(50)相続税評価と固定資産税評価の計算方法はどう違うのか(1)(「無道路地」の場合)

 今号から「相続税評価と固定資産税評価の計算方法はどう違うのか」を連載しますが、まず「無道路地の相続税評価と固定資産税評価の違い」についてです。
 その前に、相続税評価額と固定資産税評価額の相関関係から説明します。

相続税評価額と固定資産税評価の相関関係

(1)相続税の倍率評価

 土地の相続税評価額の算出方法は、路線価方式と倍率方式に分かれます。
 倍率方式とは、地域・地目ごとに定められている倍率を固定資産税評価額に乗じて求める方法です。

(2)家屋の相続税評価

 家屋の相続税については、固定資産税家屋評価を用いることとされています。

(3)路線価方式の相関関係

 相続税も固定資産税も路線価地域の場合は、路線価方式によりそれぞれの評価額を求めますが、この場合、相続税路線価は地価公示価格の約80%、固定資産税路線価は地価公示価格の約70%とされています。
 これは、平成元年に施行された「土地基本法」第17条(公的土地評価の適正化等)により、公的価格の一元化が図られた結果です。公的土地評価とは「1物4価」と呼ばれ、市場の正常取引価格、地価公示価格、相続税評価額、固定資産税評価額ですが、これにより上記の割合(相続税80%、固定資産税70%)が定めらました。

土地基本法第17条(公的土地評価の適正化等)
「国は、適正な地価の形成及び課税の適正化に資するため、土地の正常な価格を公示するとともに、公的土地評価について相互の均衡と適正化が図られるように努めるものとする。」

 なお本件では、地価公示価格レベルとして200千円/㎡、普通住宅地の地域を想定します。

相続税の無道路地評価

 相続税の無道路地評価方法は、次のとおりです。
(1)無道路地の奥行価格補正後の価額 → (2)不整形地補正(又は間口狭小・奥行長大補正) → (3)無道路地としてのしんしゃく(通路部分の価額) → (4)無道路地相続税評価額
 「無道路地(相続税)」

(1)無道路地の奥行価格補正後の価額

 「奥行価格補正率(相続税)」

①無道路地[1]と前面宅地[2]を合わせた土地の奥行価格後の価額
◆奥行価格補正率(普通住宅地40m)…0.91
◆[1]と[2]の地積の合計…800㎡
<160千円×0.91×800㎡=116,480千円>
②前面宅地[2]の奥行価格補正後の価額
◆奥行価格補正率(普通住宅地20m)…1.00
◆[2]の地積…400㎡
<160円×1.00×400㎡=64,000千円>
③①の価額から②の価額を控除して求めた無道路地[1]の奥行価格補正後の価額
<116,480千円ー64,000千円=52,480千円>

(2)不整形地補正(又は間口狭小・奥行長大補正)

 「不整形地補正率(相続税)」

 「間口狭小・奥行長大補正率(相続税)」

◆不整形地補正率(普通住宅地区・地積区分A・かげ地割合50%)…0.79
◆間口狭小補正率(間口距離2m)…0.90
◆奥行長大補正率(間口距離2m・奥行距離40m)…0.90
(不整形地補正率×間口狭小補正率)0.79×0.90=0.71(a)
(間口狭小補正率×奥行長大補正率)0.90×0.90=0.81(b)
(a)<(b)により、不整形地補正率は0.71
◆[1]の奥行価格補正後の価額×不整形地補正率
<52,480千円×0.71=37,260千円>(不整形地補正後の[1]の価額])

(3)無道路地としてのしんしゃく(通路部分の価額)

<160千円×40㎡=6,400千円>
限度額(<37,260千円×0.4=14,904千円)
※不整形地補正後の[1]の価額の4割以下

(4)無道路地の相続税評価額

◆不整形地補正後の[1]の価額ー通路部分の価額=無道路地の相続税評価額
<37,260千円ー6,400千円=30,860千円>

固定資産税の無道路地評価

 固定資産税の無道路地の評価方法は、次のとおりです。
(1)無道路地の補正率 → (2)1㎡当たりの評点数
 「無道路地(固定資産税)」

(1)無道路地の補正率

 無道路地[1]の奥行価格補正率×前面宅地[2]の通路開設補正率×無道路地補正率0.6
※無道路地補正率0.6は一律
 「奥行価格補正率(固定資産税)」

①無道路地[1]の奥行価格補正率(40m普通住宅地)…0.92
 「通路開設補正率(固定資産税)」

②前面宅地[2]の通路開設補正率(20m)…0.80
③無道路地補正率…0.60
④無道路地の補正率(①×②×③)
<0.92×0.80×0.60=0.44>

(2)1㎡当たりの表点数

<140,000円×0.44=61,600円>

※以上のとおり、固定資産税の無道路地評価は無道路地補正率が一律0.6とされており、相続税の評価より簡単な方法になっています。
 なお、土地の固定資産税評価額は、路線価方式による計算に加えて「住宅用地の特例」や「負担調整措置の仕組み」もありますので、ご注意ください。