(15)固定資産税(土地)の地積認定は原則登記簿主義

地積の認定は登記簿主義

 土地の地目の認定は、実地調査で判断できるため、現況主義を採用します。

 これに対して、土地の面積は見ただけでは分からないことから、実測しなければ判断できません。

 しかし、全国のしかも分合筆も頻繁に行われる土地すべてを役所で実測することは、時間的にも技術的にも難しいと言わざるをえません。

 したがって、固定資産税の地積の認定においては、登記簿主義を採用しています。

登記簿主義の例外

 土地の面積の認定は登記簿主義が原則ですが、例外として現況地積を認めています。

 例えば、登記簿地積が500㎡で長年課税されていたものの、実際に測量してみたら400㎡しかなかった。測量図面もあるので、400㎡で課税できないか、というような場合です。

 結論としては、測量図が正しいものであれば、400㎡を課税すべき土地の面積として、例外的に認定することになります。

 土地の面積を例外的に現況で認める場合、二つの場合が考えられます。

① 登記簿地積>現況地積の場合(いわゆる「縄縮み」)。上の場合がこれに当たります。この場合は「現況地積による」例外認定になります。

② 登記簿地積<現況地積の場合(いわゆる「縄延び」)。この場合は「現況によることができる」例外認定になります。

 ①の場合は「現況地積による」で、②は「現況地積によることができる」(ただし、登記地積によることが著しく不適当な場合に限る)と表現が異なっています。

 この規定は固定資産評価基準にありますが、②を分かりやすく言えば「登記簿より実際の土地の面積が大きくても、ある程度の面積差であれば登記簿面積(そのまま)でいいですよ」ということです。

※固定資産評価基準

 第1章(土地)第1節(通則)二(地積の認定)

 各筆の土地の評価額を求める場合に用いる地積は、次に掲げる場合を除き、原則として、登記簿に登記されている土地については登記簿に登記されている地積によるものとし、登記簿に登記されていない土地については現況の地積によるものとする。

1 登記簿に登記されている土地の登記簿に登記されている地積が現況の地積よりも大きいと認められる場合における当該土地の地積は、現況の地積によるものとする。

2 登記簿に登記されている土地の現況の地積が登記簿に登記されている地積よりも大きいと認められ、かつ、登記簿に登記されている地積によることが著しく不適当であると認められる場合においては、当該土地の地積は、現況の地積によることができるものとする。

 土地を売るときならいざしらず、所有者自らが固定資産税当局に「自分の土地は登記簿面積より大きいです」と申し出る人はいないと思いますが、仮にそうであっても、②の場合は「現況地積によることができる」のです。

 「地積認定の原則と例外」

 これは、土地の所有者(納税者)にとって有利な取扱いで、このような考えを「納税者有利の原則」と呼ばれています。

 地方税法や税制度には、このような「納税者有利の原則」による考え方が貫かれています。

「縄延び」「縄縮み」とは

 「縄延び」という用語は、中世から近世にかけて行われた検地の際に、年貢の負担を軽くするため、実際よりも長めに目盛りを記した縄を使って、地積を小さめに測量したことに由来します。

 長めに目盛りを記せば、実際には1mあるものも、例えば80cmになる訳で、地積が小さめに登録されました。

 明治政府の土地台帳作成の際も、税金の負担を軽くするため、実測面積よりも少なく申告することが多く行われました。

 現在の登記制度も、旧土地台帳制度の地積が表題部に移記された経緯があり、当時の測量の成果が引き継がれている部分があるためです。

 一方「縄縮み」の方は、地主が小作人に小作料を多く納めさせるため、あるいは市街地で売買代金を高くするために故意に公簿面積を大きくした等の説があります。

(14)固定資産税(土地)の地目認定は現況主義

地目は土地の利用面から分類

 1号で書いたように、固定資産税の種類は、土地、家屋、償却資産の3つです。

 当面は土地についての連載となりますので、まず固定資産税の土地とは何かということです。

 地方税法341条2項では、「土地とは、田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、山林、牧場、原野その他の土地をいう」とされています。

 ここでお分かりのように、地方税法では「土地とは何か」という積極的な定義がされているのではなく、土地の利用面からの分類、すなわち土地の地目を掲げた定義となっています。

 固定資産税の土地の評価は地目ごとに行います。したがって、当然、固定資産評価基準にも地目が定められています。

 固定資産評価基準(土地の評価の基本)

 「土地の評価は、次に掲げる土地の地目別に……田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、雑種地」

