(70号)区分所有マンションの面積把握と評価について

(第1回目投稿:令和3年、第2回目見直し:令和4年6月)

 今号は、区分所有マンションの面積はどのように把握されるかについて解説します。

 区分所有マンションは、戸建住宅とは異なり、一棟の建物に独立した住居や店舗・事務所からなる「専有部分」とともに、廊下・エレベーター・階段などのように区分所有者が共同で利用する「共用部分」、また土地も原則として共用持分(「共用土地」)となっています。

 従って区分所有マンションにおいて、区分所有者は「専有部分」の所有権、建物「共用部分」の共有持分、「共用土地」(敷地の共有持分)という3種類の権利を持っていることになります。

 なお、戸建住宅など一般建物の場合には、所有権がすべての土地建物に及びますので「専有面積」という概念はありません。従って、戸建住宅等一般建物の固定資産家屋の床面積は、基本的に壁芯面積を基にして評価します。
 タワーマンションについては、別途説明します。

区分所有権の仕組み

区分所有建物とは

※区分所有法第1条、第2条1項2項
(建物の区分所有)
第1条 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。
(定義)
第2条 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第4条第2項の規定により「共用部分」とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
2 この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。

 マンションでは、一棟の建物が隔壁や階層などによって他の部分と遮断されていますが、その一つ一つの独立した部分が住居・店舗・事務所として家屋本来の用途に供することができる状態にあるとき、その建物を区分所有することができることになっています。

 ここで区分所有建物とは、構造上区分され、独立して住居・店舗・事務所・倉庫等の用途に供することができる数個の部分から構成されているような建物のことです。

 区分所有建物となるためには次の2つの要件を満たすことが必要です。
 ①建物の各部分に構造上の独立性があること
 これは、建物の各部分が他の部分と壁等で完全に遮断されていることで、ふすま、障子、間仕切りなどによる遮断では足りません。
 ②建物の各部分に利用上の独立性があること
 これは、建物の各部分が、他の部分から完全に独立して、用途を果たすことを意味しています。例えば居住用の建物であれば、独立した各部分がそれぞれ一つの住居として使用可能でます。

 上記①と②を満たすような建物の各部分について、それぞれ別個の所有権が成立しているとき、その建物は区分所有建物と呼ばれ、民法の特別法である「建物の区分所有等に関する法律」(「区分所有法」又は「マンション法」とも呼ばれています)が適用されます。

 そして、このように建物を区分所有した場合、その建物は「専有部分」と「共用部分」とに分類して取り扱われます。

「専有部分」とは

※区分所有法第2条3項
3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。

 「専有部分」とは、一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるもの(つまり、構造上の独立性と利用上の独立性を有する部分)であって、区分所有権の目的であるものです。

「共用部分」とは

  分譲マンションのような区分所有建物について、区分所有者が全員で共有している建物の部分を「共用部分」といいいます。

※区分所有法第2条4項
(定義)
4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第4条第2項の規定により「共用部分」とされた附属の建物をいう。
(「共用部分」)
第4条 数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。
2 第1条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により「共用部分」とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

 上記により、「共用部分」は法定共用部分(第4条1項)と規約共用部分(第4条2項)からなります。
①法定共用部分
 数個の「専有部分」に通じる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供される建物の部分です。
(例:玄関ホール、廊下、階段、エレベーターホール、内外壁、界壁、床スラブ、基礎部分、ベランダ、バルコニー、屋内駐車場、電気室等)
※よくベランダ、バルコニーを「専有部分」と勘違いしている人がおりますが、これは「共用部分」です。一般的には、ベランダは2階以上にあり、住戸から外に張り出していてある程度の雨風をしのげる屋根のあるスペースを指します。雨の日でもそこで濡れずに過ごせますし、洗濯物も干すことができます。バルコニーはベランダと同様のスペースですが、大きく異なるのは屋根がないことです。
②規約共用部分
 本来は「専有部分」であるが、規約により「共用部分」とすることができる部分です。
(例:管理事務室、管理用倉庫、集会室)

区分所有マンション(家屋)の課税

 地方税法の規定では、区分所有に係る家屋に対する固定資産税の課税は、区分所有に一棟の家屋を一括して評価のうえ、当該家屋の税額を算定し、その税額を各々の区分所有者に配分し、その額を各区分所有者の納付すべき税額とされます。

