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 TVニュースで「固定資産税の住宅用地特例の課税誤り」が昨年6月に続き報道されていました。(平成27年8月10日)

 住宅用地特例の仕組みについては、本ブログ8号及び9号で紹介してきましたが、今回は課税誤りの原因と自らチェックする方法などについてお知らせします。

 WEB上で「固定資産税・住宅用地・課税誤り」のキーワードを入力し検索すると、市町村からの「住宅用地の特例措置の適用誤りについて」との“お知らせ”(お詫び文書)が表れます。この1年間だけでも10市町村になります。

 改めてですが、住宅用地の特例とは、居住用の家屋の敷地とされている土地の200㎡以下の部分(小規模住宅用地)の固定資産税評価額が6分の1に,200㎡を超える部分(一般住宅用地)が3分の1に減額される(上限は家屋面積の10倍)ことです。

 つまり、この特例措置の課税誤りとは、本来は住宅用地であるにもかかわらず、減額がされずに課税され続けてきたということです。

 一体、なぜ住宅用地の特例措置の適用誤りが、このように続出するのでしょうか。

◆住宅用地特例の課税誤りの原因

 今ここに分かり易い例(Aパターン)として、次のような場面を想定します。

 土地(150㎡と仮定)所有者が、その土地(更地)上に居住用の家屋を新築するとします。そして家屋が完成しますと、登記所へ不動産登記を申請します。登記所はその家屋の表示保存登記を行うとともに、所在地の市町村へ新築登記がされた旨の連絡をします。すると、市町村では実地調査を経て家屋の評価を行い、翌年度から家屋の固定資産税を新規に課税することになります。

 そのとき本来であれば、土地の評価額を6分の1にしなければなりません。家屋の担当者から土地の担当者に連絡し、土地担当者が住宅用地として手続き(電算入力等)をすることになります。

 ところが、土地への住宅用地の適用(電算入力)を怠り、その後も点検されないまま課税誤りが続いてきたということです。

 この「誤りの原因」として、平成27年1月27日付“つくばみらい市”の「固定資産税・都市計画税の課税誤りについて」では、
(1)家屋担当と土地担当の連携不足(情報伝達漏れ)
(2)電算入力の漏れ、電算入力の誤り
(3)電算入力後の確認体制不備

の3点があげられています。
まさに、この想定例のとおりです。

<つくばみらい市のお知らせ>
 「つくばみらい市のお知らせ」 (←詳細はここをクリック)

 ◆課税明細書でチェックしてみましょう

 実は、毎年所有者宛に納税通知書と一緒に送られてくる課税明細書により、所有者が住宅用地の特例が行われているかどうかを確認することができます。

 市町村の担当者は、コンピューターで出力された課税明細書を正しいものと信じて何のチェックもせずに(実務的にチェックは不可能ですが)送付してきますが、送られてきた所有者はチェックすることが可能なのです。

 ここでは、東京都23区のHP掲載の課税明細書から、その方法を紹介します。

<課税明細書の例(東京都HPより)>
 「課税明細書(東京都の例)」 (←詳細はここをクリック)

 まず課税明細書の家屋の「種類・用途」欄が「居宅」となっていることを確認します。次に土地の明細書を見て、土地面積が150㎡で小規模住宅用地になるため「小規模地積」欄に「150㎡」となっており、「備考欄」にも「小規模住宅用地」と記載されています。これで特例措置が正しく行われていることが確認できます。

 また、これを計算で確認する方法があります。「価格」が「45,000,000」となっていますが、この価格は地価公示(実勢)水準の7割の額となります。そして、この土地が小規模住宅用地であれば「固定本則課税標準額」が「価格」の6分の1となっている筈です。ここでは「7,500,000」ですので6分の1の額で間違いありません。仮に計算してそうなっていなければ、どこかに誤りがある可能性があります。

 なお、課税明細書には「固定前年度課標等」や「固定課税標準額」の紛らわしい用語が出てきますので、間違わないように注意する必要があります。

 通常、1枚の課税明細書に土地と家屋が収まっていますので、所有者自らが確認することはそう難しくありません。

 であれば、元データを有する市町村において、チェックできる電算システムを構築することが望まれます。少なくとも上記「誤りの原因(3)」を解消することが出来るはずです。

