◆ 固定資産税評価7割の根拠

 前号で、固定資産税の評価額は地価公示価格及び不動産鑑定士の鑑定評価から求められた価格の7割を目途にされている、と書きました。

 この地価公示価格の7割とされた理由は、当時の相続税評価(地価公示価格の8割)や昭和50年代の地価安定期における地価公示価格に対する固定資産税の評価割合等から定めたとされています。

 また、判例等では、この7割評価の理由として次のような見解が示されてきました。

① 固定資産税評価は、地価公示価格に含まれる合理的期待(例えば新駅が出来る将来期待等)要素を排除する。

② 固定資産税評価は大量一括評価の面もあり、評価の安全性をみた堅めの価格とする。

③ 地価下落時での、賦課期日と価格調査基準日(1年前)とのタイムラグを調整する。

 筆者としては、3割の差が妥当かどうかは別としても、評価割合を設けた理由としては、②の「評価の安全性」が最もしっくりくるように思っています。

◆ 固定資産税評価基準の法的拘束性

 では、そもそも固定資産税の評価額はどのように決定されるのでしょうか。

 地方税法349条1項によると「土地又は家屋に課する固定資産税の課税標準は基準年度における賦課期日の価格として登録されたもの」(省略は筆者責任)とあります。

 同法388条1項で「総務大臣は固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続き「以下「固定資産評価基準」)を定め、これを告示しなければならない。」

 同法403条1項で「市町村長は固定資産評価基準によって、固定資産税の価格を決定しなければならない。」

 つまり、市町村長は総務大臣により告示された固定資産評価基準により、固定資産税の評価額(価格)を決定しなければならないのです。

 この403条1項は、かつて(昭和37年以前)は固定資産評価基準に「準じて」決定すべきとなっていましたが、現行は「基準によって、決定しなければならない」とされています。

 したがって、固定資産税の評価額決定に対する固定資産評価基準の法的拘束性がより強まったと言えます。

 ここに、昭和57年3月30日福岡地裁判決を掲げます(要旨)。

 「告示とは、公示を必要とする行政措置の公示の形式である。固定資産評価基準は、法388条1項に基づき、その明示的具体的委任を受けて、自治大臣が固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続きについて市町村間の評価の統一的均衡化を図るために発したものであって、昭和37年改正法による改正前の法403条が「準じて」としていたものを、「よって」固定資産の価格を決定しなければならないと」定めて、…市町村長は、固定資産評価基準に従った評価をなすべく義務づけられているものと解するのが相当である。その意味で、固定資産評価基準は、法的拘束力を有しているものといわなければならない。」

 では、固定資産税と同じ資産評価の相続税ではどうでしょうか。

 相続税の財産(土地)評価においては、国税庁により財産の評価に関する取扱方法の全国的統一を図るための「財産評価基本通達」が発せられていますが、相続税法の規定により委任されている訳ではありません。

 相続税評価において、仮に減価要素の強い土地などの場合に、不動産鑑定評価によって時価証明が認められる(可能性がある)のも、このような仕組みからと考えられます。

 固定資産税は、全国一律の大量一括評価ですので、この固定資産評価基準により「固定資産税の課税標準となるべき価格」が決定されます。 

 併せて市町村ごとの詳細部分については「所要の補正」として定められてもいます。

◆ 価格=適正な時価をいう

 ところで、地方税法には、固定資産税の価格に関するもう一つ規定があります。

 地方税法341条5号で「価格 適正な時価をいう。」との規定です。

 この地方税法で規定される「二つの価格」(?)の関係はどうなのでしょうか。

 実は、平成8年頃から、この固定資産税の「適正な時価」をめぐって、納税者側、行政側ともに「厳しい時期」を迎えたのでした。

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固定資産税の見直し・引下げ

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