※地方税法第352条1項(区分所有に係る家屋に対して課する固定資産税)
「区分所有に係る家屋に対して課する固定資産税については、当該区分所有に係る家屋の建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分(以下この条及び次条において「専有部分」という。)に係る同法第2条第2項に規定する区分所有者(以下固定資産税について「区分所有者」という。)は、第10条の2第1項の規定にかかわらず、当該区分所有に係る家屋に係る固定資産税額を同法第14条第1項から第3項までの規定の例により算定した専有部分の床面積の割合(専有部分の天井の高さ、附帯設備の程度その他総務省令で定める事項について著しい差違がある場合には、その差違に応じて総務省令で定めるところにより当該割合を補正した割合)により按分した額を、当該各区分所有者の当該区分所有に係る家屋に係る固定資産税として納付する義務を負う。」

※建物の区分所有等に関する法律第14条(共用部分の持分の割合)
「1 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。

一棟家屋の評価額の算出

 区分所有者以外の家屋と同様に、固定資産評価基準を用いて一棟全体の1㎡当たりの再建築評点数を算出します。

各区分所有者の床面積の算出

 各区分所有の床面積は、次の算式により求めます。
 床面積=①「専有部分」の床面積 + ②共用面積
①「専有部分」の床面積
 この専有面積の床面積は、不動産登記法により定められた内壁で囲まれた部分の面積(登記簿に記載された面積)です。
* 専有面積の床面積については 「床面積は3種類」で説明します。
②共用面積
 共用面積は、一棟全体の床面積から各専有面積の合計を引いた床面積を、各専有面積の合計専有面積に対する割合に応じて按分した面積となります。
 (計算例)
・一棟全体の床面積…380㎡
・各「専有部分」の床面積(登記簿面積)
 A…60㎡、B…50㎡、C…50㎡、D…60㎡、E…70㎡
(「専有部分」床面積の合計290㎡)
・「共用部分」の床面積…380㎡—290㎡=90㎡
※マンションの敷地面積…120㎡
「各所有者の課税床面積」

区分所有マンションの敷地の課税

 分譲マンションなどの区分所有家屋の敷地の用に供されている土地(共用土地)のうち、次の①②の要件をみたす共用土地に対する固定資産税については、全体の税額を各区分所有者の共用土地の持分割合により按分した税額により分割課税されます。
①共用土地が区分所有家屋の所有者全員によって共有されていること。
②各共有者の土地の持分割合が、その者の区分所有家屋の専有部分の床面積の割合と一致すること。

 ここでAの敷地の課税面積を計算してみますと、120㎡(全体の敷地面積)× 0.2069(按分面積)=24.82㎡となります。
 なお、通常、マンション用地は居住用土地ですので、評価額においては、土地全体の本則課税標準額が1/6となります(「専有部分」1戸当たり200㎡が換算されますので、まず土地全体が1/6になると考えて差し支えありません)。

マンション「専有部分」床面積は3種類

 マンションの「専有部分」の床面積は、販売面積(壁芯面積)、登記面積(内法面積)、課税床面積(課税床面積)の3種類あります。
 ここに、壁芯面積と内法(うちのり)面積の図を示します。

販売時の専有面積(壁芯面積)

 マンションなどの区分所有建物を購入される場合、販売図面やパンフレットに専有面積が記載されています。この専有面積は、壁や柱の中心(壁芯)から計算した壁芯面積で示します。つまり、壁や柱の厚みを半分含めて面積を算出します。建築基準法でも床面積といえば壁芯面積を意味します。

登記面積(内法面積)

 マンションなど区分所有建物の場合には、登記するときの面積は壁や床の境界より内側を登記簿上の面積とします。つまり、壁や柱などの厚みを一切考慮しない「内法(うちのり)面積」と呼ばれる面積を計算します。この「内法(うちのり)面積」は、居住者が実際に生活で使用する空間が使用している部分である、との考え方からです。

※不動産登記規則第115条
「1棟の建物を区分した各建物(各専有部分等の登記部分)の床面積は、内壁で囲まれた 部分の水平投影面積により定める。」

課税床面積(現況床面積)

 固定資産税の評価で使われるマンションの場合の床面積は、これまで説明してきたとおり、内法面積で測った「専有部分」の面積(登記面積)に、「共用部分」の持分面積(按分)を加えた面積となります。
 毎年送られてくる固定資産税の課税明細書にある家屋の床面積が、購入したときの面積、登記簿面積より大きくなっているのはこのような理由によります。