 と言いますよりも、そのような電算システムはあるのが当然ではないでしょうか(WEBで公表されている市町村の実状は把握しておりませんが)。

 筆者の出身市では、家屋担当と土地担当との連携システムは当然のこと、家屋の課税内容と土地の課税内容が照合しない場合には電算システムから「アンマッチリスト」が出力され、所有者単位の名寄せでも確認できるように構築されています。

◆住宅用地の別のパターン

 ところで、先の住宅用地の減額特例Aパターンでの「誤りの原因」は、明らかに市町村の手続きミスということになりますが、実は、住宅用地の減額特例はこのようなパターンに限られません。

 ここでは、一見して住宅用地かどうか分かりにくい、次のB及びCの2つのパターンをご紹介します。

<Bパターン(アパートの駐車場)>

 このパターンは、住宅用地を見逃し易い典型例として説明されますが、アパートの敷地の隣に駐車場があり、その駐車場はアパート住民が利用している駐車場である場合です。

 アパート敷地と駐車場とは地番が異なっている(筆が分かれている)場合もありますが、その場合でも駐車場敷地はアパートと一体の画地と認定され、住宅用地の軽減特例(6分の1)の対象になります(敷地が離れている場合は該当しません)。特にアパートの場合は1戸(部屋)につき200㎡が小規模住宅用地とされますので、かなり敷地が広くても敷地全体が6分の1に適用される可能性があります。例えば、そのアパートが8戸であれば、1600㎡までが小規模住宅用地となります。

<Cパターン(店舗廃業した居住用家屋)>

 近年では、シャッター通りと称されるように、店舗を閉店(廃業)した商店街も多く見受けられますが、店主は店舗を閉じた後もそこで居住し続ける場合が多く見られます。

 このような場合、店舗経営時の家屋の用途は「店舗」であり、土地は商業地(非住宅用地)で6分の1の減額特例はありません。しかし、店舗廃業後は居住用に変更したことから、住宅用地となり減額特例の対象となります。

 実は、このBパターン及びCパターンでは、外観からは一見住宅用地かどうか判断つきにくい場合があります。

 そのため、市町村では住宅用地の認定のために「住宅用地異動申告書」の提出を義務づけています。

◆過徴収金は何年分返還されるか

 今回WEB上で確認できる市町村のお知らせ(お詫び文書)は、基本的にAパターンによる課税誤りのようで、それは明らかに行政のミスであるため、誤って徴収され過ぎた固定資産税は最長20年間分返還するとされています。

 では、仮にB及びCパターンはどうでしょうか。行政のミスなのでしょうか、また徴収され過ぎた税金は何年間分返還されることになるのでしょうか。

 この件については、市町村の見解も分かれるかもしれませんので、ここではあくまでも筆者の個人的見解として述べるに留めます。

 まず、固定資産税(土地と家屋)については、行政が一方的に評価し課税する方法で、これを賦課課税方式と言いますが、例え申告がされなくても、住宅用地と認定すべきところをそうしていなかったときは、「行政の課税誤り(ミス)」ということになります。

 ただし、Aパターンのミスは「過失(いわゆる手抜き)があった」と認定されるのに対して、B及びCパターンはミスではあるものの「手抜きがあったとするのは無理」ではないかと思います。

 そうしますと、徴収され過ぎた固定資産税は、Aパターンでは、市町村の「過徴収金返還要綱」に基づくか、あるいは国家賠償法第1条の趣旨を尊重して、最長20年間の返還となります。

 一方、B及びCパターンでは、地方税法第18条の3により、5年間分の返還とされるのではないかと思います。(「過徴収金の返還」については31号及び32号を参照してください。)

 B及びCパターンは、まだまだ見逃されている場合が多いのではないかと思います。これらに該当される方は早急に市町村に連絡されることをお薦めいたします。

固定資産税の見直し・引下げ

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