◆ 固定資産税評価の仕組み(再掲)

 これまでの固定資産税評価に関する内容を要約しますと

① 固定資産税の価格は、適正な時価をいう。

② 適正な時価とは「正常な条件の下において成立する取引価格(客観的交換価値)」である。

③ 固定資産税の価格が②の客観的交換価値を上回る部分は違法とされる。

④ 総務大臣は、評価の基準、実施の方法、手続きを定めた固定資産評価基準を定め告示しなければならない。

⑤ 市町村長は、この固定資産評価基準により固定資産税の価格を決定しなければならない。

⑥ 固定資産評価基準を適正に運用する限りは、これによって求めた価格は適正な時価と考えられる。

⑦ 固定資産評価基準により求める固定資産税の課税標準となるべき価格は、地価公示価格の7割を目途とされている。

 ここで不動産鑑定評価の観点から少し言わせていただきますと。。

 地価公示価格は、不動産鑑定士が鑑定評価で求める正常価格になります。

 そして、鑑定評価の正常価格の意味は、②の「正常な条件の下において成立する取引価格」と同義であり、となると「適正な時価」とも同義ということになります。

 さらに、⑥固定資産評価基準によって求められた価格も「適正な時価」であり、⑦それは地価公示価格の7割で、鑑定評価の用語に翻訳すればこれも正常価格となる訳です。

 ところで、不動産鑑定評価の正常価格にも一定の幅があることは認めるところですが、仮にその幅が3割であると言われれば、それは大き過ぎると言わざるを得ないでしょう。

 平成15年最高裁判決の③「固定資産税の価格が賦課期日における客観的な交換価値を上回れば違法となる」との意味は、地価公示価格の水準を上回れば違法という意味に解釈しますと、これは理解できるところです。

 このように見ると、やはり地方税法上の「価格」は2つあると思わざるを得ません。

 1つは①の価格で鑑定評価レベルの「正常な価格(の上限)」、もう1つは⑥の文言どおりの「固定資産税の(課税標準となるべき)価格」、この2つの「価格」です。

 とは言え、納税者からすれば、幅が大きくても固定資産税の価格が低くなれば歓迎されるのが一般的で、「適正な時価」の下限の議論が進まないのも現実であります。

◆ 市街地宅地評価法

 固定資産税評価の評価方法は、「市街地宅地評価法」と「その他宅地評価法」の二つがあります。

 市街地宅地評価法とは、市街地地域に適用される方法で、街路に固定資産税路線価が設定され、この路線価に基づいて個別の土地が評価される方法です。

 この路線価は市場の取引価格水準の7割を目途とされていますので、逆に路線価から市場価格を推定することが出来ます。

 例えば固定資産税路線価が120,000円/㎡の場合は、市場価格の目安は120,000÷0.7で約171,000円/㎡となります。

 ただし、この価格はあくまでも、街路の標準的な目安としての価格で個々の土地の価格ではありません。個々の土地は個別的な要因があり、その要因等を考慮しないと「その土地の価格」とはなりません。(この点は次号で)

 ところで、標準宅地の適正な時価を求める根拠規定は、固定資産評価基準の第12節の経過措置にあります。

 「標準宅地の適正な時価を求める場合には、当分の間、基準年度の初日の属する年の前年の1月1日の地価公示価格及び不動産鑑定士又は不動産鑑定士補による鑑定評価から求められた価格等を活用することとし、これらの価格の7割を目途として評定するものとする。」

 ここで、「当分の間」とありますが、法律でよく使われる表現で、事実上恒久的に施行される場合も無い訳ではありません。

◆ 平年度の下落修正措置

 固定資産税の評価は3年毎の評価替えで、本来、平年度は価格が据え置かれます。

 しかし、現在、平年度に地価の下落が見られた場合は、下落修正措置が行われています。

 この根拠は、同じく固定資産評価基準の経過措置です。

 「宅地の価額においては、市町村長は、◯年1月1日から◯年7月1日までの間に標準宅地等の価額が下落したと認める場合には、…修正を加えることができる。」「宅地の価額については、都道府県地価調査及び不動産鑑定士又は不動産鑑定士補による鑑定評価等を活用し…下落状況を把握するものとする。」 とあります。

◆ 直近はH27年度評価替え

 不動産鑑定士は、毎年、地価公示価格と都道府県地価調査価格の鑑定評価業務に携わるとともに、3年に1度、固定資産税の評価替えの標準宅地の適正な時価の評定に係わることになります。

 直近の3年に1度の固定資産税評価替え年度は、平成27年度になります。

 そして、この場合の賦課期日は平成27年1月1日、価格調査基準日は1年前の平成26年1月1日となり、そのための不動産鑑定士による標準宅地の鑑定評価作業は今年度から始まることになります。

 「固定資産評価基準(総務省)」 (←ここをクリック)

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固定資産税の見直し・引下げ

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