» 2013 » 9月のブログ記事

◆ 地積の認定は登記簿主義

 土地の地目の認定は、実地調査で判断できるため、現況主義を採用します。

 これに対して、土地の面積は見ただけでは分からないことから、実測しなければ判断できません。

 しかし、全国のしかも分合筆も頻繁に行われる土地すべてを役所で実測することは、時間的にも技術的にも難しいと言わざるをえません。

 したがって、固定資産税の地積の認定においては、登記簿主義を採用しています。

◆ 登記簿主義の例外

 土地の面積の認定は登記簿主義が原則ですが、例外として現況地積を認めています。

 例えば、登記簿地積が500㎡で長年課税されていたものの、実際に測量してみたら400㎡しかなかった。測量図面もあるので、400㎡で課税できないか、というような場合です。

 結論としては、測量図が正しいものであれば、400㎡を課税すべき土地の面積として、例外的に認定することになります。

 土地の面積を例外的に現況で認める場合、二つの場合が考えられます。

① 登記簿地積>現況地積の場合(いわゆる「縄縮み」)。上の場合がこれに当たります。この場合は「現況地積による」例外認定になります。

② 登記簿地積<現況地積の場合(いわゆる「縄延び」)。この場合は「現況によることができる」例外認定になります。

 ①の場合は「現況地積による」で、②は「現況地積によることができる」(ただし、登記地積によることが著しく不適当な場合に限る)と表現が異なっています。

 この規定は固定資産評価基準にありますが、②を分かりやすく言えば「登記簿より実際の土地の面積が大きくても、ある程度の面積差であれば登記簿面積(そのまま)でいいですよ」ということです。

※固定資産評価基準

 第1章(土地)第1節(通則)二(地積の認定)

 各筆の土地の評価額を求める場合に用いる地積は、次に掲げる場合を除き、原則として、登記簿に登記されている土地については登記簿に登記されている地積によるものとし、登記簿に登記されていない土地については現況の地積によるものとする。

1 登記簿に登記されている土地の登記簿に登記されている地積が現況の地積よりも大きいと認められる場合における当該土地の地積は、現況の地積によるものとする。

2 登記簿に登記されている土地の現況の地積が登記簿に登記されている地積よりも大きいと認められ、かつ、登記簿に登記されている地積によることが著しく不適当であると認められる場合においては、当該土地の地積は、現況の地積によることができるものとする。

 土地を売るときならいざしらず、所有者自らが固定資産税当局に「自分の土地は登記簿面積より大きいです」と申し出る人はいないと思いますが、仮にそうであっても、②の場合は「現況地積によることができる」のです。

 「地積認定の原則と例外」 (←ここをクリック)

 これは、土地の所有者(納税者)にとって有利な取扱いで、このような考えを「納税者有利の原則」と呼ばれています。

 地方税法や税制度には、このような「納税者有利の原則」による考え方が貫かれています。

◆ 「縄延び」「縄縮み」とは

 「縄延び」という用語は、中世から近世にかけて行われた検地の際に、年貢の負担を軽くするため、実際よりも長めに目盛りを記した縄を使って、地積を小さめに測量したことに由来します。

 長めに目盛りを記せば、実際には1mあるものも、例えば80cmになる訳で、地積が小さめに登録されました。

 明治政府の土地台帳作成の際も、税金の負担を軽くするため、実測面積よりも少なく申告することが多く行われました。

 現在の登記制度も、旧土地台帳制度の地積が表題部に移記された経緯があり、当時の測量の成果が引き継がれている部分があるためです。

 一方「縄縮み」の方は、地主が小作人に小作料を多く納めさせるため、あるいは市街地で売買代金を高くするために故意に公簿面積を大きくした等の説があります。

◆ 地目は土地の利用面から分類

 1号で書いたように、固定資産税の種類は、土地、家屋、償却資産の3つです。

 当面は土地についての連載となりますので、まず固定資産税の土地とは何かということです。

 地方税法341条2項では、「土地とは、田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、山林、牧場、原野その他の土地をいう」とされています。

 ここでお分かりのように、地方税法では「土地とは何か」という積極的な定義がされているのではなく、土地の利用面からの分類、すなわち土地の地目を掲げた定義となっています。

 固定資産税の土地の評価は地目ごとに行います。したがって、当然、固定資産評価基準にも地目が定められています。

 固定資産評価基準(土地の評価の基本)

