(更新版・令和7年7月)
今回は、 固定資産税の家屋の定義と要件についてです。
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固定資産税の家屋とは
家屋の歴史
固定資産税としての家屋は、昭和24年にシャウプ勧告が出されて、昭和25年に地方税法が制定され、そこで市町村税として土地、償却資産とともにスタートしました。
それ以前は、明治15年に家屋税が大府県(東京、大阪、京都、神奈川)に対して創設され、明治21年にこれらの府県の市町村に家屋税付加税が、その後明治23年に全国で課税されるに至っています。
家屋の定義
固定資産税の家屋は、不動産登記法における建物と意義を同じくする、とされています。
<地方税法の施行に関する取扱について>-総務省通知(市町村税関係)
「 家屋とは不動産登記法の建物とその意義を同じくするものであり、したがって登記簿に登記されるべき建物をいうものであること。」
そこで、「不動産登記法上の建物」についてみていきます。
<建物の種類(12種類)>-不動産登記規則113条1項
「 建物の種類は、建物の主な用途により、居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所に区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとする。」
<建物の種類の定め方(25種類)>-不動産登記事務取扱手続準則第80条1項
「 規則第113条第1項に規定する建物の種類の区分に該当しない建物の種類は、その用途により、次のように区分して定めるものとし、なお、これにより難い場合には、建物の用途により適当に定めるものとする。
校舎、講堂、研究所、病院、診療所、集会所、公会堂、停車場、劇場、映画館、遊技場、競技場、野球場、競馬場、公衆浴場、火葬場、守衛所、茶室、温室、蚕室、物置、便所、鶏舎、酪農舎、給油所」
固定資産税家屋としての要件
固定資産税の課税客体となる家屋の認定に当たっては、次の(1)から(6)の要件が必要とされています。
(1)屋根を有すること(外気分断性)
屋根は、雨露をしのぐために必要不可欠です。不動産登記規則111条では「屋根及び周壁又はこれらに類するものを有すること(外気分断性)」とあります。
ただし、高架下の建造物については、家屋として評価すべき屋根はないものの、屋根に相当する構築物があるため家屋として取り扱われます。
(2)周壁を有すること
家屋は、周壁により内側に一定の利用空間が発生し、外気分断性が有るものと判断されます。
ここで周壁を有するとは、概ね3面以上に周壁がある(その面の3分の2程度以上の部分に壁があることをもってその面は周壁を有する)ことをいいます。
(3)土地に定着した建造物であること(土地への定着性)
土地に定着した建造物であるということは、建造物が建造されている土地から容易に移動できないことをいいます。
土地に定着している建造物は、次の2つの要件を充足していることが必要です。
① 建物の大きさ、重さ、構造、基礎の施工の程度、 建築設備の状況により物理的または経済的に他の場所に移動させて利用することが容易でないこと。
② 建物の用途、目的からしてある程度の期間(通常賦課期日をはさんで1 年以上)継続し利用することが予定されていること。
(4)家屋本来の用途に供しうること(用途性)
家屋本来の目的は、その空間を居住、作業、貯蔵、営業、保管等の用途に供しうるものでなくてはなりません。
例えば、アーケードは、道路の用途を高めるものであって家屋本来の目的とは異なるので家屋とは認定できません。
(5)恒久性を有すること
不動産登記法準則第77条に「半永久的な建造物と認められるものに限る」とあるように、家屋は、恒久性を有することが必要です。
なお、家屋として認定しないものを例示すると次のものがあります。
① 園芸用ハウス(温室)で屋根、周壁がビニール・シートのもの
② ビニール・シート等で葺き上げた車庫
③ 簡易な鶏舎、豚舎等の畜舎、堆肥舎等
(6)賦課期日に完成していること
なお、家屋の要件とは異なりますが、建築中の建物がどの程度まで完成していれば家屋の課税対象となるかについては、昭和59年の最高裁判決により「固定資産税の性質目的及び地方税法の規定の仕方からすれば、新築の家屋は、一連の新築家屋が完了したときに、固定資産税の課税客体となる」とされ、1月1日現在で完成していることが必要となります。
2025/07/27/14:00