土地の有効活用例 ( アパート建設で節減)
土地の有効活用を行うことにより、いかに相続税額を減らすことができるかについて、土地にアパートを建設する場合の相続税額の計算例を説明します。(平成23年3月現在の制度による)
土地有効活用の前提条件
法定相続人 | 法定相続人3名 ・配偶者 ・長 男 ・次 男 |
資産内容 | <土地> ・自宅敷地 500千円/m2 300m2 ・駐車場敷地 400千円/m2 750m2 <建物> 築30年の木造住宅 <現金・預金> 50,000千円 <株式> 30,000千円 |
有効活用の内容 | <建物建築費> 駐車場敷地にアパートを建築 250,000千円で建築 <自己資金> 50,000千円(現金・預金から30,000千円、株式売却により20,000千円を充当) <借入金> 200,000千円 |
現状のままでの相続税計算
1. 財産評価 434,000千円
a. 土地評価額 | 354,000千円 ・自宅敷地評価額 54,000千円 150,000千円(500千円×300m2)-(※小規模宅地評価減) ※ 500千円/m2×240m2×80%=96,000千円 ・駐車場敷地評価額 400千円/m2×750m2=300,000千円 |
b. 建物評価額 | 0円 ・築30年の中古建物のため価値0とみなす |
c. 現金・預金 | 50,000千円 |
d. 有価証券 | 30,000千円 |
2.相続税の基礎控除 80,000千円
50,000千円+10,000千円×3人=80,000千円
3.課税遺産総額 354,000千円
434,000千円-80,000千円=354,000千円
4.相続税の総額 92,900千円
a. 配偶者 | 53,800千円 ・354,000千円×1/2=177,000千円 ・177,000千円×40%-17,000千円=53,800千円 |
b. 長 男 | 19,550千円 ・354,000千円×1/4=88,500千円 ・88,500千円×30%-7,000千円=19,550千円 |
c. 次 男 | 19,550千円 ・354,000千円×1/4=88,500千円 ・88,500千円×30%-7,000千円=19,550千円 |
5.配偶者の税額軽減 46,450千円
92,900千円×1/2=46,450千円(160,000千円より少ない)
6,納税予定額 46,450千円
a. 配偶者 | 0千円 |
b. 長 男 | 23,225千円 ・92,900千円×1/4=23,225千円 |
c. 次 男 | 23,225千円 ・92,900千円×1/4=23,225千円 |
有効活用した場合の相続税計算
1. 財産評価 235,000千円
a. 土地評価額 | 300,000千円 ・自宅敷地評価額 54,000千円(有効活用前と同じ) ・駐車場敷地評価額 246,000千円 ・貸家建付地 300,000千円×(1-0.6×0.3※) ※借地権割合0.6と仮定、借家権割合0.3(関東地方) |
b. 新築建物評価 | 105,000千円 ・固定資産税評価額 250,000千円×0. 6(※)=150,000千円 ※建築工事費の60%と仮定 ・貸家評価 150,000×(1-0.3※)=105,000千円 ※借家権割合 |
c. 現金・預金 | 20,000千円 ※30,000千円は建築費に充当 |
d. 有価証券 | 10,000千円 ※20,000千円は建築費に充当 |
e. 借入金 | ▲200,000千円 ※借入金は債務控除 |
2.相続税の基礎控除 80,000千円
50,000千円+10,000千円×3人=80,000千円
3.課税遺産総額 155,000千円
235,000千円-80,000千円=155,000千円
4.相続税の総額 27,750千円
a. 配偶者 | 16,250千円 ・155,000千円×1/2=77,500千円 ・77,500千円×30%-7,000千円=16,250千円 |
b. 長 男 | 5,750千円 ・155,000千円×1/2=77,500千円 ・77,500千円×30%-7,000千円=16,250千円 |
c. 次 男 | 19,550千円 ・354,000千円×1/4=88,500千円 ・88,500千円×30%-7,000千円=19,550千円 |
5.配偶者の税額軽減 46,450千円
27,750千円×1/2=13,625千円(160,000千円より少ない)
6,納税予定額 13,874千円
a. 配偶者 | 0千円 |
b. 長 男 | 6,937千円 ・27,750千円×1/4=6,937千円 |
c. 次 男 | 6,937千円 ・27,750千円×1/4=6,937千円 |
有効活用による軽減効果
以上により、土地に賃貸住宅を建築することにより有効活用を行うことによって、相続税32,575千円(約70%)の軽減効果を得ることができました。
46,450千円 – 13,875千円=32,575千円(約70%)