 「土地の評価は、次に掲げる土地の地目別に……田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、雑種地」

 上の地方税法の定義と比べると、若干の違い(塩田が無くなって池沼が入っている)がありますが、ほぼ同じ地目となっています。

 この中で中心となる地目は、宅地、田、畑、山林あたりですが、もう一つ雑種地、実はこれが固定資産税評価の中ではかなり重要な地位を占めています。

 ところで、地方税法と固定資産評価基準では地目の意義の定義がされていません。

 固定資産税の地目の意義は、不動産登記法の地目の定義と同じ、具体的には不動産登記事務取扱手続準則の定めるとおりとされています。

 そこで、参考までに不動産登記法の地目を掲げます。

 不動産登記法の地目…田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地

 固定資産税の地目は9種類ですが、不動産登記法はそれよりはるかに多い23種類です。

 ここで、例えば「宅地」という同一の地目がありますが、それは基本的に同じものと考えて差し支えありません。つまり、その分、固定資産税の雑種地の役割が大きいことになります。

 例えば、固定資産税のゴルフ場用地や鉄道用地などは雑種地に含まれることになる訳です。

◆ 不動産鑑定評価での土地の種別

 不動産鑑定評価では、土地の種別(地目とは言いません)は、その属する地域の種別に応じて分類される土地の区分となります。

 土地の種別は宅地、農地、林地、見込地、移行地に分けられます。

 これらは、さらに地域の種別の細分化に応じて、例えば宅地でしたら、住宅地、商業地、工業地等に細分されます。

 例えば、市街化区域で駐車場に利用されている土地は、固定資産税評価では雑種地評価ですが、不動産鑑定評価では宅地評価を行うことになります。

 もちろん、いきなりそう決めるのではありません。

 不動産鑑定評価では、一般的要因を始めとして、地域要因及び個別的要因を分析した上で、その土地の最有効使用が住宅用の土地と判断される、という手順を経る必要があります。

◆ 地目の認定は現況主義

 固定資産税の土地評価上の地目の認定は、現況の地目によります。

 では、土地の地目が登記簿と現況が異なる場合は、どうなるのでしょう。

 例えば、登記簿上の地目が公衆用道路となっているのに、実際には家屋が建っている土地の場合です。

 この土地の固定資産税の地目は、現況主義によって「宅地」と認定されます。

 このような現況主義は、土地の面積は現地調査で見ただけでは判断できませんが、地目は現地調査で認定することが比較的容易であるからです。 

 ところで、固定資産税を担当する市町村の職員は、どの程度の実地調査を行っているのでしょうか。

 地方税法408条に(固定資産税の実地調査)が規定されています。

 「市町村長は、固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少なくとも一回実地にさせなければならない。」

 「固定資産評価員」及び「固定資産評価補助員」とは、いずれも市町村の固定資産税を担当する職員のことですが、「評価補助員」は担当者全員がなります。また、「評価員」はそのセクションの長があたるのが普通ですが、その市町村の議会での同意が必要とされています。(「評価員」が置かれていない市町村もあります。)

 一般的に、固定資産の実地調査は、申請や問題がある都度行う「随時調査」と、所管地域を一斉に行う「定期調査」が考えられますが、408条は「定期調査」に係る規定です。

 土地の評価替えは三年に一度であるため、実務上は三年単位で評価替えスケジュールが組まれ、「定期調査」もこの中で組み込んで行われるのが一般的ではないかと思います。

 これまで大規模画地の固定資産税評価と不動産鑑定評価を紹介しましたが、では相続税評価ではどうなるのでしょうか。

 相続税評価では、その画地が「広大地」に該当するのかどうかで大きな違いが生じます。

◆ 大規模画地が存する条件

 仮に、画地が次の地域条件に存在することを想定します。(10号の再掲)

 [地域条件等の設定]

・ 用途地域   第1種低層住居専用地域

・ 建ぺい率 50% ・ 容積率 100%

・ 接面道路 4m公道  ・ 面積 850㎡

・ 固定資産税路線価 200000円/㎡

 そして、この大規模画地を有効活用する場合の分割例です。

 「大規模画地の分割例」 (←ここをクリック)

◆ 広大地の評価方法

 広大地の評価方法は、財産評価基本通達(24—4)により、次の算定式が定められています。

   広大地の評価=正面路線価×広大地補正率×地積

   広大地補正率=0.6-0.05×(地積/1000㎡) 

