(第128号)固定資産評価は相続税、不動産取得税、登録免許税でも利用(更新版)

(更新版・令和7年7月)

 固定資産税の価格(評価額)は、他の税金の評価でも活用されています。

 では、どのような税金に活用されているのでしょうか。

 固定資産税の価格は、(1)相続税の「倍率方式による評価」、(2)相続税の「家屋の評価」、(3)不動産取得税の「課税標準額」、(4)登録免許税の「課税標準額」の評価に用いられています。

相続税の「倍率方式による評価」

 相続税の宅地の評価方法には、路線価方式と倍率方式がありますが、倍率方式は、路線価が定められていない地域の土地の評価方法です。主に市街化調整区域(非住宅地区)内の宅地、また、農地や山林、原野もこの倍率方式が採用されています。

 この倍率方式とは、固定資産税の価格(評価額)に、地域ごとに決められた倍率(例えば1.1とか1.2など)を乗じて評価する方法です。

<相続税の倍率方式>

 
<相続税倍率方式とは>—相続税財産評価に関する基本通達21
「倍率方式とは、固定資産税評価額に国税局長が一定の地域ごとにその地域の実情に即するように定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する方式をいう。」

相続税の「家屋の評価」

 相続税の家屋の評価は、固定資産税評価額を用います。

<相続税家屋の評価>—相続税財産評価に関する基本通達89
「家屋の価額は、その家屋の固定資産税評価額に別表1に定める倍率(現在は1.0)を乗じて計算した金額によって評価する。」

 つまり家屋の相続税評価額は固定資産税家屋評価額をそのままとなります。

 相続税家屋の評価額 = 固定資産税家屋評価額 × 1.0

不動産取得税の「課税標準額」

 土地や家屋を購入したり、家屋を建築するなどして不動産を取得したときに、都道府県により不動産取得税が課税されます。
 不動産取得税は、市町村が毎年課税する固定資産税と違って、不動産を取得した時に一度だけ納める。いわゆる流通税の一種であり、不動産の移転という事実に着目して課されるものです。

 この不動産取得税の「取得した不動産の価格」も固定資産税評価額(正確には「固定資産課税台帳に登録された価格」)とされています。

 なお、令和9年3月31日までに取得した土地及び住宅の税率は3%です。
ただし、宅地(住宅のある土地)の場合は1/2の負担調整措置が講じられています。

<不動産取得税の納税義務者等>—地方税法73条の2
「 1.不動産取得税は、不動産の取得に対し、当該不動産所在の道府県において、当該不動産の取得者に課する。」
<不動産取得税の価格の決定等>—地方税法73条の21
「 1. 道府県知事は、固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については、当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする。但し、当該不動産について増築、改築、損かヽいヽ、地目の変換その他特別の事情がある場合において当該固定資産の価格により難いときは、この限りでない。」

登録免許税の「課税標準額」

 土地や建物の所有権移転登記、建物の所有権保存登記の際に、登録免許税が課税されます。

 土地の所有権移転登記では、「不動産の課税標準額」に1000分の20の税率が乗じられますが、ここでも固定資産税評価額(正確には「固定資産課税台帳に登録された価格」)が用いられます。

 なお、登録免許税の税額につきましては、種類も多く、軽減税率等もありますので、詳しくは最寄りの登記所等で確認してください。
 
2025/07/11/06:00
 

 

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