(49)大阪市が政令指定都市でなくなると固定資産税はどうなるか

本号は令和2年10月20日時点の記載です。)
 令和2年11月1日に「大阪都構想」(※)の住民投票が行われますが、本構想が賛成多数で認められた場合、大阪市が課税している固定資産税はどうなるのでしょうか。
(※)正式名称は『大阪市廃止・特別区設置構想』ですが、以下「いわゆる大阪都構想」とします。

【『大阪市廃止・特別区設置構想』の賛否投票の結果→否決】
 令和2年11月1日に『大阪市廃止・特別区設置構想』の賛否投票が行われた結果、「反対」69万2996票、「賛成」67万5829票で、同構想は否決されました。

 ところで、固定資産税は本来市町村の課税科目ですが、全国で唯一東京都の特別区23区だけが東京都による課税となっています。

 その前に、政令指定都市とはどのような権限を有するかについて、簡単に触れておきます。

政令指定都市の権限

 政令指定都市には、事務権限や行政組織、財政などにおいて特例が認められています。
<事務権限>
 市民に密接に関わる事務の権限を移譲されることで、迅速かつきめ細かな対応が可能になります。
・子育て・教育(児童相談所の設置、小中学校教職員の任免等)
・健康・福祉(精神保健福祉センターの設置、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の発行)
・安全・安心(国道・都道府県道の管理、都市計画の決定、消防局への特別高度救助隊の設置)
<行政組織>
 行政区、区選挙管理委員会、人事委員会などの設置ができるようになります。特に、行政区の設置により、区役所を中心に地域の特色を活かしたまちづくりや、地域の実情に沿った対応などが可能になります。
<財政>
 地方交付税、軽油引取税交付金、宝くじ収益金など、財政基盤の強化が図られ、大都市にふさわしい財政運営が可能になります。

固定資産税は市町村の基幹税

 まず、市町村に普通税として課税される税目が地方税法第5条2項に規定されています。

(地方税法第5条第2項)
一 市町村民税
二 固定資産税
三 軽自動車税
四 市町村たばこ税
五 鉱産税
六 特別土地保有税

 次の図は平成30年度の全国統計からのものですが、固定資産税は市町村税の約40%を占め、市町村民税とともに、福祉、救急、ゴミ収集等基礎的な行政サービスを提供する市町村を支える基幹税目として、重要な役割を果たしています。

 「市町村税の割合」

政令指定都市の大阪市は継続すべき

 前記のとおり、地方税法第5条第2項で、固定資産税は市町村の普通税として位置づけられ、しかも市町村税の約40%を占めています。

 ところが「いわゆる大阪都構想」が認められた場合、名称は大阪都にはなりませんが、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」により、都とみなされます。

(大都市地域における特別区の設置に関する法律・第10条)
「特別区を包括する道府県は、地方自治法その他の法令の規定の適用については、法律又はこれに基づく政令の特別の定めがあるものを除くほか、都とみなす。」

 さらに、その都とみなされる大阪府は、地方税法734条により、固定資産税の課税権限を有することになります。

地方税法第734条(都における普通税の特例)
「第1項 都は、その特別区の存する区域において、普通税として、……第5条第2項第二号及び第六号に掲げるものを課するものとする。この場合において、都を市とみなして第三章第二節及び第八節の規定を準用する。」

 新たに設定される特別区4区は政令指定都市ではないため、上記の政令指定都市の権限は基本的になくなり、特別区4区の自主財源は、個人市民税、軽自動車税、市たばこ税のみとなり大幅に縮小します。
 ただし、「いわゆる大阪都構想」が認められた場合、特別区4区に大阪府から、財政調整金(固定資産税のほか法人市町村税、特別土地保有税)と財政調整交付金、及び目的税交付金が渡されることとされているそうですが。

 しかし、今までの大阪市は政令指定都市として相当な権限を与えられているにもかかわらず、今後、特別区になるとそれがなくなります。

 特別区4区の人口は大阪府内の約30%に過ぎず、府議会での決定権限においても限界があります。
 東京都は、全国で唯一の固定資産税の課税権を有している都道府県ですが、東京23区は都内人口の70%を占め、首都としての一局集中もありますので、この点では大阪府の特別区4区とは大きな違いがあります。

 筆者が住む横浜市も古くからの政令指定都市ですが、神奈川県・横浜市間で二重行政の争いなどは聞いたことがありません。また、全国で政令指定都市は20都市ありますが、二重行政の争いは、大阪府・大阪市間だけではないでしょうか。
 大阪府と大阪市においても、これまで二重行政の解消に努めてこられてきたと認識していますが、ここで政令指定都市としての大阪市を廃止することは、大阪市民にとってのメリットはまったく無いのではないでしょうか。

以上