(79号)「所要の補正」により市町村基準での評価が可能

 固定資産税を評価し課税する場合の原則は「固定資産評価基準によって決定しなければならない」とされています。

 固定資産税は、ほぼ全国の固定資産(土地は約1億8千万筆。家屋は約6千万棟)が課税対象とされていることから、資産評価の適正化・均衡化を図るため、共通基準として固定資産評価基準が定められ、地方税法388条1項及び403条1項に規定されています。

 しかし、必ずしも全国すべての土地、家屋が同じ条件下にあるとは限らないこともあるため、市町村長は、状況に応じて必要があるときは、「所要の補正」をし、これを適用することができることになっています。

<固定資産評価基準の根拠規定>
※地方税法388条1項
 「総務大臣は固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続き(「以下「固定資産評価基準」)を定め、これを告示しなければならない。」
※地方税法403条1項
「市町村長は固定資産評価基準によって、固定資産税の価格を決定しなければならない。」

 この「所要の補正」の適用にあたっては、各市町村の評価担当者が「勝手に」補正を行うのではなく、市町村単位で「所要の補正」の内容を「固定資産評価事務要領」(市町村毎に名称が異なる)に定めなければなりません。

土地評価における「所要の補正」

 土地評価では、宅地評価と宅地以外の土地(田・畑、山林)の「所要の補正」があります。

宅地評価における「所要の補正」

 市町村において、「所要の補正」が最も適用されているのは宅地評価においてです。
 なお、宅地の評価は、「路線価方式による市街地宅地評価法」と「その他の宅地評価法」の2通りになります。

<路線価方式による市街地宅地評価法の「所要の補正」>
※固定資産評価基準第1章第3節二(一)4
「各筆の宅地の評点数は、路線価を基礎とし、「画地計算法」を適用して付設するものとする。この場合において、市町村長は、宅地の状況に応じ、必要があるときは、「画地計算法」の附表等について、所要の補正をして、これを適用するものとする。」

 次に、全国の市町村で適用されている宅地の「所要の補正」の例を紹介します。
<全国の市町村で採用されている宅地の「所要の補正」(例)>

<その他の宅地評価法の「所要の補正」>
※固定資産評価基準第1章第3節二(二)5
「各筆の宅地の評点数は、標準宅地の単位地積当たり評点数に「宅地の比準表」(別表第4)により求めた各筆の宅地の比準割合を乗じ、これに各筆の地積を乗じて付設するものとする。この場合において、市町村長は、宅地の状況に応じ、必要があるときは、「宅地の比準表」について、所要の補正をして、これを適用するものとする。」

宅地以外の土地における「所要の補正」

 固定資産評価基準では、宅地以外にも田又は畑及び山林についても「所要の補正」が規定されています。

<田又は畑の「所要の補正」>
※固定資産評価基準第1章第2節二の5
「市町村長は、田又は畑の状況に応じ、必要があるときは、「田の比準表」又は「畑の比準表」について、「所要の補正」をして、これを適用するものとする。」

<山林の「所要の補正」>
※固定資産評価基準第1章第7節二の5
「市町村長は、山林の状況に応じ、必要があるときは、「山林の比準表」について、「所要の補正」をして、これを適用するものとする。」

家屋評価における「所要の補正」

 家屋評価における木造家屋評点基準表及び非木造家屋評点基準表の評点項目は、家屋の建築に当たって使用頻度の高い資材について示されており、すべての建築資材が網羅されてはいません。
 その場合には、評点基準表に「所要の補正」を行い、これを適用することができます。

<家屋の「所要の補正」>
※固定資産評価基準第2章第1節六の1.2
「1.市町村長は、「木造家屋評点基準表」又は「非木造家屋評点基準表」を当該市町村に所在する家屋について適用する場合において木造家屋評点基準表又は非木造家屋評点基準表について所要の評点項目及び標準評点数がないとき、その他家屋の実態からみて特に必要があるときは、木造家屋評点基準表又は非木造家屋評点基準表について所要の補正を行い、これを適用することができるものとする。
2. 市町村長は、当該市町村に所在する家屋で当該家屋の構造等からみて木造家屋評点基準表又は非木造家屋評点基準表を適用して評価することが困難なものがあるとき又は適当でないものがあるときは、当該家屋の構造、様式、施工量等の実態に応じ、木造家屋評点基準表又は非木造家屋評点基準表の例によつて当該家屋に係る木造家屋評点基準表又は非木造家屋評点基準表を作成してこれを適用するものとする。」

 家屋の「所要の補正」としては、次の方法があげられます。
(具体的方法の例)
・他の評点基準表の評点項目及び標準評点数を転用する。
・他の部分別の評点項目を転用する。
・類似の評点項目に係る標準評点数を補正する。
・市場価格等を参考に標準評点数を求める。