 上の地方税法の定義と比べると、若干の違い(塩田が無くなって池沼が入っている)がありますが、ほぼ同じ地目となっています。

 この中で中心となる地目は、宅地、田、畑、山林あたりですが、もう一つ雑種地、実はこれが固定資産税評価の中ではかなり重要な地位を占めています。

 ところで、地方税法と固定資産評価基準では地目の意義の定義がされていません。

 固定資産税の地目の意義は、不動産登記法の地目の定義と同じ、具体的には不動産登記事務取扱手続準則の定めるとおりとされています。

 そこで、参考までに不動産登記法の地目を掲げます。

 不動産登記法の地目…田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地

 固定資産税の地目は9種類ですが、不動産登記法はそれよりはるかに多い23種類です。

 ここで、例えば「宅地」という同一の地目がありますが、それは基本的に同じものと考えて差し支えありません。つまり、その分、固定資産税の雑種地の役割が大きいことになります。

 例えば、固定資産税のゴルフ場用地や鉄道用地などは雑種地に含まれることになる訳です。

不動産鑑定評価での土地の種別

 不動産鑑定評価では、土地の種別(地目とは言いません)は、その属する地域の種別に応じて分類される土地の区分となります。

 土地の種別は宅地、農地、林地、見込地、移行地に分けられます。

 これらは、さらに地域の種別の細分化に応じて、例えば宅地でしたら、住宅地、商業地、工業地等に細分されます。

 例えば、市街化区域で駐車場に利用されている土地は、固定資産税評価では雑種地評価ですが、不動産鑑定評価では宅地評価を行うことになります。

 もちろん、いきなりそう決めるのではありません。

 不動産鑑定評価では、一般的要因を始めとして、地域要因及び個別的要因を分析した上で、その土地の最有効使用が住宅用の土地と判断される、という手順を経る必要があります。

地目の認定は現況主義

 固定資産税の土地評価上の地目の認定は、現況の地目によります。

 では、土地の地目が登記簿と現況が異なる場合は、どうなるのでしょう。

 例えば、登記簿上の地目が公衆用道路となっているのに、実際には家屋が建っている土地の場合です。

 この土地の固定資産税の地目は、現況主義によって「宅地」と認定されます。

 このような現況主義は、土地の面積は現地調査で見ただけでは判断できませんが、地目は現地調査で認定することが比較的容易であるからです。 

 ところで、固定資産税を担当する市町村の職員は、どの程度の実地調査を行っているのでしょうか。

 地方税法408条に(固定資産税の実地調査)が規定されています。

 「市町村長は、固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少なくとも一回実地にさせなければならない。」

 「固定資産評価員」及び「固定資産評価補助員」とは、いずれも市町村の固定資産税を担当する職員のことですが、「評価補助員」は担当者全員がなります。また、「評価員」はそのセクションの長があたるのが普通ですが、その市町村の議会での同意が必要とされています。(「評価員」が置かれていない市町村もあります。)

 一般的に、固定資産の実地調査は、申請や問題がある都度行う「随時調査」と、所管地域を一斉に行う「定期調査」が考えられますが、408条は「定期調査」に係る規定です。

 土地の評価替えは三年に一度であるため、実務上は三年単位で評価替えスケジュールが組まれ、「定期調査」もこの中で組み込んで行われるのが一般的ではないかと思います。

(13)広大地(大規模画地)の相続税評価

 平成30年1月1日以後の相続等により取得する財産について、相続税の広大地評価方法が改正されましたので、このページは以下のとおり変更します。

 改正により、「広大地」は「地積規模の大きな宅地」と改められ、下記の通り、地積や所在地域の容積率等の具体的基準による容易な判断が可能になります。

地積規模の大きな宅地

(1)地積が500平方メートル(三大都市圏以外は1000平方メートル)以上の宅地
(2)普通商業・併用住宅地区及び普通住宅地区として定められた地域に所在
(3)次のA~Cのいずれにも該当しない
A.市街化調整区域(都市計画法に規定する開発行為を行うことができる区域を除く)に所在
B.都市計画法に規定する工業専用地域に所在
C.容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域に所在

評価方法の見直し

改正により、各土地の個性に応じて形状・地積に基づき評価する方法となります。また現行の広大地評価では最大65%の評価減が可能でしたが、その割合が縮小します。

改正後の評価額の計算方法

広大地の相続税評価額=路線価×地積×補正率(※2)×規模格差補正率(※3)
※2 形状・奥行を考慮した補正率
※3 地積を考慮した補正率

影響および実務上の留意点

(1)形状の良い土地については改正後評価額が大きく上がると予想されるため、注意が必要です。
(2)地積が大きければ大きいほど、上昇率も高くなる傾向があります。
(3)従来広大地評価が検討できなかった宅地も、改正後の要件を満たせば評価減が見込まれます。

