» 2013 » 10月のブログ記事

 固定資産税は毎年1月1日現在の固定資産の所有者に4月からその年度分が課税されます。

 ここに年間スケジュールを再掲します。

 「固定資産税評価の年間スケジュール」 (←ここをクリック)

 前号で説明いたしましたが、途中で所有者が変更しても、その1月1日の所有者が1年間の納税義務を負うことになります。

◆ 固定資産税の納期は4月、7月、12月、2月(標準納期)

 固定資産税の納期は4月、7月、12月、2月の4期となり、納期限はその月末となります。

 ただし、市町村の条例により、これと異なる納期を定めることができます。

 この標準納期を4月、7月、12月、2月としているのには意味があります。

 その主な理由は、他の税金の納期と重ならないようにするための配慮にあります。

・ 所得税(申告の場合)の納期 … 3月

・ 市町村民税の納期 … 6月、8月、10月、1月

・ 軽自動車税の納期 … 5月

 このように納期を並べて見ますと、改めて通年で税金の納期があることに思い知らされます。

 ところで、地方税法(365条②)では、1期のときにそれ以降の納期分を前納した場合は、市町村の条例で報奨金を交付することができるとの規定があります。

 かつては、多くの市町村で報奨金制度を設けていましたが、10年ほど前から廃止され、今ではほとんどなくなっているのではないかと思います。

 納税する者からすれば、一括全額納付したときに、若干でも割引があれば助かります。

 一方、市町村にとっても、年度当初に十分な税収確保ができることは財政運営上からも好ましいのですが、厳しい財政状況もあり、苦渋の決断をした経緯があります。

◆ 固定資産税の納税通知書と課税明細書

 毎年4月上旬に固定資産税の納税通知書と課税明細書が納税義務者あてに送られてきます。地方税法では「遅くとも納期限前10日」となっていますが、実際には4月2日、3日頃には届いているのではないでしょうか。

 納税通知書は、市町村が固定資産税を徴収するための基本的な通知です。

 一方、課税明細書は、固定資産税の課税内容を明らかにするためのもので、納税通知書とともに送られてきます。

 「課税明細書(小規模宅地の例)」 (←ここをクリック)

 仕様は市町村により若干異なりますが、記載事項は全国同じです。

 この課税明細書は、納税通知書だけでは課税内容が充分伝わらないことから交付されていますが、平成14年度に法定化され全国的に足並みが揃いました。(記載内容は法定化以外の部分では市町村によって若干異なります。)

 実はこの課税明細書を見ても、自分の土地や家屋の評価がどのように計算されているかまでは分かりません。課税明細書は、そこまでは記載されていないからです。

 多くの市町村では、「課税明細書の見方」などの説明書を同封していますが、個別の土地や家屋の評価計算までお知らせするまでは至っていないと思います。(評価計算までお知らせしている市町村があれば、筆者の認識不足です。)

 しかし、この課税明細書を送付し始めたら不服申立の件数が全国的に増加したとも言われていますので、それまでの納税通知書だけでは分からなかった部分が、課税明細書を見て分かるようになった「効果」とも考えられます。

 課税明細書も不十分さはありますが、一定の役割を果たしていることも事実です。

 筆者も不動産鑑定業と不動産仲介業をしていますが、課税明細書の恩恵に預かっている一人でもあります。

 課税明細書の中の土地、家屋の価格情報は、評価や取引仲介の中で貴重な資料となっているからです。

 固定資産税評価は3年毎(サイクル)ですが、課税は3年に1度ではなく毎年課税されています。

 そこで、固定資産税の1年間の流れを説明します。

 その前に「固定資産税評価の3年サイクル」を再掲します。

 「固定資産税評価の3年サイクル」 (←ここをクリック)

 次に、1年毎の固定資産税の年間スケジュールを掲げます。

 「固定資産税評価の年間スケジュール」 (←ここをクリック)

◆ 毎年1月1日時点で納税する人が決められる

 固定資産税は、毎年1月1日に固定資産(土地、家屋、償却資産)を所有している人が納める(課税される)ことになります。

 毎年1月1日を「賦課期日」、納める人を「納税義務者」と言います。

 具体的には、土地、家屋が登記されている場合は、登記簿に登記されている人、登記されていない場合は、土地又は家屋補充課税台帳に登録されている人となります。償却資産は登記制度がありませんので、償却資産課税台帳に登録されている人です。

 そして、3月末にその価格が決定され、4月からその年度の課税が行われます。

 つまり、平成25年1月1日に固定資産の納税義務者を把握し、3ヶ月間事務処理、3月末に決定され、4月から翌年3月までの課税が行われる訳です。

 ただし、土地、家屋の評価替えは平成24年度に行われ、その価格調査基準日は1年前の平成23年(実際は半年前)になります。さらに、土地の時価が下がっている場合は、毎年、下落修正措置が行われています。

