(51)相続税評価と固定資産税評価の計算方法はどう違うのか(2)(「大規模宅地」の場合)

 大規模宅地の相続税評価は、課税時期が平成29年12月31日以前の評価方法「広大地の評価」と、平成30年1月1日以降の評価方法「地積規模の大きな宅地の評価」に分かれます。
 一方、固定資産税評価では、固定資産評価基準において規模格差の基準は「大規模工場用地の評価」のみとなっています。
 それでは、相続税の評価を中心に解説していきます。

広大地の評価(平成29年12月31日以前)

 広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められる宅地をいいます。ただし、大規模工場用地に該当する宅地及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適している宅地は除かれます。 
 「広大地の評価」は、かなり低目に評価されることから、相続人にとっては有利な制度でしたが、残念ながら平成29年12月31日で終了となりました。 
 「広大地の評価」

地積規模の大きな宅地の評価(平成30年1月1日以降)

地積規模の大きな宅地とは

 地積規模の大きな宅地とは、三大都市圏においては500㎡以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000㎡以上の地積の宅地をいいます。
 ただし、次のいずれかに該当する宅地は、地積規模の大きな宅地から除外されます。
①市街化調整区域に所在する宅地
②用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地
③指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在する宅地
④財産評価基本通達22-2に定める大規模工場用地

「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地

「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地は、路線価地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地のうち、普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区に所在するものとなります。また、倍率地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地に該当する宅地であれば対象となります。

規模格差率及び評価方法

 「地積規模の大きな宅地の評価」

 なお、上記「規模格差補正率」中の(B)及び(C)は、地積規模の大きな宅地の所在する地域に応じて、それぞれ次に掲げる表のとおりです。
 「(B),(C)の補正率」

大規模宅地評価の計算比較

 それでは、「広大地の評価」と「地積規模の大きな宅地の評価」について、次の事例(路線価:200千円、規模:2,000㎡、普通住宅地、三大都市圏)により、計算してみましょう。
 「大規模宅地の計算比較」

 この計算のとおり、「広大地の評価」に比べ「地積規模の大きな宅地の評価額」はやや高くなります。
 しかし、前者の場合は「通路が必要となるいわゆる戸建開発用地」が対象となっており適用範囲が限られていましたが、後者では、指定容積率400%までの宅地に認められます。このことから、後者では適用範囲がやや広がったとも言える訳です。

固定資産税評価における大規模土地評価

大規模工場用地の評価-固定資産評価基準

 固定資産税評価の全国基準である「固定資産評価基準」では、大規模工場用地(おおむね20万平方メートル以上のものに限る)のみ大規模格差補正が認められています。
 「大規模工場用地の補正率」

「所要の補正」による市町村の規定

 「固定資産評価基準」では、「市町村長は、必要があるときは所要の補正をして、これを適用するもとする」とあり、各市町村の「固定資産評価事務取扱要領」(名称は市町村単位で異なります)において、大規模工場用地以外にも規模格差が適用されている場合があります。

 参考までに、東京都の「広大地補正率表」を掲載します。
 (参考)東京都「広大地補正率」-東京都固定資産 (土地) 評価事務取扱要領

(50)相続税評価と固定資産税評価の計算方法はどう違うのか(1)(「無道路地」の場合)

 今号から「相続税評価と固定資産税評価の計算方法はどう違うのか」を連載しますが、まず「無道路地の相続税評価と固定資産税評価の違い」についてです。
 その前に、相続税評価額と固定資産税評価額の相関関係から説明します。

相続税評価額と固定資産税評価の相関関係

(1)相続税の倍率評価

 土地の相続税評価額の算出方法は、路線価方式と倍率方式に分かれます。
 倍率方式とは、地域・地目ごとに定められている倍率を固定資産税評価額に乗じて求める方法です。

(2)家屋の相続税評価

 家屋の相続税については、固定資産税家屋評価を用いることとされています。

(3)路線価方式の相関関係

 相続税も固定資産税も路線価地域の場合は、路線価方式によりそれぞれの評価額を求めますが、この場合、相続税路線価は地価公示価格の約80%、固定資産税路線価は地価公示価格の約70%とされています。
 これは、平成元年に施行された「土地基本法」第17条(公的土地評価の適正化等)により、公的価格の一元化が図られた結果です。公的土地評価とは「1物4価」と呼ばれ、市場の正常取引価格、地価公示価格、相続税評価額、固定資産税評価額ですが、これにより上記の割合(相続税80%、固定資産税70%)が定めらました。

