(更新版・令和7年7月)
「空家法」による「特定空家」
平成27年5月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」(「空家法)により「特定空家」として勧告を受けると住宅用地の減額特例の適用除外となりました。
<「特定空家」の定義>-「空家法」第2条2項
「2. この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。」
ここで「特定空家」とは、次のように周辺への影響が大きい状態にある空家を指します。
① そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
「管理不全空き家」としての指導・勧告
また「空家法」では、「空き家」を放置すれば「特定空家」になる可能性がある物件を新たに『管理不全空き家』に指定され、管理指針に則した措置が「指導」されます。
そして、この「指導」をしてもなお状態が改善しない場合には「勧告」が可能となります。
<「管理不全空家」の定義>「空家法」第13条
「1. 市町村長は、空家等が適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にあると認めるときは、当該状態にあると認められる空家等(以下「管理不全空家等」という。)の所有者等に対し、基本指針(第六条第二項第三号に掲げる事項に係る部分に限る。)に即し、当該管理不全空家等が特定空家等に該当することとなることを防止するために必要な措置をとるよう指導をすることができる。
2. 市町村長は、前項の規定による指導をした場合において、なお当該管理不全空家等の状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれが大きいと認めるときは、当該指導をした者に対し、修繕、立木竹の伐採その他の当該管理不全空家等が特定空家等に該当することとなることを防止するために必要な具体的な措置について勧告することができる。」
ここまでくると「特定空家」の指定同様、固定資産税の住宅用地の減額特例が解除されることになります。
「特定空家」指定で住宅用地除外
これに併せて、地方税法349条の3の2が改正され、固定資産税の住宅用地の特例から除外することとされました
<「住宅用地の課税標準特例」から除外>-地方税法第349条の3の2
「1. (中楽)空家等対策の推進に関する特別措置法第13条第2項の規定により所有者等に対し勧告がされた同法第13条第1項に規定する管理不全空家等及び同法第22条第2項の規定により所有者等に対し勧告がされた同法第2条第2項に規定する特定空家等の敷地の用に供されている土地を除く。(中略)」
「空家」を取り壊すと土地は3~4倍となる
「空家法」により「特定空家」に指定されるか、「管理不全空き家」として指導・勧告されると住宅用地の減額特例1/6が解除されます。
ところで、一時マスコミ等で「『空家』が取り壊されると、1/6の減額特例が無くなるため土地の固定資産税は6倍となる」との報道がされていましたが、6倍にはなりません。
それは、住宅用地から更地(非住宅用地)になった場合、非住宅用地の負担調整措置が適用されるからで、「空家」を取り壊すと土地の価格は3~4倍になるというのが正解なのです。
2025/07/16/17:00