(12)固定資産税(土地)の課税明細書の見方

 今まで、固定資産税(土地)の複雑な仕組みを解説してきましたが、これはけっして他人事ではありません。

 なぜなら、毎年送られてくる納税通知書及び課税明細書にその複雑さが記載されているからです。

 しかし、次に掲げる課税明細書の見本と以下の説明を照らしていただければ、固定資産税の複雑な仕組みも恐れるに足りずです。

課税明細書とは

 毎年4月に固定資産税の納税通知書とともに、課税明細書が送られてきます。

 課税明細書の様式は市町村により多少異なりますが、記載事項はほぼ同じものです。

 ここに土地の小規模住宅用地の課税明細書を掲げます。

 「課税明細書(小規模住宅用地)」 

固定資産税の計算

 小規模住宅用地の仕組みは複雑ですが、上記の課税明細書の例にしたがって計算します。(平成25年度の例です)

 まず、この土地の「価格」は⑦に記載されていて、19325697円と分かります。

 この土地の面積は⑥の「課税地積」になり、160㎡とあります。

 平米単価は19325697円÷160㎡で約120000円/㎡となります。

 固定資産税の土地の価格は、地価公示価格(市場の取引水準)の7割ですので、ここから逆に地価水準を知ることができます。120000÷0.7で約170000円/㎡です。

 面積160㎡は200㎡以下の小規模住宅用地ですので、⑦の「価格」を1/6にした価格が「本則課税標準額」⑩の3220949円になります。

 次に「負担水準」を求めますが、「負担水準」は「前年度課税標準額」⑧÷「本則課税標準額」⑩で③の93%になります。

 平成25年度の例ですから、93%は据置ゾーンで「今年度課税標準額」⑫は「前年度課税標準額」⑧と同じ3020000円となります。

 「小規模住宅用地の負担水準」 

 最後に、固定資産税の税額は「今年度課税標準額」⑫の3020000×1.4%を乗じて「固定資産税相当額」⑭の42280円が求められます。

 実際の税額は、端数処理をして42,200円となります。

 ※ 都市計画税は、⑦を1/3にする以外は⑨、⑪、⑬、⑮と同様の計算方法により求めることができます。

(11)大規模画地の固定資産税評価(その2)

大規模画地の価格形成要因

 ところで、大規模画地とはどのような土地を指すのでしょうか。

 大規模画地は、面大地や広大地(相続税での呼称)とも言われます。

 これには、画地規模が社会通念上絶対的に大きい場合と標準的画地規模と比較して相対的に大きい場合が考えられます。

 不動産鑑定評価の場合は、用途別に標準的画地規模を想定し、それとの比較で大規模画地を考えるという相対的な概念として把握するのが一般的です。

 土地の規模が価格へ影響する要因として、質的要因と量的要因が考えられます。

規模格差の質的問題

・潰地等……前号の大規模画地の分割例(下図)のように、標準的画地に分割利用した場合、道路が必要となりますし、更に大きな画地では公園等の公共潰地が生じます。また、造成工事費や負担金等も生じて標準的画地規模よりも価格が下がります。

 「大規模画地の分割例」 

・用途の多様性、高度利用……規模が大きい場合は、高層マンション、店舗・レジャー施設、学校等への用途の多様性、高度利用が可能となります。

規模格差の量的問題(市場性の問題)

 不動産を購入する場合は、総額が予算の範囲内であることが必要になります。

 この場合、単価と総額の問題とも関連してきます。例えば、総額が張るから割安になる、総額が小さいから買い易く割高になるなどです。

 しかし、一般的には総額が大きくなると、個人では手が出ないという面から買い手が限定される、つまり市場性が狭くなる傾向があります。

 もちろん、地価動向や景気状況とも関係する問題でもあります。

固定資産税の「所要の補正」

 固定資産税の評価は、固定資産評価基準により全国的に一元化されるとともに、市町村ごとに「所要の補正」が定められています。

 この大規模画地に係る土地の「規模格差補正」を「所要の補正」として定めている市町村は全国的に1割にも満たないのではないかと思われます。(平成15年当時で5%弱)

 「所要の補正」は市町村ごとに「◯◯市土地評価事務取扱要領」で定められています。

 固定資産評価基準では、大規模画地の規模格差補正率は定められてはいません。

 資産評価システム研究センターでは、何回かこのテーマで研究会が行われていますが、土地の規模格差については「奥行価格補正率」で足りている、との見解が出されています。

 「奥行価格補正率表」

 しかし、 市町村単位で「所要の補正」として、大規模画地補正率が定められている場合においても、例えば普通住宅地区では「面積が3000㎡以上の場合に適用される」などで、この例のような850㎡程度の面積では適用されないことになります。