(29号)固定資産税の課税誤りは全市町村の97%(平成24年)

(第1回目投稿:平成26年、第2回目見直し:令和4年5月)

 今回は、固定資産税の「課税誤りはどのくらいあるのか」です。

固定資産税(都市計画税を含む)の課税誤り

 インターネット検索画面で「固定資産税・課税誤り・お詫び」とのキーワードを入れると、市町村HPの「課税誤りについてのお知らせ」がズラーッと登場します。

 では、固定資産税の課税誤りというのは、どのくらいあるのでしょうか。

 これについては、総務省が平成24年8月に発表した「固定資産税及び都市計画税に係る税額修正の状況調査結果」が参考になります。これは、平成21年度から23年度を調査対象期間にして、全国の市町村が土地・家屋に係る固定資産税・都市計画税について、どのくらい課税誤り等があったかを総務省が調査した結果です。

※ 総務省では「課税誤りが原因となった税額修正」としていますが、ここでは課税誤りとしています。

<課税誤りの市町村数>

<納税義務者数総数に占める課税誤り者数割合>

課税誤りの内容

 その調査結果によると、課税誤り(税額修正)の主な要因は次のとおりです。

<課税誤りの要因> 

 ところで、この調査結果を見てどう思われるでしょうか?

 「全国市町村の97%もの課税誤り……そんなに多いのか!」か「納税義務者数の0.2%の課税誤り……そんなに少ないのか!」のどちらでしょうか?

 筆者は、固定資産税の仕事に携わってきた者ですが、正直なところ「納税者数に占める課税誤りが0.2%とは、そんなに少ないのか!」と驚きました。

 市町村の数は、1件でも課税誤りがあれば1市町村とカウントされているので、97%というのはある意味頷ける数字です。

 一方、固定資産税は全国の土地、家屋に対して、原則すべてに課税されます。今回の調査対象となった納税義務者数は、土地は約2,900万人、家屋は約3,300万人で、課税誤りはその0.2%であったという結果です。

 もっとも母数が大きいので0.2%が「少ない」と思うのも間違っているのかもしれません。 

潜在的な「課税誤り」が多い

 先のインターネット検索画面での状況紹介をしましたが、驚くことには、一定の日数を経て再度Googleの検索画面で「固定資産税・課税誤り・お詫び」と入力すると、先の市町村とは異なる市町村HPの「課税誤りについてのお知らせ(お詫び)」が並んでいます。
 <グーグル検索画面(1面)令和4年5月>

 かなり以前からですが、各市町村において「課税誤り」等の不手際があった場合には、マスコミを通じて明らかにするとともに、市町村のHPに掲載することになっています。
 マスコミが報道するか否かはマスコミの自由ですが、市町村のHPの記事はGoogleに搭載されますので、検索がされることになる訳です。

 このようなことからすると、市町村における固定資産税の「課税誤り」は発表されている以外にも潜在的に数多く存在しているのではないか、との想像になるのです。

行政側の適正評価等の取組み

 総務省では、このような調査は今回初めて行ったそうですが、この調査は固定資産税の適正・公正な評価と信頼性を確保することを目的にした一環のものと思われます。

 各市町村でも「適正・公正な評価と信頼性の確保」の取組みを行っていますので、ここに、いくつかその取組みをご紹介します。

①評価事務のIT化と現地調査

 昨今ではIT技術が進歩を遂げ、固定資産評価においても航空写真デジタル化や固定資産GISが導入されています。しかし、基本は地道な現地調査にあることは言うまでもありません。

②固定資産税の情報開示制度

 課税明細書の送付、縦覧制度の拡充、固定資産課税台帳の閲覧制度など、平成14年度にこれらの制度が法定化されています。

③税務職員の人材育成

 職員の異動サイクルが短くなる中で、税務職員の専門性をいかに確保するかは、どこの市町村においても課題になっています。最近では「専門職」として、通常の定期異動の対象とされない税務職員が配置されている市町村が数多くあります。

 しかし残念ながら、各市町村ともにこのような取組みを行っているにも拘わらず、固定資産税の課税誤りは一向に後を絶たないのも事実なのです。