(2号)固定資産税の評価は「固定資産評価基準」による

(第1回目投稿:平成25年8月、第2回目見直し:令和4年4月、令和4年7月:タイトル変更)

 前号で、固定資産税の評価額は地価公示価格/地価調査価格及び不動産鑑定士の鑑定評価から求められた価格の7割を目途にされている、と書きました。
 さて、この根拠は何なのでしょうか。

地価公示価格の7割は「評価の安全性」

 この地価公示価格等の7割とされた理由は、平成4年度からの相続税評価(地価公示価格の8割)や昭和50年代の地価安定期における地価公示価格に対する固定資産税の評価割合等から定めたとされています。

 また、判例等では、この7割評価の理由として次のような見解が示されてきました。

① 固定資産税評価は、地価公示価格に含まれる合理的期待(例えば新駅が出来る将来期待等)要素を排除する。
② 固定資産税評価は大量一括評価の面もあり、評価の安全性をみた堅めの価格とする。
③ 地価下落時での、賦課期日と価格調査基準日(1年前)とのタイムラグを調整する。

 筆者としては、3割の差が妥当かどうかは別としても、評価割合を設けた理由としては、②の「評価の安全性」が最もしっくりくるように思っています。

評価は「固定資産評価基準」による

 では、そもそも固定資産税の評価額はどのように決定されるのでしょうか。

 地方税法には、固定資産税の評価は「固定資産評価基準」によるとあります。

<土地又は家屋に対して課する固定資産税の課税標準>
※地方税法349条
「1項 基準年度に係る賦課期日に所在する土地又は家屋に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は、当該土地又は家屋の基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳若しくは土地補充課税台帳又は家屋課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に登録されたものとする。」

<固定資産税に係る総務大臣の任務>
※同法388条
「1項 総務大臣は固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続き(「以下「固定資産評価基準」)を定め、これを告示しなければならない。」

<固定資産の評価に関する事務に従事する市町村の職員の任務>
※同法403条
「1項 市町村長は(中略)固定資産評価基準によって、固定資産税の価格を決定しなければならない。」

 つまり、市町村長は総務大臣により告示された「固定資産評価基準」により、固定資産税の評価額(価格)を決定しなければならないのです。

 この地方税法第403条1項は、かつて(昭和37年以前)は「固定資産評価基準に準じて」決定すべきとなっていましたが、現行は「基準によって、決定しなければならない」とされています。

 したがって、固定資産税の評価額決定に対する「固定資産評価基準」の法的拘束性がより強まったと言えます。

 ここに、昭和57年3月30日福岡地裁判決を掲げます(要旨)。

 「告示とは、公示を必要とする行政措置の公示の形式である。固定資産評価基準は、法388条1項に基づき、その明示的具体的委任を受けて、自治大臣が固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続きについて市町村間の評価の統一的均衡化を図るために発したものであって、昭和37年改正法による改正前の法403条が「準じて」としていたものを、「よって」固定資産の価格を決定しなければならないと」定めて、…市町村長は、固定資産評価基準に従った評価をなすべく義務づけられているものと解するのが相当である。その意味で、固定資産評価基準は、法的拘束力を有しているものといわなければならない。」

 では、固定資産税と同じ資産評価の相続税ではどうでしょうか。

 相続税の財産(土地)評価においては、国税庁により財産の評価に関する取扱方法の全国的統一を図るための「財産評価基本通達」が発せられていますが、相続税法の規定により委任されている訳ではありません。

 相続税評価において、仮に減価要素の強い土地などの場合に、不動産鑑定評価によって時価証明が認められる(可能性がある)のも、このような仕組みからと考えられます。

 固定資産税は、全国一律の大量一括評価ですので、この「固定資産評価基準」により「固定資産税の課税標準となるべき価格」が決定されます。 

 併せて市町村ごとの詳細部分については、市長村単位で評価方法を定める「所要の補正」が定められています。

「価格=適正な時価」をいう

 ところで、地方税法には、固定資産税の価格に関するもう一つ規定があります。

<固定資産税に関する用語の意義>
※同法341条
「固定資産税について、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
5号 価格 適正な時価をいう。」

 この地方税法で規定される「二つの価格」(341条5号と403条1項)の関係はどうなのでしょうか。