 ただし、広大地評価が認められるには、次の3要件を備えていることが必要です。

(1)その土地が標準的画地に比して著しく地積が大きいこと。

 ※三大都市圏では、500㎡以上とされています。

(2)その土地の最有効使用が戸建分譲素地であること。

(3)その土地を戸建分譲地として開発するに当たり、開発道路等の公共公益的施設用地の負担を要すること(いわゆる「潰れ地」ができること)

 ※ 「相続税の広大地」については、改めて特集を行う予定です。

◆ 具体的な計算

 まず、上の例が3要件に該当するかどうかを検討します。

 設定条件では、①850㎡ですので500㎡以上である②用途地域が第1種低層住居専用地域であり戸建分譲に適する地域である③大規模画地の分割例のとおり「潰れ地」が生じる。

 以上からこの画地は広大地に該当することになります。

 参考までに、固定資産税路線価が200000万円/㎡ですので、これを相続税路線価の水準に換算しますと、200000÷0.7×0.8=228000円/㎡となります。

 広大地補正率ですが、0.6-0.05×(850/1000)=0.56(▲44%)となります。

 固定資産評価基準で計算した減価が▲4%でしたので、相当の開差があることが分かります。

◆ 市町村の「所要の補正」

 固定資産税評価の場合、市町村単位で「所要の補正」が定められ、大規模画地の補正率が定められている自治体もあります。

 参考までにN市の「所要の補正」を紹介します。

 「N市大規模画地補正率表」 (←ここをクリック)

 このN市の「所要の補正」でも、普通住宅地区では3000㎡を超える土地が大規模画地として補正が行われるとされています。

 そうしますと、面積850㎡程度の画地は大規模画地の範囲には入らないということになります。

 つまり、固定資産税評価の場合は、大規模画地を絶対的規模格差と捉える傾向が強いようです。

 不動産鑑定評価や相続税の広大地評価の場合は、大規模画地を相対的規模格差と捉えますので、この点は、固定資産税評価と異なります。

 ただし、N市ではこのようになっていますが、大規模画地の市町村の「所要の補正」は千差万別です。

 市町村によっては、大規模画地を相対的規模格差と捉えている場合もあるようです。

 今まで、固定資産税(土地)の複雑な仕組みを解説してきましたが、これはけっして他人事ではありません。

 なぜなら、毎年送られてくる納税通知書及び課税明細書にその複雑さが記載されているからです。

 しかし、次に掲げる課税明細書の見本と以下の説明を照らしていただければ、固定資産税の複雑な仕組みも恐れるに足りずです。

◆ 課税明細書とは

 毎年4月に固定資産税の納税通知書とともに、課税明細書が送られてきます。

 課税明細書の様式は市町村により多少異なりますが、記載事項はほぼ同じものです。

 ここに土地の小規模住宅用地の課税明細書を掲げます。

 「課税明細書(小規模住宅用地)」 (←ここをクリック)

◆ 固定資産税の計算

 小規模住宅用地の仕組みは複雑ですが、上記の課税明細書の例にしたがって計算します。(平成25年度の例です)

 まず、この土地の「価格」は⑦に記載されていて、19325697円と分かります。

 この土地の面積は⑥の「課税地積」になり、160㎡とあります。

 平米単価は19325697円÷160㎡で約120000円/㎡となります。

 固定資産税の土地の価格は、地価公示価格(市場の取引水準)の7割ですので、ここから逆に地価水準を知ることができます。120000÷0.7で約170000円/㎡です。

 面積160㎡は200㎡以下の小規模住宅用地ですので、⑦の「価格」を1/6にした価格が「本則課税標準額」⑩の3220949円になります。

 次に「負担水準」を求めますが、「負担水準」は「前年度課税標準額」⑧÷「本則課税標準額」⑩で③の93%になります。

 平成25年度の例ですから、93%は据置ゾーンで「今年度課税標準額」⑫は「前年度課税標準額」⑧と同じ3020000円となります。

 「小規模住宅用地の負担水準」 (←ここをクリック)

