(81号)大規模画地の補正は奥行価格補正率のみで良いのか(鑑定評価の<開発法>での検証)(1)

 今号と次号で、大規模画地の補正は奥行価格補正率のみで良いのかとの問題意識から、不動産鑑定評価の<開発法>の手法を用いて検証してみます。

 なお、固定資産税評価の大規模画地評価については、第39号「大規模画地の固定資産税評価(1)」及び第40号「大規模画地の固定資産税評価(2)」で紹介していますのでご覧ください。

 ところで、固定資産評価基準では、大規模画地の減価補正については、「大規模工場用地規模格差補正率表(別表第7の4)」のみがあり、他の用途には規定がありません。

 そこで、不動産鑑定評価に入る前に、まず、現行の固定資産税評価の内容をみていきます。

固定資産税の大規模画地補正の方法

現行は奥行価格補正率のみで対応

 大規模画地の規模が大きいことによる減価は、平成15年度の一般財団法人資産評価システム研究センターの報告書(「土地評価に関する調査研究」)で整理されています。
 これによると、「規模が大きいことによる減価は、ある程度、奥行価格補正率の範囲内で考慮されているとした上で、さらに、必要に応じて地域の実情を考慮しつつ、画地計算法の附表等に「所要の補正」を加えて適用することができる。」とあります。また平成29年度の同報告書では「今後、総務省においてさらにデータを収集、分析し、具体的な補正率を検討することが適当である。」とされています。

 つまり、現行では「固定資産税評価の大規模画地の減価補正は奥行価格補正率で足りる」とされているのです。

市町村長による「所要の補正」

 ところで、市町村によっては、大規模画地の減価を奥行価格補正率で考慮した上で、さらに「所要の補正」により、画地計算法の附表(例—「大規模画地補正率表」)を加えて適用している場合もあります。

 総務省の調べによれば、平成27年度時点で、画地規模に係る「所要の補正」を実施している市町村は259団体(全体の15%程度)とのことです。

 なお、ここで市町村等の中で「所要の補正」を適用している例として、東京都の「広大地補正率表」と名古屋市の「大規模画地補正率表」を紹介します。

※東京都「広大地補正率表」

※名古屋市「大規模画地補正率表」

大規模画地の固定資産税の評価(現行)

 これから検討する大規模画地としては、住宅(戸建)地域における土地を想定します。
・面積…約2,176㎡(間口:約32m、奥行:約68m)
・路線価…普通住宅地域・210,000円/㎡
・都市計画…第一種低層住居専用地域(建蔽率40%/容積率80%)
※想定大規模画地

 そして、この大規模画地を固定資産評価基準により評価しますと、奥行価格補正率(0.84)、間口狭小補正率(1.0)、奥行長大補正率(68÷32=2.1→0.98)となり、相乗積の1点当り評点数は172,800円/㎡(▲18%)となります。
※固定資産税の評価計算

 つまり、固定資産評価では、約2,000㎡の大規模画地で他に減価要因が無い場合には、大規模画地としての規模格差としては▲18%になる訳です。

大規模画地の減価要因は何があるか

 ところで、そもそも大規模画地は地域の標準的規模の画地(標準画地)と比較すると、どのような減価要因が存在するのでしょうか。
 主な減価要因として、次の2点上げられます。

(1)潰れ地等の発生で利用効率が劣る
 大規模画地は、標準画地に分割利用する場合、道路が必要となりますし、更に大きな画地では公園等の公共潰地が生じます。また、造成工事費や負担金等も生じて標準画地よりも価格が下がります。

(2)総額が嵩み市場流通性が劣る
 不動産を購入する場合は、総額が予算の範囲内であることが必要になるため、 一般的には規模が大きくなると総額も大きくなり、個人では手が出ないという面から買い手が限定される、つまり市場流通性が低くなる傾向があります。

(次号に続きます)