府県知事は、固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については、当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする。(以下略)」が根拠規定になります。

家屋の「課税誤り」の検証

 以上のような、固定資産税家屋の評価や市町村組織等からすると、残念ながら「課税誤り」が生じることも想定できます。

 例えば、Google検索ページで「固定資産税、課税誤り、お詫び」とのキーワードを入力すると、「課税誤り」があった市町村のホームページが表示されます。
 これは、「課税誤り」のあった市町村では公表する義務があるからですが、(推測の域を出ませんが)明らかになっていない「潜在的な課税誤り」もあるのではないでしょうか。

「課税誤り」の検証には新築時資料が必要

 固定資産税の家屋評価では、新築家屋の評価が複雑で大変ですが、在来(中古)家屋の評価はそれほどでもありません。

<在来家屋の評価>

 在来家屋の評価は、①前基準年度再建築費評点数×②再建築費評点補正率×③経年減点補正率となります。

 ここで、①は前基準年度(3年前)の評価額で、②は3年毎に東京都23区を基準とした建設物価率が総務省から示され、③は評価基準の該当表から補正率を適用します。 
 したがって、①の前基準年度再建築費評点数は「新築時の評価」を引き継いでいることになります。

 よく「固定資産税評価の見直しサポート」の依頼者様から、「所有している中古ビルの評価額が高いのでは」とのご相談があります。そこで、審査申出を行った場合、『在来家屋の評価として問題無い』との審査結果が出されることが多くあります。

 つまり、前基準年度再建築費評点数(新築時評価を引き継いでいる)が正しいものとの前提で審査されている訳です。

 これでは「ビルの評価そのものが正しいのか否か」の審査にはなっていません。そこで、新築時の評価計算書を求めても、『10年以上前の資料は廃棄して存在しない』との回答がある場合もあります。これでは、当該ビルの評価が正しいのかどうかをチェックすること自体できなくなる訳です。

家屋評価簡素化の動き

 これまで、総務省及び一般財団法人資産評価システム研究センターにより、「家屋評価の簡素化」の検討が進められてきています。

 その一つは「広域的比準評価方式」です。

 これは、都道府県等の一定の地域内に所在する家屋を、その実態に応じ、構造、程度、規模等に区別し、各区分ごとに標準とすべき家屋を標準家屋として定め、そこから比準して評価する方式ですが、非木造家屋にも適用している市町村もあります。

 そして、評価基準の「用途別区分」と「部分別区分」の見直し(整理統合)です。
 令和6年度においては、特に木造家屋の用途別区分が13種類であったところが7種類に整理統合されました。

 また、評価計算のデジタル化の開発(一般財団法人資産評価システム研究センターの「レクパス・オート5」等)も進められています。

 しかし、これらの簡素化はいずれも再建築価格方式におけるもので、必ずしも「抜本的な簡素化」になる訳ではありません。

 筆者は、以前から家屋評価の簡素化では「取得価格方式を採用すべき」と主張していますが、これについては第63号「『家屋評価の簡素化』の検討と今後の在り方」をご覧ください。

固定資産税業務の改革の動き

 現在、家屋評価だけでなく固定資産税業務全体の改革の動きが総務省及び各市町村で進められ始めています。

 固定資産税業務の標準化やIT社会に即したデジタル化並びに外部業者への委託等ですが、これらについては課題(問題点)もありますので、別号において報告する予定です。
 
2024/02/13/11:00