 最後に、固定資産税の税額は「今年度課税標準額」⑫の3020000×1.4%を乗じて「固定資産税相当額」⑭の42280円が求められます。

 実際の税額は、端数処理をして42,200円となります。

 ※ 都市計画税は、⑦を1/3にする以外は⑨、⑪、⑬、⑮と同様の計算方法により求めることができます。

◆ 大規模画地の価格形成要因

 ところで、大規模画地とはどのような土地を指すのでしょうか。

 大規模画地は、面大地や広大地(相続税での呼称)とも言われます。

 これには、画地規模が社会通念上絶対的に大きい場合と標準的画地規模と比較して相対的に大きい場合が考えられます。

 不動産鑑定評価の場合は、用途別に標準的画地規模を想定し、それとの比較で大規模画地を考えるという相対的な概念として把握するのが一般的です。

 土地の規模が価格へ影響する要因として、質的要因と量的要因が考えられます。

◆ 規模格差の質的問題

・潰地等……前号の大規模画地の分割例(下図)のように、標準的画地に分割利用した場合、道路が必要となりますし、更に大きな画地では公園等の公共潰地が生じます。また、造成工事費や負担金等も生じて標準的画地規模よりも価格が下がります。

 「大規模画地の分割例」 (←ここをクリック)

・用途の多様性、高度利用……規模が大きい場合は、高層マンション、店舗・レジャー施設、学校等への用途の多様性、高度利用が可能となります。

◆ 規模格差の量的問題(市場性の問題)

 不動産を購入する場合は、総額が予算の範囲内であることが必要になります。

 この場合、単価と総額の問題とも関連してきます。例えば、総額が張るから割安になる、総額が小さいから買い易く割高になるなどです。

 しかし、一般的には総額が大きくなると、個人では手が出ないという面から買い手が限定される、つまり市場性が狭くなる傾向があります。

 もちろん、地価動向や景気状況とも関係する問題でもあります。

◆ 固定資産税の「所要の補正」

 固定資産税の評価は、固定資産評価基準により全国的に一元化されるとともに、市町村ごとに「所要の補正」が定められています。

 この大規模画地に係る土地の「規模格差補正」を「所要の補正」として定めている市町村は全国的に1割にも満たないのではないかと思われます。(平成15年当時で5%弱)

 「所要の補正」は市町村ごとに「◯◯市土地評価事務取扱要領」で定められています。

 固定資産評価基準では、大規模画地の規模格差補正率は定められてはいません。

 資産評価システム研究センターでは、何回かこのテーマで研究会が行われていますが、土地の規模格差については「奥行価格補正率」で足りている、との見解が出されています。

 「奥行価格補正率表」 (←ここをクリック)

 しかし、 市町村単位で「所要の補正」として、大規模画地補正率が定められている場合においても、例えば普通住宅地区では「面積が3000㎡以上の場合に適用される」などで、この例のような850㎡程度の面積では適用されないことになります。

◆ 固定資産税の画地計算の方法

 今回と次号で、固定資産税評価の画地計算の具体的な方法を紹介するとともに、面積が大きい土地(大規模画地)がどの程度の減価になるか、その上で不動産鑑定評価ではどの程度の減価になるかを比較します。

 まずは次のような大規模画地850㎡を想定します。

 この地域の標準的画地は120㎡とします。

 [地域条件等の設定]

・ 用途地域   第1種低層住居専用地域

・ 建ぺい率 50% ・ 容積率 100%

・ 接面道路 4m公道  ・ 路線価 200000円/㎡

 「大規模画地の例」 (←ここをクリック)

 まず、標準的画地の画地計算を行います。

 画地計算の基本は、路線価×奥行価格補正×間口狭小補正×奥行長大補正です。

 200000円/㎡×奥行価格補正1.00(普通住宅地区の12m)×間口狭小補正1.00(普通住宅地区の10m)×間口狭小補正1.00(奥行/間口1.2(2未満))×120㎡=24000千円。

 「奥行価格補正率表(固定資産税)」 (←ここをクリック)

 ※奥行価格補正とは…宅地の価格は、道路からの距離が長くなるにしたがって、また、奥行が著しく短くなるにしたがって減価するため、奥行距離に応じて補正します。

 「間口狭小・奥行長大補正率表(固定資産税)」 (←ここをクリック)

 ※間口狭小・奥行長大補正とは…間口が一定限度以下の狭小な宅地、又は奥行と間口の関係が不均衡な状態にある画地は、宅地本来の効用を果たすことが困難なため利用価値が減少します。