土地基本法第17条(公的土地評価の適正化等)
「国は、適正な地価の形成及び課税の適正化に資するため、土地の正常な価格を公示するとともに、公的土地評価について相互の均衡と適正化が図られるように努めるものとする。」

 なお本件では、地価公示価格レベルとして200千円/㎡、普通住宅地の地域を想定します。

相続税の無道路地評価

 相続税の無道路地評価方法は、次のとおりです。
(1)無道路地の奥行価格補正後の価額 → (2)不整形地補正(又は間口狭小・奥行長大補正) → (3)無道路地としてのしんしゃく(通路部分の価額) → (4)無道路地相続税評価額
 「無道路地(相続税)」

(1)無道路地の奥行価格補正後の価額

 「奥行価格補正率(相続税)」

①無道路地[1]と前面宅地[2]を合わせた土地の奥行価格後の価額
◆奥行価格補正率(普通住宅地40m)…0.91
◆[1]と[2]の地積の合計…800㎡
<160千円×0.91×800㎡=116,480千円>
②前面宅地[2]の奥行価格補正後の価額
◆奥行価格補正率(普通住宅地20m)…1.00
◆[2]の地積…400㎡
<160円×1.00×400㎡=64,000千円>
③①の価額から②の価額を控除して求めた無道路地[1]の奥行価格補正後の価額
<116,480千円ー64,000千円=52,480千円>

(2)不整形地補正(又は間口狭小・奥行長大補正)

 「不整形地補正率(相続税)」

 「間口狭小・奥行長大補正率(相続税)」

◆不整形地補正率(普通住宅地区・地積区分A・かげ地割合50%)…0.79
◆間口狭小補正率(間口距離2m)…0.90
◆奥行長大補正率(間口距離2m・奥行距離40m)…0.90
(不整形地補正率×間口狭小補正率)0.79×0.90=0.71(a)
(間口狭小補正率×奥行長大補正率)0.90×0.90=0.81(b)
(a)<(b)により、不整形地補正率は0.71
◆[1]の奥行価格補正後の価額×不整形地補正率
<52,480千円×0.71=37,260千円>(不整形地補正後の[1]の価額])

(3)無道路地としてのしんしゃく(通路部分の価額)

<160千円×40㎡=6,400千円>
限度額(<37,260千円×0.4=14,904千円)
※不整形地補正後の[1]の価額の4割以下

(4)無道路地の相続税評価額

◆不整形地補正後の[1]の価額ー通路部分の価額=無道路地の相続税評価額
<37,260千円ー6,400千円=30,860千円>

固定資産税の無道路地評価

 固定資産税の無道路地の評価方法は、次のとおりです。
(1)無道路地の補正率 → (2)1㎡当たりの評点数
 「無道路地(固定資産税)」

(1)無道路地の補正率

 無道路地[1]の奥行価格補正率×前面宅地[2]の通路開設補正率×無道路地補正率0.6
※無道路地補正率0.6は一律
 「奥行価格補正率(固定資産税)」

①無道路地[1]の奥行価格補正率(40m普通住宅地)…0.92
 「通路開設補正率(固定資産税)」

②前面宅地[2]の通路開設補正率(20m)…0.80
③無道路地補正率…0.60
④無道路地の補正率(①×②×③)
<0.92×0.80×0.60=0.44>

(2)1㎡当たりの表点数

<140,000円×0.44=61,600円>

※以上のとおり、固定資産税の無道路地評価は無道路地補正率が一律0.6とされており、相続税の評価より簡単な方法になっています。
 なお、土地の固定資産税評価額は、路線価方式による計算に加えて「住宅用地の特例」や「負担調整措置の仕組み」もありますので、ご注意ください。

