◆ 固定資産は原則全ての土地を評価

 固定資産税評価の基本となる地価公示、都道府県地価調査及び標準宅地の評価については、不動産鑑定士等の鑑定評価により、全体の均衡化及び適正化が図られています。

 しかし、固定資産税(土地)が課税されるのは標準宅地だけでなく、原則として、すべての土地、全国で約1億6千万筆が評価され課税されています。

 筆者は、固定資産税に関する苦情や相談をいただく機会が少なからずあります。

 「自分の固定資産税が安くならないか」、「この土地の評価額は高いのでは」、「評価が間違っているのではないのか」等々です。

 今回のテーマは極めてプロ向きですが、「不動産鑑定評価は固定資産税評価の適正な時価を証明できるか」です。個々の土地の固定資産税評価に対して、不動産鑑定で評価した価格が適正な時価である、と主張できるかということです。

◆ 相続税評価では時価証明も可能

 何故このような問題提起をするかと言えば、不動産鑑定士から見て、固定資産税評価の基準(補正率等)に甘さを感じることがあるからです。

 例えば、急激な崖地部分がかなり占めているような土地、形状が極めて悪く使い勝手が悪い土地、面積がかなり大きい土地など、鑑定評価であれば評価額をもっと下げるのになどと感じることもあります。

 同じ資産税でも相続税評価の場合は、不動産鑑定書による時価証明(税務署に鑑定書を提出)することも認められる場合もあります。

◆ 鑑定評価で固定資産税評価を修正するのは難しい

 ところが、固定資産税の場合は、固定資産評価基準に従って評価されている限りは、不動産鑑定評価でそれを覆す(適正な時価を証明する)のは難しいと考えられます。

 「固定資産税の課税標準となるべき価格は、適正な時価をいうものであり、固定資産評価基準は、適正な時価を求めるための手続き、方法を規定しているのであって、適正に運用される限り、これによって求められたものは適正な時価と考えられる」との解釈が一般的なものとなっています。

 相続税評価では時価証明が認められる可能性があるのに、固定資産税では難しいのは、固定資産評価基準に法的拘束力があるからと考えられます。

 では、固定資産税評価に対しては何も言えないのかいうと、決してそのようなことはありません。これは、あくまでも不動産鑑定評価との関係についての考察に過ぎません。

 確率として多い訳ではありませんが、固定資産税評価が基準どおり適正に運用されていない場合や、いわゆる「課税誤り(ミス)」と呼ばれるものが、マスコミ報道で後を絶たないのも事実なのです。

◆ 平成25年7月12日最高裁判決

 ごく最近、最高裁第二小法廷で次のような固定資産税に関する注目すべき判決が出されました。

 「評価対象の土地に適用される評価基準の定める評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的な合理性を有するものであり、かつ、当該土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格がその評価方法に従って決定された価格を上回るものでない場合には、その登録価格は、その評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別の事情の存しない限り、同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものでないと推認するのが相当である」

 とても難解な言い回しですが、要は「評価基準に従っても、その評価方法に一般的合理性が欠けている場合は、そもそも客観的な交換価値を上回るものでないとは言い切れない。……」(筆者注)と、平成15年6月26日の最高裁判決(客観的交換価値)を一段超えたとも言える判決であります。

 ※ この件については、後日改めて解説したいと思います。

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私は、本年度固定資産納税通知書受領後、自身が所有する同資産の評価調書について個人情報開示請求したところ、鑑定評価書(前年1月1日調査基準日、同年3月下旬町長へ提出)を開示されました。当町では、固定資産評価調書を作成していないということです。
不作成は、地方税法上違法である思うし、また、同評価書の評価額と固定資産評価額が一致する(そのまま引用されている)ことについて、後者は、固定資産評価基準は勿論、前者、地価調査結果、売買実例価額、負担調整措置等を活用又は参酌した上で算出決定されるものであり、必ずしも同様とは限らない…と解釈します。更に、鑑定評価書では、滞納があった場合、公権力の行使(強制徴収)は不可能ではないかと思います。
以上について、ご回答戴ければと思います。

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固定資産税の見直し・引下げ

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