 次に、大規模画地の画地計算です。

 200000円/㎡×0.96(奥行34m)×1.00(間口23.5m)×1.00(奥行/間口1.4<2)×850㎡≒163000千円。

 この結果から、固定資産評価基準の補正率のみの適用では、大規模画地は標準的画地と比べて、単価で▲4%減価するのみです。

 もっとも、「所要の補正」により、「大規模画地の補正率」を定めている市町村もあります。その場合は、上記とは異なる評価となりますのでご注意ください。

◆ 大規模画地の活用例

 設定条件により、この地域は第1種低層住居専用地域の建ぺい率50%、容積率100%、標準的画地(面積)120㎡ですから、標準的使用は戸建て住宅用の敷地です。

 では、大規模画地はどうでしょうか。

 アパート建築が不可能ではありませんが、この土地を最も有効に活用する方法は120㎡程度の土地を6画地に分割して使用することと考えられます。鑑定評価で言う最有効使用の考え方です。

 「大規模画地の分割例」 (←ここをクリック)

 この画地分割の例では、6画地を有効な宅地として配置するためには、通路を設ける必要があります。(厳密には隅切りも必要です。)

 例えば、標準的画地を価値100とした場合、4m公道に接している2宅地はおおよそ105、中間画地の2宅地は90〜95、奥の2宅地は75〜80程度というところでしょうか。(これは、おおまかな査定で正式な鑑定評価ではありません。)

 ところで、3大都市圏では面積が500㎡以上になると、開発行為となり、それなりの手続き等も必要となります。

 また、総額が大きくなると、個人ではなかなか買うのが難しく、開発業者が主な購入者となります。そうなりますと、市場流通性性が狭く(劣ることと)なり、実際の市場取引では、土地の単価はかなり減価されるのが通常です。

 不動産鑑定評価でこの大規模画地を評価した場合、「規模が大きい」減価は▲ 20〜30%と考えられます。

 (次号に続きます)

◆ 小規模住宅用地の負担調整措置

 固定資産税の税額は、その年の課税標準額に税率を掛けて求めます。

 税率は、固定資産税が標準税率1.4%、都市計画税が制限税率(上限)0.3%とされ、市町村の条例で多少これと異なる税率もあります。

 問題は、課税標準額をどのように算出するかです。

 商業地の負担調整措置の仕組みを紹介しましたが、固定資産税の仕組みとして、負担調整措置という複雑な仕組みが設けられています。

 今回は小規模住宅用地の負担調整措置の仕組みを紹介します。

 次の「小規模住宅の負担水準」(概念図)をご覧ください。

 「小規模住宅用地の負担水準」 (←ここをクリック)

 その年の課税標準額を求めるには、本則課税標準額に対する前年度の課税標準額の割合(これを負担水準と言います)を求め、その割合に応じて対応が変わってきます。

 固定資産税の価格は地価公示価格の7割です。商業地の場合は、価格=本則課税標準額でしたが、住宅用地の場合はそうなっておらずに、200㎡までが小規模住宅用地で1/6,200㎡を超える部分が1/3を乗じたものが本則課税標準額になります。すなわち価格が本則課税標準額と一致しません。

◆ 平成25年度の仕組み(経過措置)

 次に負担水準を求めますが、概念図にあるとおり、平成25年度(経過措置)と平成26年度以降とでは対応がやや異なります。

 まず平成25年度の場合ですが、負担水準の割合が90%を超えていれば、24年度のままの課税標準額どおり据置く、つまり同じ税額になります。また90%未満ですと、「24年度課税標準額+25年度本則課税標準額の5%」で求めた額が25年度の課税標準額となります。

◆ 平成26年度以降の仕組み

 次に、平成26年度以降は新しい仕組みに変わります。90%以上の据置措置が廃止され、本則課税標準額一本に合わせていくことになります。つまり、「前年度課税標準額+本則課税標準額の5%」が本則課税標準額を上回る場合は本則課税標準額とし、下回る場合は本則課税標準額に達するまで上げていくことになります。

 平成26年度以降このような仕組みに変える背景としては、住宅用地の負担の均衡化がかなり進んできたということがあります。平成6年度から間もなく20年、住宅用地はようやくゴールの姿が見えてきたと言えます。

◆ 小規模住宅用地の特例

 住宅用地のうち200㎡以下のものは、固定資産税の本則課税標準額が1/6になります。これを小規模住宅用地の特例と言います。

 これが200㎡を超える部分は単に住宅用地と言い、本則課税標準額は1/3になります。

 例えば、300㎡の土地に居住用の家屋(専用住宅)が建っている場合は、200㎡までが1/6、残りの100㎡が1/3となります。

 「住宅用地の減額特例」 (←ここをクリック)

