◆ 地目は土地の利用面から分類
1号で書いたように、固定資産税の種類は、土地、家屋、償却資産の3つです。
当面は土地についての連載となりますので、まず固定資産税の土地とは何かということです。
地方税法341条2項では、「土地とは、田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、山林、牧場、原野その他の土地をいう」とされています。
ここでお分かりのように、地方税法では「土地とは何か」という積極的な定義がされているのではなく、土地の利用面からの分類、すなわち土地の地目を掲げた定義となっています。
固定資産税の土地の評価は地目ごとに行います。したがって、当然、固定資産評価基準にも地目が定められています。
固定資産評価基準(土地の評価の基本)
「土地の評価は、次に掲げる土地の地目別に……田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、雑種地」
上の地方税法の定義と比べると、若干の違い(塩田が無くなって池沼が入っている)がありますが、ほぼ同じ地目となっています。
この中で中心となる地目は、宅地、田、畑、山林あたりですが、もう一つ雑種地、実はこれが固定資産税評価の中ではかなり重要な地位を占めています。
ところで、地方税法と固定資産評価基準では地目の意義の定義がされていません。
固定資産税の地目の意義は、不動産登記法の地目の定義と同じ、具体的には不動産登記事務取扱手続準則の定めるとおりとされています。
そこで、参考までに不動産登記法の地目を掲げます。
不動産登記法の地目…田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地
固定資産税の地目は9種類ですが、不動産登記法はそれよりはるかに多い23種類です。
ここで、例えば「宅地」という同一の地目がありますが、それは基本的に同じものと考えて差し支えありません。つまり、その分、固定資産税の雑種地の役割が大きいことになります。
例えば、固定資産税のゴルフ場用地や鉄道用地などは雑種地に含まれることになる訳です。
◆ 不動産鑑定評価での土地の種別
不動産鑑定評価では、土地の種別(地目とは言いません)は、その属する地域の種別に応じて分類される土地の区分となります。
土地の種別は宅地、農地、林地、見込地、移行地に分けられます。
これらは、さらに地域の種別の細分化に応じて、例えば宅地でしたら、住宅地、商業地、工業地等に細分されます。
例えば、市街化区域で駐車場に利用されている土地は、固定資産税評価では雑種地評価ですが、不動産鑑定評価では宅地評価を行うことになります。
もちろん、いきなりそう決めるのではありません。
不動産鑑定評価では、一般的要因を始めとして、地域要因及び個別的要因を分析した上で、その土地の最有効使用が住宅用の土地と判断される、という手順を経る必要があります。
◆ 地目の認定は現況主義
固定資産税の土地評価上の地目の認定は、現況の地目によります。
では、土地の地目が登記簿と現況が異なる場合は、どうなるのでしょう。
例えば、登記簿上の地目が公衆用道路となっているのに、実際には家屋が建っている土地の場合です。
この土地の固定資産税の地目は、現況主義によって「宅地」と認定されます。
このような現況主義は、土地の面積は現地調査で見ただけでは判断できませんが、地目は現地調査で認定することが比較的容易であるからです。
ところで、固定資産税を担当する市町村の職員は、どの程度の実地調査を行っているのでしょうか。
地方税法408条に(固定資産税の実地調査)が規定されています。
「市町村長は、固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少なくとも一回実地にさせなければならない。」
「固定資産評価員」及び「固定資産評価補助員」とは、いずれも市町村の固定資産税を担当する職員のことですが、「評価補助員」は担当者全員がなります。また、「評価員」はそのセクションの長があたるのが普通ですが、その市町村の議会での同意が必要とされています。(「評価員」が置かれていない市町村もあります。)
一般的に、固定資産の実地調査は、申請や問題がある都度行う「随時調査」と、所管地域を一斉に行う「定期調査」が考えられますが、408条は「定期調査」に係る規定です。
土地の評価替えは三年に一度であるため、実務上は三年単位で評価替えスケジュールが組まれ、「定期調査」もこの中で組み込んで行われるのが一般的ではないかと思います。
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