 では、1月1日に所有者として登記されている人が既に亡くなっている場合は、誰が納税義務者になるのでしょうか。

 例えば、前年10月に所有者が亡くなり、相続が行われたものの、1月1日には未だ名義変更登記が行われていない場合です。

 この場合は、その土地、家屋を現に所有している人(通常は相続人)が納税義務者になります。

◆ 納税義務者が年の途中で変更された場合

 それでは、1月1日現在、所有者Aは健在であったが、2月に亡くなりBが相続により所有者になった場合はどうなるのでしょうか。

 固定資産税の納税義務者は、あくまでもその年の1月1日現在の所有者です。

 仮に、途中で所有者が変更になった場合でも、その1年間はAが納税義務を負うことになります。もっとも、亡くなった場合は、納税義務を果たすことは出来ないので、実際には相続人が納税することになります。

 土地や家屋を売買された方は、この制度を身近に感じられたことがあるのではないでしょうか。

 なぜなら、不動産の売買においては、通常、不動産業者の仲介により、「固定資産税の精算」が行われるからです。

 これは、売主が1月1日の納税義務者であるため、途中で不動産を購入した買主が契約(決済)日以降の分を日割計算で精算するのが慣わしであるからです。

 つまり、納税義務者はあくまでも売主で、売買当事者間での精算ということです。

 例えば、7月1日に契約(決済)した場合、その日以降の分を買主が負担する訳ですが、起算日をいつにするかによって、支払い方法に2通りあります。

 1つは、1月1日を起算日とする場合で、買主から売主に6ヶ月分支払います。もう1つは、4月1日を起算日とする場合で、これは9ヶ月分を支払うことになります。

 筆者も不動産仲介業者の一員ですが、どちらを採用するかは、仲介する不動産業者の判断としか言いようがありません。

 もう1つ、この賦課期日制度を上手に活用する方法です。

 例えば、家屋を新築して、年末近くに「間もなく完成」と言われたときです。

 この場合は、年内に完成させるよりも、翌年に完成させた方が特になる(?)ことはお分かりのことと思います。

 固定資産税の価格(評価額)は、他の税金の評価でも活用されているということでした。

 では、どのような税金に活用されているのでしょうか。

 固定資産税の価格は、①相続税の「倍率方式による評価」、②相続税の「家屋の評価」、③不動産取得税の「取得した不動産の価格(課税標準額)」、④登録免許税の「不動産の課税標準額」の評価に用いられています。

 固定資産税(特に土地の場合)には、価格(評価額)、課税標準額等いくつか似たような名称があります。そこで、念のため、次の課税明細書で固定資産税の価格を確認します。

 「課税明細書(小規模住宅用地)」 (←ここをクリック)

 この課税明細書では、価格は⑦に記載されています。(一番大きな金額です)

◆ 相続税の「倍率方式による評価」

 相続税の宅地の評価方法には、路線価方式と倍率方式がありますが、市街化調整区域内の宅地の相続税評価では、倍率方式が採用されています。

 この倍率方式とは、固定資産税の価格(評価額)に、地域ごとに決められた倍率(例えば1.1とか1.2など)を乗じて評価する方法です。

 農地や山林、原野もこの倍率方式が採用されています。

 「相続税倍率表」 (←ここをクリック)

 倍率地域の相続税(宅地)評価額=固定資産税評価額×倍率

◆ 相続税の「家屋の評価」

 相続税の家屋の評価は、固定資産税評価額そのものを用います。つまり倍率は1.0です。

 自用の家屋の相続税評価=固定資産税評価額×1.0

 貸家の相続税評価=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

 ※借家権割合…東京国税局管内は30%

 ところで、固定資産税家屋の建築費は、総務省で建築専門家等の作業部会を経て、3年に1度決定されています。

 相続税の解説書では、固定資産税の建築費は市場相場の5割とか6割などと説明されていますが、市場相場に対する割合が最初から決められている訳ではありません。この割合は、結果として認識される「目安」と理解するのが妥当であると思います。

 「参考」 国税庁「土地家屋の評価」 (←ここをクリック)

◆ 不動産取得税の「取得した不動産の価格(課税標準額)」

 土地や家屋を購入したり、家屋を建築するなどして不動産を取得したときに、不動産取得税が課税されます。

 この不動産取得税の「取得した不動産の価格」も固定資産税評価額(正確には「固定資産課税台帳に登録された価格」)とされています。

 平成27年3月31日までに取得した土地及び住宅の税率は3%です。ただし、宅地(住宅のある土地)の場合は1/2の負担調整措置が講じられています。

 宅地の不動産取得税=固定資産税評価額×3%×1/2

 不動産取得税には特例措置、免税点、非課税等の規定があります。また、申告時期などは都道府県(取得した不動産の所在地)によって取扱いが異なる場合があるので、ご注意ください。

 「参考」 神奈川県「不動産取得税のあらまし」 (←ここをクリック)

◆ 登録免許税の「不動産の課税標準額」

 土地や建物の所有権移転登記、建物の所有権保存登記の際に、登録免許税が課税されます。

 土地の所有権移転登記では、「不動産の課税標準額」に1000分の20の税率が乗じられますが、ここでも固定資産税評価額(正確には「固定資産課税台帳に登録された価格」)が用いられます。