 本則課税標準額とは、本来は原則として価格と同じになります(商業用地ではそうです)が、住宅用地の場合は価格に特例率(1/6、1/3)を乗じた額になります。

 価格は地価公示価格の7割ですから、小規模住宅用地は0.7÷6≒0.12となり地価公示価格ベースで約1.2割、住宅用地が約2.3割となります。(商業用地は4.9割)

 土地の固定資産税の仕組みは複雑で、本則課税標準額のほかに単に課税標準額という用語も出てきます。課税標準額とは、実際の税額を計算するための基礎となる額で、原則として前年度の課税標準額に負担調整措置を適用して求められた額です。

◆ アパートは部屋ごとに適用

 住宅用地の特例は、アパートの場合は部屋ごとに特例率が適用されます。

 1棟の家屋内に世帯が独立して生活を営む部分が2以上の場合は、区画された部分がそれぞれ住居となるからです。

 例えば、500㎡の土地に8戸(部屋)の2階建てアパートがあるとします。この場合は、1戸ごとに200㎡相当が1/6になりますので、8戸×200㎡=1600㎡までが1/6になり、500㎡すべてが1/6になります。

 「アパートの減額特例」 (←ここをクリック)

◆ 住宅用地は申告が義務づけ

 固定資産税は、役所が一方的に評価し課税する、これを賦課課税と言います。(相続税は申告に基づいて課税される申告課税です。)

 おそらく、土地は先祖代々から、家屋は新築以来、特に申告しなくても課税されているのではないでしょうか。

 ところが、(小規模)住宅用地は、役所が把握しきれないことから、土地所有者に住宅用地かどうかを申告させることができるとされています。(地方税法384条)

 具体的には、市町村の条例で義務づけられています。

 ※ 参考—Y市市税条例 第○条

 「住宅用地の所有者は、毎年1月1日現在におけるその住宅用地について、次に掲げる事項を、1月31日までに市長に申告しなければならない。…

(1)住宅用地の所有者の住所及び氏名または名称

(2)住宅用地の所在及び地積

(3)住宅用地の上に存する家屋の所在、所有者、種類、構造、床面積、居住の用に供する部分の床面積及び居住の用に供した年月日並びにその上に存する住居の数

(4)その他市長が必要と認める事項

 例えば、アパート敷地の隣に駐車場があるとします。そして、この駐車場の利用者は全員がアパートの住人としますと、この場合、アパートの敷地とともに、駐車場の敷地も(小規模)住宅用地の特例の対象になります。

 ところが、役所では現地調査だけではアパート住人が利用する駐車場かどうか分からないため、土地所有者に申告を義務づけ(申告書を送付)ています。

◆ 申告が無いと特例が適用されないか

 申告があれば(小規模)住宅用地を適用されますが、申告が無いと適用されないというケースが実際にあります。

 事実、筆者も相談を受けたことがあります(筆者出身市以外の自治体です)。

 ここで問題となるのは、そもそも固定資産税は申告が無くても評価され課税される賦課課税ではなかったのか。それなのに、(小規模)住宅用地は「申告が無いと特例が適用されないのはおかしいのではないか」ということです。

 役所の担当者からすると「申告書を送ったのに、申告が無かったので適用していない」、これに対して納税者は「そもそも固定資産税は申告は関係ないのではないのか」と主張します。

 さて、どちらが正しいのでしょうか。

 この問題も裁判で争われていまして、下級審ですが判例があります。

 平成4年2月24日の浦和地裁は、「申告がないからといって、減額特例を適用しないとすることが許されるものでないことは課税の当局者にとって見易い道理である」との判決が出されています。

 そして平成18年大阪高裁では、やはり行政側に過失があるとしながらも、納税者にも正当な理由なく申告をしなかったことにも過失を認め、3割の過失相殺を認めています。

 実は、この下級審ではありますが、浦和(現さいたま)地裁の判決は大きな衝撃を呼びました。それは、「国家賠償法による損害の賠償」を認めたからです。(この件は「冷凍倉庫の最高裁判決」の中で紹介します)

◆ 市街地宅地評価法(路線価方式)

