(第136号)宅地評価の「路線価方式」による画地計算法について(更新版)

(更新版・令和7年7月)

 前号でも解説しましたが、固定資産税宅地の評価方法には、①市街地宅地評価法(路線価方式)と②その他宅地評価法(標準宅地比準方式)の2とおりがあります。

<宅地の評価方法>

 今回は、そのうちの「路線価方式」による画地計算法についての説明です。

画地計算法の流れ

 路線価方式での宅地の評価方法(路線価方式)は、固定資産評価基準で規定されています。

<宅地の評価(「路線価方式」)>-固定遺産評価基準・第1章土地・第3節
「宅地の評価
 宅地の評価は、各筆の宅地について評点数を付設し、当該評点数を評点一点当たりの価額に乗じて各筆の宅地の価額を求める方法によるものとする。(以下省略)」

<画地計算法の流れ>

 「路線価方式」による画地計算法は、次の流れになります。

用途地区の区分

 路線価の付設にあたっては、まず、大きな用途地区(商業地区、住宅地区、工業地区、観光地区)に区分し、さらに必要に応じて細区分します。

① 商業地区
 商業地区は、主として商業店舗が連続する地区で、繁華街、高度商業地区Ⅰ、高度商業地区Ⅱ、普通商業地区に区分されます。

② 住宅地区
 住宅地区は、主として住宅用の宅地が連続する地区で、高級住宅地区、普通住宅地区、併用住宅地区に区分されます。

③ 工業地区
 工業地区は、主として工業用宅地が連続する地区で、大工場地区、中小工場地区、家内工業地区に区分されます。

④ 観光地区
 観光地区は、温泉街地区、門前仲見世地区、名勝地区、海水浴場地区など、一般の商業地区とは若干性格を異にする地区をいいます。

状況類似地域の区分

 状況類似地域は、街路の状況、公共施設等の接近の状況、家屋の疎密度その他の宅地の利用上の便による条件が「相当に相違する地域」ごとに区分します。

主要な街路の選定

 状況類似地域内において、最も代表的で評価の拠点としてふさわしいものを「主要な街路」として1カ所選定します。地価公示地及び都道府県地価調査地の所在する街路は「主要な街路」となります。

標準宅地の選定

 主要な街路に沿接する宅地のうちから、奥行、間口、形状等が標準的なものを選定します。

標準宅地の適正な時価の評定

 選定された標準宅地について、地価公示価格、都道府県地価調査価格及び不動産鑑定士による鑑定評価から求められた価格の7割を目途に標準宅地の適正な時価を評定します。

主要な街路の路線価の付設

 標準宅地の適正な時価に基づき1㎡当たりの価格を算出し、その価格を主要な街路の路線価(主要路線か)として付設します。

その他の街路の路線価の付設

 主要な路線価を基準として、その他の街路の路線価(その他路線価)を付設します。その他路線価の付設に当たっては、状況類似地域区分の基準(街路の状況、公共施設等の接近の状況、家屋の疎密度その他の宅地の利用上の便)を総合的に考慮します。

画地計算法による各筆の評点数の付設

 「路線価方式」における宅地の評点数は、路線価に基づき「画地計算法」を適用してそれぞれの画地の単位当たりの評点数を算出し、これに各筆の地積を乗じて算出します。

用途地区と状況類似地域

<用途地区と状況類似地域>

 
 「路線価方式」においては、まずその地域の用途性に基づき用途地区に区分し、その用途地区において、地域の類似性に応じて状況類似地域に区分します。

 「路線価方式」では、この状況類似地域が固定資産税評価の基準となる地域となります。

状況類似地域内で路線価を設定

<状況類似地域>

 
 路線価は状況類似地域の中で標準宅地が接する路線が主要路線価となり、そこから基本的にすべての街路(原則として公道)をその他路線価とします。

 標準宅地は、地価公示か地価調査がある場合はその7割を主要街路の路線価としますが、無い場合には不動産鑑定士による鑑定評価額の7割を用います。
 
2025/07/18/15:00
 

 

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