(49)大阪市が政令指定都市でなくなると固定資産税はどうなるか

本号は令和2年10月20日時点の記載です。)
 令和2年11月1日に「大阪都構想」(※)の住民投票が行われますが、本構想が賛成多数で認められた場合、大阪市が課税している固定資産税はどうなるのでしょうか。
(※)正式名称は『大阪市廃止・特別区設置構想』ですが、以下「いわゆる大阪都構想」とします。

【『大阪市廃止・特別区設置構想』の賛否投票の結果→否決】
 令和2年11月1日に『大阪市廃止・特別区設置構想』の賛否投票が行われた結果、「反対」69万2996票、「賛成」67万5829票で、同構想は否決されました。

 ところで、固定資産税は本来市町村の課税科目ですが、全国で唯一東京都の特別区23区だけが東京都による課税となっています。

 その前に、政令指定都市とはどのような権限を有するかについて、簡単に触れておきます。

政令指定都市の権限

 政令指定都市には、事務権限や行政組織、財政などにおいて特例が認められています。
<事務権限>
 市民に密接に関わる事務の権限を移譲されることで、迅速かつきめ細かな対応が可能になります。
・子育て・教育(児童相談所の設置、小中学校教職員の任免等)
・健康・福祉(精神保健福祉センターの設置、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の発行)
・安全・安心(国道・都道府県道の管理、都市計画の決定、消防局への特別高度救助隊の設置)
<行政組織>
 行政区、区選挙管理委員会、人事委員会などの設置ができるようになります。特に、行政区の設置により、区役所を中心に地域の特色を活かしたまちづくりや、地域の実情に沿った対応などが可能になります。
<財政>
 地方交付税、軽油引取税交付金、宝くじ収益金など、財政基盤の強化が図られ、大都市にふさわしい財政運営が可能になります。

固定資産税は市町村の基幹税

 まず、市町村に普通税として課税される税目が地方税法第5条2項に規定されています。

(地方税法第5条第2項)
一 市町村民税
二 固定資産税
三 軽自動車税
四 市町村たばこ税
五 鉱産税
六 特別土地保有税

 次の図は平成30年度の全国統計からのものですが、固定資産税は市町村税の約40%を占め、市町村民税とともに、福祉、救急、ゴミ収集等基礎的な行政サービスを提供する市町村を支える基幹税目として、重要な役割を果たしています。

 「市町村税の割合」

政令指定都市の大阪市は継続すべき

 前記のとおり、地方税法第5条第2項で、固定資産税は市町村の普通税として位置づけられ、しかも市町村税の約40%を占めています。

 ところが「いわゆる大阪都構想」が認められた場合、名称は大阪都にはなりませんが、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」により、都とみなされます。

(大都市地域における特別区の設置に関する法律・第10条)
「特別区を包括する道府県は、地方自治法その他の法令の規定の適用については、法律又はこれに基づく政令の特別の定めがあるものを除くほか、都とみなす。」

 さらに、その都とみなされる大阪府は、地方税法734条により、固定資産税の課税権限を有することになります。

地方税法第734条(都における普通税の特例)
「第1項 都は、その特別区の存する区域において、普通税として、……第5条第2項第二号及び第六号に掲げるものを課するものとする。この場合において、都を市とみなして第三章第二節及び第八節の規定を準用する。」

 新たに設定される特別区4区は政令指定都市ではないため、上記の政令指定都市の権限は基本的になくなり、特別区4区の自主財源は、個人市民税、軽自動車税、市たばこ税のみとなり大幅に縮小します。
 ただし、「いわゆる大阪都構想」が認められた場合、特別区4区に大阪府から、財政調整金(固定資産税のほか法人市町村税、特別土地保有税)と財政調整交付金、及び目的税交付金が渡されることとされているそうですが。

 しかし、今までの大阪市は政令指定都市として相当な権限を与えられているにもかかわらず、今後、特別区になるとそれがなくなります。

 特別区4区の人口は大阪府内の約30%に過ぎず、府議会での決定権限においても限界があります。
 東京都は、全国で唯一の固定資産税の課税権を有している都道府県ですが、東京23区は都内人口の70%を占め、首都としての一局集中もありますので、この点では大阪府の特別区4区とは大きな違いがあります。