 市街地宅地評価法は、主に都市部の住宅が密集した地域における、土地の固定資産評価に用いられるもので、路線価方式とも言われます。

 路線価方式は、道路1本ごとに価格をつけ、1つの同じ道路に接する土地について、すべて同一路線価から計算する方法です。

 この方式は、短時間に大量の土地評価ができること、評価後の価格に大きなばらつきが出ずに公平な課税が可能であること、地域ごとの評価バランスがとりやすいこと、などの利点があります。

 まず宅地を用途地区別に区分し、その用途地区内で街路の状況、公共施設等の近接の状況、宅地の利用状況等からみて価格事情がおおむね同等と認められる地域(状況類似地域)ごとに区分します。

 次に、主要な街路に接する標準的な1㎡当たりの適正な時価に基づいて、街路ごとに路線価を付設し、これを基礎として画地計算を行って、それぞれの土地の評点を求めます。

 ここに、「市街地宅地評価法の流れ」と「路線価方式の画地計算」を掲げますので、参考にしてください。

 「市街地宅地評価法の流れ」 (←ここをクリック)

 「路線価方式の画地計算」 (←ここをクリック)

◆その他の宅地評価法(標準宅地比準方式)

 主に市街地的形態を形成していない地域における宅地(いわゆる村落地域)の評価は、原則としてこの「その他の宅地評価法」によります。

 道路ごとに路線価を付設せずに、状況類似地区の区分とその中で標準宅地を選定し、土地の宅地比準を行い求める方法です。

 横浜市内では、市街化調整区域内でも路線価方式を採用されていますが、筆者が県内のある町(自治体)へ鑑定の現地調査で訪れたとき、比較的に市街地的形態をなしている地域でも「その他の宅地評価法」を採用していたので驚いたことがありました。

 宅地の価格事情がほぼ同等で広域に亘るため、路線価を付設する必要性が無い等から路線価方式を採用しない訳ですが、(数年前の調査ですが)全国の市町村の8〜9割で「その他の宅地評価法」を採用しているとのことです。

 路線価方式であれば、路線価からある程度の価格水準を知ることができる(路線価を0.7で割り戻す)などメリットがあります。

 路線価方式への移行を検討している市町村も多いと聞きますが、移行時に相当な負担がかかる等の課題もあるようです。

 もちろん「その他宅地評価法」が適している市町村もありますので、その市町村の実態に合う方法を採用される必要はあります。

◆ 市町村の「所要の補正」

 市町村では、固定資産評価事務の取扱規程として、評価事務取扱要領を定めていますが、「所要の補正」は、この市町村ごとの取扱要領で定められています。

「所要の補正」とは、市街地宅地評価法における画地計算法の附表、つまり補正率の適用において、評価の均衡を図るため、個別の画地ごとに補正を行うことです。 (「その他の宅地評価法」では比準表の補正になります。)

 「所要の補正」の根拠は、固定資産評価基準にあります。

 固定資産評価基準第3節「宅地-各筆の宅地の評点数の付設」

 「各筆の宅地の評点数は、路線価を基礎とし、「画地計算法」を適用して付設するものとする。この場合において、市町村長は、宅地の状況に応じて、必要があるときは、「画地計算法」の附表等について、所要の補正をして、これを適用するものとする。」

 「所要の補正」の例としては、財団法人資産評価システム研究センター「土地評価に関する調査研究」(H16年度)によると、次のようなものがあります。

(「所要の補正」例)

 接面街路との高低差や構造等、水路を介して道路に接する宅地、横断歩道橋が設置、鉄軌道からの騒音振動、急傾斜地、地下阻害物のある宅地、地上阻害物のある宅地、私道部分の土地、面積が狭小あるいは広大な土地…。

 固定資産評価基準の附表は10数項目ですが、市町村によっては、それより多い「所要の補正」が定められているのが普通です。

 ところで、この土地評価事務取扱要領は、非公開文書にはされていない筈ですので、市町村の担当窓口で見せてもらうことが出来ると思います。 (ホームページで公開している市町村もあります。)

 自分の固定資産税はどのように評価されているのか、その根拠は何かなど関心を持つことは非常に大切です。

 それを「納税者の協力」と言うかどうかは別としても、固定資産税は役所が一方的に評価・課税する賦課課税です。

 この賦課課税制度にあっては、納税者の協力があってこそ適正な評価・課税が実現できるのです。

 この考えは筆者個人の考えではなく、固定資産税行政を担うものの共通の思いであると信じたいと思います。

固定資産税の見直し・引下げ

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