(第141号)固定資産税の雑種地の評価について(更新版)

(更新版・令和7年7月)

 今回は、固定資産税での雑種地の評価についてです。

固定資産評価基準の雑種地

 雑種地は、(1)「ゴルフ場等用地の評価」、(2)「鉄軌道用地の評価」及び(3)「その他の雑種地」とされています。

<雑種地の評価>-固定資産評価基準・第10節一
「 雑種地の評価は、二(ゴルフ場等用地の評価)及び三(鉄軌道用地の評価)に掲げる土地を除き、雑種地の売買実例価額から評定する適正な時価によってその価額を求める方法によるものとする。ただし、市町村内に売買実例価額がない場合においては、土地の位置、利用状況等を考慮し、附近の土地の価額に比準してその価額を求める方法によるものとする。」

<雑種地評価の一覧>

(1)「ゴルフ場等用地」の評価について

 「ゴルフ場等用地」の評価は、ゴルフ場を開設するに当たり要した土地の取得価額に、ゴルフ場用地の造成費を加算した価額を基準として、ゴルフ場の位置、利用状況等を考慮して求めます。

 なお、クラブハウスの敷地は宅地と認定されます。

 ゴルフ場用地の評価額 = (ゴルフ場用地の取得価額 + ゴルフ場の造成費)×位置・利用状況による補正

(2)「鉄軌道用地」の評価について

 「鉄軌道用地」の評価は、沿接する土地の価額」の3分の1で評価します。

 鉄軌道用地の評価額=沿接する土地の価額×1/3

 ここで「沿接する」との意味は、「近接する」や「附近の」とは異なります。「沿接する」とは、まさに直接接していることで、線路敷地に直接接している状態にあることになります。

 なお、鉄軌道用地が「運送の用に供する部分」と「運送以外の用に供する部分」と複合的に利用されている土地の評価については、複合利用鉄軌道用地として評価します。

<複合利用鉄軌道用地の評価>

(3)「その他の雑種地」の評価

 固定資産評価基準による「その他の雑種地」の評価方法は、①雑種地の売買実例価額から評定する適正な時価によってその価額を求める方法及び②市町村内に売買実例価額がない場合においては、土地の位置、利用状況等を考慮し、附近の土地の価額に比準してその価額を求める方法、の2通りとなっています。

① 売買実例地比準方式

 市町村内に雑種地の売買実例価額がある場合は、その売買実例価額から評定する適正な時価によってその評価額を求めます。

<売買実例地比準方式>

② 近傍地比準方式

 市町村内に雑種地の売買実例価額がない場合は、当該雑種地の位置、利用状況等を考慮し、付近の土地の価額に比準してその評価額を求めます。

<近傍地比準方式>

③ 「その他の雑種地」は近傍地比準方式が多い

 「その他の雑種地」の評価方法として、多くの市町村では②の近傍地比準方式により評価されているのが実際のところです。

 ところで、「その他の雑種地」の例としては、駐車場、資材・廃材置場、太陽光パネル設置用地、干場、鉄塔用地、私道、農業用施設用地、高圧線下地等があげられますが、これ以外にも、その他の全ての土地が「その他の雑種地」となります。

 つまり、「その他の雑種地」は雑種地の評価の中心です。

「太陽光パネル設置用地」の評価

 「太陽光パネル設置用地」は雑種地のうちの「その他の雑種地」に当たります。

 また、その評価方法は、ほとんどの市町村で「近傍地比準方式」が採用されています。

(1)「その他雑種地」の「近傍地比準方式」

 「近傍地比準方式」は、市町村内に売買実例価額がない場合においては、土地の位置、利用状況等を考慮し、附近の土地の価額に比準してその価額を求める方法です。

① 比準元の選定
 「太陽光パネル設置用地」の比準元の選定においては、「土地の位置、利用状況等」を考慮する必要があります。

 土地の位置については、「附近の土地」ですが、必ずしも接続する路線価でなくても良く、社会通念として「近い」と解される範囲内であれば良い訳です。

 利用状況については、附近に類似の雑種地があれば、その雑種地の選定で良いのですが、全国の「太陽光パネル設置用地」のうち9割弱の土地の評価において、比準元となる「附近の土地」が宅地とされています。

② 宅地間比準(比準の第一段階)
 この方法は、比準元を宅地とした場合、「太陽光パネル設置用地」は本来は雑種地です、一旦そこを宅地と想定し、宅地同士の比準を行います。

 その比準は、通常の宅地評価で考慮される要素である地域的格差及び個別的格差を比準することになります。

③ 地目間比準(比準の第二段階)
 次に、宅地と「その他の雑種地」の間における格差、すなわち、同位置・同形状の土地に係る地目間の格差を反映するための比準となります。

 この場合、評価対象地である「その他の雑種地」が宅地となるべき要素として、造成費相当額が主なものとなります。つまり、想定された宅地としての価格から造成費相当額を控除して求めることになります。
(※ 市町村によっては、造成費相当額ではなく、一定の比準割合を設定して適用する方法も多く行われています。)

(2)「太陽光パネル」には償却資産が課税

 以上のとおり、「太陽光パネル設置用地」は土地で地目は雑種地のなかの「その他の雑種地」となりますが、「太陽光パネル」自体には償却資産が課税されています。

 なお、この「太陽光パネル」の償却資産の評価・課税については、市町村単位で「わが町特例」による減額特例が適用されています。

(3)「わが町特例」とは

 「わがまち特例」は、地方税法の定める範囲内で市長村が特例率を条例で定めることができる仕組みとして、平成24年度の税制改正により導入されています。

 「わがまち特例」は、法律に基づき、国が市長村に対して特例措置の実施を求める場合であっても、市長村の裁量を認めた方が効果的な特例措置については、全国一律の特例措置ではなく、法律の定める範囲で、市長村が特例措置の内容を条例で定めることができる仕組みです。

 太陽光発電施設は土地だけでなく、土地上に設置されている太陽光パネル等が償却資産として課税されていて、償却資産の特例措置として「わがまち特例」が導入されています。
 
2025/07/25/16:00
 

 

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