(8号)土地と家屋は3年毎に評価替え(基準年度と下落修正)

(第1回目投稿:平成25年、第2回目見直し:令和4年4月)

 土地と家屋の評価替えは3年毎に行われ、この年度を基準年度(又は評価替え年度)と言います。
 最近の基準年度は令和3年度で次が令和6年度になります。

 この3年毎の基準年度と基準年度との間の年度(令和4年度、令和5年度等)は据置年度と言います。

 ここに固定資産税の3年単位のスケジュール図を掲載します。
「固定資産税の3年スケジュール」

土地の評価替えスケジュール

土地評価額の決定(賦課期日と価格調査基準日)

 土地の評価替えは、原則として3年(基準年度)毎になりますが、そのためには1年前の価格調査基準日に向けて評価作業を行う必要があります。

 土地の評価としては、毎年の地価公示(1月1日現在で公表は3月)と地価調査(7月1日現在で公表は9月)の価格が不動産鑑定士により行われています。
 また固定資産税では、地価公示と地価調査のみではポイント不足のため、地区毎に標準宅地を選定して、不動産鑑定士による鑑定評価が行われています。

 ただし、価格調査基準日は賦課期日の1年前ですので、この間に著しい地価の下落が認められる場合には、1月1日の価格調査基準の価格を7月1日の地価調査により修正した上で、賦課期日における固定資産税の土地価格とします。

 固定資産税の価格は、地価公示地価格、地価調査地価格及び標準宅地の価額の7割とされていますので、そこから3月末までに路線価の付設や各筆(画地)の評価を行うことになります。

据置年度の土地下落修正

 固定資産税の評価替えは基準年度が原則ですが、平成11年度から、据置年度に地価が下落し固定資産税課税上著しく均衡を失する場合等においては、土地の下落修正を行うことができるようになっています。
 この判断は、市町村長により毎年7月1日現在の都道府県地価調査と不動産鑑定士による鑑定評価等から把握して決めていくことになります。

<据置年度における土地の価格の特例>
※地方税法附則第17条の2
「当該市町村の区域内の自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において地価が下落し、かつ、市町村長が、当該地域に所在する土地に対して課す当該年度分の固定資産税の課税標準とすることが固定資産税の課税上著しく均衡を失すると認める場合における当該土地に対して課する当該年度分の固定資産税の課税標準は、当該土地の修正前の価格を総務大臣が定める基準により修正した価格で土地課税台帳等に登録されたものとする。」(中略)

※固定資産評価基準第12節二
「1 令和3年度の宅地の評価においては、市町村長は、令和2年1月1日から令和2年7月1日までの間に標準宅地等の価額が下落したと認める場合には、第3節一から三まで及び本節一によって求めた評価額に次に掲げる方法により修正を加えることができるものとする。
1 宅地の価額の修正は、次によるものとする。
(1) 宅地の価額の下落状況を把握する。
(2) 宅地を区分し、その区分ごとに修正率を適用する。
2 宅地の価額については、国土利用計画法施行令による都道府県地価調査及び不動産鑑定士による鑑定評価等を活用し、下落状況を把握するものとする。(中略)」

家屋の評価替えスケジュール

中古(在来)家屋の評価方法

 固定資産税家屋の新築時の評価方法は再建築価格方式ですが、これは大変複雑で課税誤りの原因の一つにもなっています。
 新築家屋の評価方法については、後のブログで詳細を記しますので、ここでは省略します。

 新築家屋以外の基準年度における評価替えは、中古(在来)家屋の評価になります。
 中古(在来)家屋の計算方法は、前基準年度再建築費評点に築年数の経過年数に応じた経年減点補正率を乗じて求めますが、「再建築費評点補正率」も考慮されます。
「中古(在来)家屋の評価方法」

建設物価上昇時の家屋評価額

 この「再建築費評点補正率」は、再建築価格方式が現時点で新しく建築した場合の価格を想定するため、建設物価の状況も把握する必要があるためです。
 通常は、家屋の評価額は年数の経過に伴って下がるのですが、再建築価格方式では、現在の建設物価をも反映させる必要があるため、仮に建設物価が上昇しているときは、計算上評価額が上がる場合もあります。

 この図の右側が建設物価上昇時を示していますが、「経年による減価」は当然年数に従って下がりますが、「建設物価上昇」時では「再建築費評点補正率」の数字が上がり、計算上の評価額が上がる場合です。
(※この再建築費評点補正率は、全国的に評価替え年度ごとに基準で示されます(令和3年度は、木造1.04、非木造1.07)。

 しかし、この場合には、中古(在来)家屋の評価額を上げる訳にはいかないため、「評価額据置」となります。

「建設物価が上昇した場合の評価額」

審査の申出と訴訟の提起

 前号でも説明したとおり、毎年4~5月の初旬に、納税通知書と課税明細書が送付されてきますが、仮に価格に不服がある場合は、納税通知書の送付を受けた後3ヵ月以内に「審査の申出」を行うことができます。
 なお、この「審査の申出」は、原則として、3年毎の基準年度のみに行うことができるものです。

 ただし、次の場合は、据置年度においても「審査の申出」を行うことができます。
①新規の課税
・新しく新築された家屋
・新しく造成された土地
②価格の見直し
・土地の地目の変更、家屋の増改築
③土地価格の下落修正
・据置年度において地価の下落がある場合には、市町村長の判断で下落修正が可能で、その価格

<固定資産課税台帳に登録された価格に関する審査の申出>
※地方税法432条1項
「固定資産税の納税者は、その納付すべき当該年度の固定資産税に係る固定資産について固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合においては、納税通知書の交付を受けた日後3ヵ月を経過する日まで、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる。」(中略)

 固定資産税の価格に不服があり、訴訟に訴えようとする場合には、まずこの不服審査申出を行わなければなりません。これを審査請求前置主義と言います。

 そして、この審査申出の決定(採決)に不服がある場合は、その送達を受けた日の翌日から起算して6ヵ月以内に訴訟を提起することができます。
 この場合の被告は市町村ですが、地方税法434の2により、「審査委員会が当該市町村を代表する」こととされています。

 なお、この審査請求前置主義も必ずしも絶対ではなく、国家賠償法に基づく訴訟提起が出来る場合があるとの最高裁の判決(平成22年5月3日)がありますが、この点については、改めて触れることとします。

<争訟の方式>
※地方税法第434条第1項
「固定資産税の納税者は、固定資産評価審査委員会の決定に不服があるときは、その取消しの訴えを提起することができる。」

<抗告訴訟の取扱い>
※地方税法第434条の2
「固定資産評価審査委員会は、固定資産評価審査委員会の行政事件訴訟法第3条第2項に規定する処分又は同条第3項に規定する裁決に係る同法第11条第1項の規定による市町村を被告とする訴訟について、当該市町村を代表する。」

<出訴期間>
※行政事件訴訟法14条1項
「取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知った日から6ヶ月を経過したときは、提起することができない。」