 なお、登録免許税も平成27年3月31日まで軽減措置があり、1000分の15とされます。

 土地所有権移転の登録免許税=固定資産税評価額×15/1000

 「参考」 国税庁「登録免許税税額表」 (←ここをクリック)

 不動産の売買では、仲介の不動産業者が諸費用として計算し、司法書士が登記手続きを進めるのが一般的ですので、納税している感覚が無いかもしれません。

 なお、新築建物は未だ固定資産課税台帳に登録された価格が無いため、法務局が定める「新築建物課税標準価格認定基準表」により計算されます。

 「参考」 「新築建物課税標準価格認定基準表」 (←ここをクリック)

◆ 市町村の歳入状況

 市町村のお金の収支は財政状況として表されますが、収入を歳入、支出を歳出と呼びます。

 市町村の歳入はどのようなもので成り立っているのかが、下のグラフ「市町村の歳入状況」で分かります。

 このグラフ(財団法人資産評価システム研究所「固定資産税のしおり」)によりますと、市町村の歳入は、税金(市町村税)のほか、国や県から支出される国県支出金、国税の一部が配分される地方交付税、借入金である地方債などがあります。

 「市町村の歳入状況」 (←ここをクリック)

 「住民税(市町村税)が全体の35%を占めていますが、固定資産税はこの中の重要な税目になっています。。

◆ 都市計画税とは

 そこで、市町村税にはどのような税があるかを示したものが、次のグラフです。

 「固定資産税は市町村の基幹税」 (←ここをクリック)

 ここにあるように、固定資産税44%、市民税43%、都市計画税6%、たばこ税4%、その他3%となっています。

 ところで都市計画税ですが、市街化区域内に所在する土地と家屋の所有者に課税される目的税(都市整備の費用に充てられる税)で、固定資産税と併せて課税されています。

 税額は0.3%で、固定資産税の価格を元に計算されますが、計算方法が少し異なります。

 今回は、固定資産税の課税明細書の都市計画税の求め方を紹介します。

 「課税明細書(小規模住宅用地)」 (←ここをクリック)

 まず、⑦の「価格」19325697円は地価公示水準の7割です。

 次に「面積」⑥160㎡は200㎡以下の小規模住宅用地になりますので特例減額が適用され、固定資産税は1/6であったところ、都市計画税は1/3の特例減額になります。

 したがって、⑦「価格」19325697円÷3=⑪「本則課税標準額」6441899円となります。

 負担水準は「前年度課税標準額」÷「本則課税標準額」ですが、これは固定資産税の割合が適用されます。つまり③の93%で、⑨「前年度課税標準額」が据え置かれることになります。

 ※これは平成25年度の例ですのでご注意ください。26年度からは異なります。

 最終的に税額を求める額は⑬「都市計画課税標準額」は⑨と同じ額6362896円となり、これに税率0.3%を乗ずると⑮「都市計画税相当額」19088円となります。

 最後に、都市計画税は、端数処理されて19,000円となります。

◆ 固定資産税が基幹税と言われる意味

 ところで、なぜ固定資産税が基幹税と言われるのでしょうか。

 ここでは広い意味で都市計画税を含めて固定資産税と捉えますと、固定資産税は市町村税の中で50%(本来の固定資産税44%、都市計画税6%)を占めています。

 固定資産税は市民税と並んで、市町村歳入の大きな部分を占めていますが、これが固定資産税が基幹税と言われる一つの理由です。

 それと市民税が景気に左右されがちであるのに比べて、固定資産税はさほど景気に左右されない安定的な財源になっています。

 この二つの意味で、固定資産税は市町村の基幹税と言われています。

◆ 固定資産税は都道府県でも課税される

 固定資産税は本来市町村税ですが、一部は都道府県でも課税されています。

 これは、あまり知られていませんが、一定の限度額を超える大規模償却資産(固定資産税)は都道府県で課税されています。

 大規模の償却資産が一つの市町村に偏ることを是正する「税源の偏在を是正する」のが目的で、その市町村の存する都道府県が課税します。

 代表的な資産としては、船舶、航空機、鉄軌道などがあります。

 また東京23区の固定資産税は、東京都(都税事務所)が全面的に評価・課税しています。

 さらに、固定資産の評価額(価格)は、固定資産税を課税する目的以外にも用いられています。

固定資産税の見直し・引下げ

エース鑑定コンサルティング(株)

エース鑑定不動産

カテゴリー

プロフィール


Author:エース鑑定コンサルティング株式会社
代表取締役・鈴木彰
【仕事】不動産鑑定業、宅地建物取引業
【資格】不動産鑑定士、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引主任、マンション管理士
【経歴】次をクリック
代表プロフィール
【連絡・問合せ】 
080-5432-5089
akky2411@gmail.com

カウンター

  • 441457総閲覧数:
  • 484今日の閲覧数:
  • 222昨日の閲覧数:

最近の投稿