(45)家屋評価の簡素化の検討

今回は、「家屋評価の簡素化の検討」です。

 43号と44号で、固定資産家屋の評価は、固定資産評価基準によって再建築価格方式により行われていると書きました。

 この再建築方式は、評価対象家屋と同一のものを評価の時点で、その場所において新たに建築とするものとした場合に必要とされる建築費(再建築費)を算出することを基礎として、その評価額を求める方式です。

再建築価格方式が見直される理由

 再建築価格方式に基づく評価方法は、固定資産税における適正で均衡の確保された家屋の評価額として、最高裁の判例等においても、その合理性が認められています。

 ところが、前号でも指摘したとおり、建築費を積算する手法であることから、市町村の評価事務も相当複雑煩瑣なものとなり、評価誤りの一因ともなっています。

 ところで、再建築方式は固定資産評価基準により、木造、非木造ともに次の3つの方法が規定されています。

①部分別評価方法

 部分別評価方法は、再建築価格方式の本来的な方法ですが、評価担当者の相当数の確保や建築構法と建築資材等に関する知識、評価実務経験を得るための相応の期間が必要不可欠となります。

 ところが一方では、市町村職員の人事異動のサイクルが短くなる傾向にあり、この部分別評価方法の習得環境が厳しくなっています。

②比準評価方法

 比準評価方法は、上記の部分別評価方法の煩雑さを軽減し、評価事務の簡素化を図る目的として固定資産評価基準で位置づけられました。

 この方法は、市町村で標準家屋を設定して、新築家屋をこの標準家屋の部分別建築費表点数に比準して求める方法ですが、新築家屋(主に木造)の件数が比較的多い大きな都市ではかなり採用されているものの、比較的規模の小さな市町村では採用されていないという傾向があります。

③在来分評価方法

 この在来分評価方法は、既に算出されている前評価基準による再建築費表点数に対し、資材費等の価格の変動割合を基礎として定められた再建築費評点補正率を乗じることにより、基準年度の再建築費表点数を求める方法(いわゆる既存家屋の評価方法)で、固定資産評価基準でも規定されています。また、平成15年度基準から、国が再建築費評点補正率を定める方法にされたことにより、在来家屋(既存家屋)の評価の簡素化に繋がっています。

過去に検討された家屋評価方法

 これまでも、財団法人資産評価システム研究センターを通じて、地方公共団体職員を委員とする「家屋の新たな評価方法検討委員会」において、家屋評価の簡素化の検討がされてきています。

 その検討内容は、①再建築価格方式、②㎡単価方式、③広域比準評価方式の3方法になります。

 検討に当たっては、新たな評価方法が「シンプルであること」「客観的であること」「メンテナンスが容易であること」「公平性を欠かないこと」を条件として比較検討されてきましたが、その結果②の㎡単価方式が最も望ましいとの判断がなされ、議論されてきました。

 では、㎡単価方式とはどのようなものでしょうか。

㎡単価方式の基本構造

 ㎡単価方式は、「基準家屋の延べ床面積1㎡当たりの再建築表点数を再建築価格基準単価とし、これに補正率及び評価対象家屋の延べ床面積を乗ずることにより当該評価対象家屋の再建築費表点数を求める方式」です。

 これを計算式で示しますと次のようになります。

 再建築価格基礎単価×補正率×計算単位(延べ床面積)=再建築表点数

 しかし、この㎡単価方式も未だに家屋評価の方式として採用されてはおりません。

 前号でも記したとおり、家屋の評価は土地と比較しても相当な複雑な仕組みとなっており、市町村の職員への負担と、納税者にはなかなか見抜けない評価誤りの原因ともなっているのです。