 筆者が住む横浜市も古くからの政令指定都市ですが、神奈川県・横浜市間で二重行政の争いなどは聞いたことがありません。また、全国で政令指定都市は20都市ありますが、二重行政の争いは、大阪府・大阪市間だけではないでしょうか。
 大阪府と大阪市においても、これまで二重行政の解消に努めてこられてきたと認識していますが、ここで政令指定都市としての大阪市を廃止することは、大阪市民にとってのメリットはまったく無いのではないでしょうか。

以上

(48)新型コロナウイルスによる事業収入減少の固定資産税

 新型コロナウイルス感染症の影響で事業収入が減少している中小企業者・小規模事業者(以下「中小事業者等」)に対して固定資産税・都市計画税の減免が行われます。
 政府は、令和2年4月30日に「地方税法等の一部を改正する法律」を改正・施行しました。
 この改正の中で固定資産税に関する項目としては、①徴収の猶予制度の特例、②中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税等の軽減措置、③生産性革命の実現に向けた固定資産税の特例措置の拡充、があります。
 今回は、②の中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税等の軽減措置についてお知らせします。
(これは、新型コロナウイルス対策という時限的対応ですので、ご注意ください。)

軽減措置の概要

 中小事業者等の税負担を軽減するため、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための措置に起因して、事業収入が減少した中小事業者等が所有する事業用家屋及び償却資産について、令和3年度分の固定資産税又は都市計画税の課税標準額を事業収入の減少割合に応じて、ゼロ又は2分の1とされます。

軽減措置の要件等

(1)対象者

 令和2年2月から10月までの任意の連続する3ヵ月間の事業収入が、前年の同期間の事業収入と比べて、30%以上減少している中小事業者等であること。
※中小事業者等とは
・会社及び資本又は出資を有する法人 : 賦課期日において資本金又は出資の総額が1億円以下
・資本又は出資を有しない法人や個人 : 賦課期日において従業員1,000人以下
・みなし大企業に該当しない

(2)事業収入の減少幅及び特例率

・事業収入が50%以上減少している場合→適用される特例率「ゼロ」
・事業収入が30%以上50%未満減少している場合→適用される特例率「2分の1」

(3)特例の対象となる範囲

 事業用家屋の事業の用に供している部分(居住の用に供している部分は適用対象外)及び所有する事業の用に供する償却資産。

(4)特例が適用される期間

 令和3年度のみ

申告方法

 中小事業者等は、税理士、会計士等の認定経営革新等支援機関等に①中小事業者等であること、②事業収入の減少、③特例対象家屋の居住用・事業用割合についての確認書を発行してもらい、令和3年1月まで固定資産税の納付する市町村に申告することになります。
※ 詳細については、各市町村にお問合わせください。

(47)所有者が不明の土地・家屋の固定資産税

 今回は、所有者が不明な土地と家屋の固定資産税についてです。
 そもそも、なぜ所有者不明な固定資産(土地と家屋)が生じるのでしょうか。
 まず所有者不明な土地と家屋が増加する原因としては、相続が生じても相続登記が行われないことにあります。この傾向は、今後、超高齢化社会と人口減少が進むにつれ、更に深刻な問題となっていくことが予想されます。
 その前に、固定資産税の納税義務が地方税法上どうなっているのかについて、復習しておきたいと思います。

固定資産税の納税義務者とは

(1)納税義務者は登記・登録されている所有者

 固定資産税(土地及び家屋に限定)の納税義務者は、原則として登記簿に所有者として登記されている者(登記簿所有者)又は土地・家屋補充課税台帳に登録されている者をいいます(地方税法第343条1項、2項)。
その意味では、固定資産税の納税義務者は、必ずしも真実の所有者とは限りません。
 また、この納税義務者は賦課期日(毎年の1月1日現在)に登記・登録されている者ですが、この登記・登録されている者が賦課期日前に死亡しているときは、固定資産税を「現に所有している者」が固定資産の所有者となります。

※地方税法第343条1項、2項(中略)
「1.固定資産税は、固定資産の所有者に課する。
2.前項の所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいう。この場合において、所有者として登記又は登録されている個人が賦課期日前に死亡しているときは、同日において当該土地又は家屋を現に所有している者をいうものとする。」

(2)連帯納税義務

 納税義務者が賦課期日前に死亡した場合、相続人間で遺産分割協議が成立していて相続登記がされていれば、その者が新たな納税義務者になりますが、遺産分割協議が行われていない場合には、法定相続人全員が共有者として「現に所有している者」として納税義務者になります。
 これは連帯納税義務として、法定相続人全員が各々独立して全部の納税義務を負うことになります。
 一方、賦課期日後に納税義務者が死亡した場合、納税義務者はあくまでも賦課期日時点(1月1日)の所有者となります。
 ここで、相続人が複数おり、遺産分割協議が行われた場合には、その者が現実の納税義務者となっていますが、仮に遺産分割協議が行われていない場合は、各相続人はその法定相続分により按分した額の納税義務を負うことになります。この点が賦課期日前に死亡したときと異なります。
 また、この場合、市町村の長は、納税通知書等を受領する代表者を指定することができます。

※地方税法第9条の2(中略)
「1.納税者につき相続があつた場合において、その相続人が2人以上あるときは、これらの相続人は、そのうちから書類を受領する代表者を指定することができる。この場合において、その指定をした相続人は、その旨を地方団体の長に届け出なければならない。
2.地方団体の長は、相続人の一人を指定し、その者を同項に規定する代表者とすることができる。」

なぜ所有者不明の土地・家屋が発生するか

(1)所有者不明土地・家屋の発生要因

 ところで、納税義務者が死亡して相続登記がなされる場合には、その情報が課税する市町村に通知され新たな納税義務者を把握することが出来ますが、相続登記がなされない場合には、死亡の事実の把握も新たな納税義務者を決めることも簡単ではありません。
 納税義務者の住所地が固定資産税の課税庁と同一であれば、情報の連携・共有を図ることにより、死亡の事実を把握することは可能ですが、住所地が課税市町村と異なる場合の納税義務者(住民登録外者)の場合には、死亡の事実を把握することは容易ではありません。

(2)住民登録外者の本人(死亡情報)確認の方法

 平成11年に総務省が、市町村の区域を越えた住民基本台帳に関する事務の処理を行うため、地方公共団体共同のシステムとして、住民基本台帳のネットワークシステム化を図りました(「住基ネット」)。
 しかし、この活用のためには、課税台帳とマイナンバーの連携が必要なところ、マイナンバーの活用自体が進んでいないことから、この住基ネットの活用も進んでいません。
 また、納税義務者の法定相続人を特定するため、課税担当として戸籍調査を行っていますが、この作業は被相続人と法定相続人全員の本籍地に対して戸籍簿を請求・取得する必要があります。これは、相続の階数が増えている場合や、相続人が多数に及ぶ場合には相当な時間がかかることになります。

所有者不明の固定資産への対応策

 それでは、所有者不明の固定資産税はどのように課税されているのでしょうか。
 もちろん、課税担当として相続人を調査して判明すれば、その者に課税しますが、法定相続人の調査が出来きれない場合や法定相続人の一部が判明した場合には、その一部の者に対して納税通知書を送付している市町村も多いようです。
 また、賦課期日に現に所有している者の一部が特定できている場合、判明している所有者のみに課税を行っている市町村もあります、
 一方では、戸籍等による相続人調査が途中で途切れてしまい、相続人の存否すら明らかにならない場合もあり、お手上げ(課税保留)の場合もあります。
 そこで、この所有者不明な土地・家屋への対応としては、まず「相続登記の法的義務化ができないか」ということでしょう。また、「市町村の条例で”現に所有する所有者”の届出の義務づけができないか」等々の検討が必要となっています。

所有者不明土地法が施行

 ところで、国土交通省は「所有者不明土地の利用の円滑化に関する特別措置法」(「所有者不明土地法」という法律を施行(平成30年6月13日公布)されています。この法律の概要は①所有者不明土地を円滑に利用する仕組み②所有者の探索を合理化する仕組み③所有者不明土地を適切に管理する仕組み、の3点からなります。
 なお、平成28年度地籍調査において、所有者不明土地の割合が全国で約20%になるとのことです。