◆ 小規模住宅用地の特例

 住宅用地のうち200㎡以下のものは、固定資産税の本則課税標準額が1/6になります。これを小規模住宅用地の特例と言います。

 これが200㎡を超える部分は単に住宅用地と言い、本則課税標準額は1/3になります。

 例えば、300㎡の土地に居住用の家屋(専用住宅)が建っている場合は、200㎡までが1/6、残りの100㎡が1/3となります。

 「住宅用地の減額特例」 (←ここをクリック)

 本則課税標準額とは、本来は原則として価格と同じになります(商業用地ではそうです)が、住宅用地の場合は価格に特例率(1/6、1/3)を乗じた額になります。

 価格は地価公示価格の7割ですから、小規模住宅用地は0.7÷6≒0.12となり地価公示価格ベースで約1.2割、住宅用地が約2.3割となります。(商業用地は4.9割)

 土地の固定資産税の仕組みは複雑で、本則課税標準額のほかに単に課税標準額という用語も出てきます。課税標準額とは、実際の税額を計算するための基礎となる額で、原則として前年度の課税標準額に負担調整措置を適用して求められた額です。

◆ アパートは部屋ごとに適用

 住宅用地の特例は、アパートの場合は部屋ごとに特例率が適用されます。

 1棟の家屋内に世帯が独立して生活を営む部分が2以上の場合は、区画された部分がそれぞれ住居となるからです。

 例えば、500㎡の土地に8戸(部屋)の2階建てアパートがあるとします。この場合は、1戸ごとに200㎡相当が1/6になりますので、8戸×200㎡=1600㎡までが1/6になり、500㎡すべてが1/6になります。

 「アパートの減額特例」 (←ここをクリック)

◆ 住宅用地は申告が義務づけ

 固定資産税は、役所が一方的に評価し課税する、これを賦課課税と言います。(相続税は申告に基づいて課税される申告課税です。)

 おそらく、土地は先祖代々から、家屋は新築以来、特に申告しなくても課税されているのではないでしょうか。

 ところが、(小規模)住宅用地は、役所が把握しきれないことから、土地所有者に住宅用地かどうかを申告させることができるとされています。(地方税法384条)

 具体的には、市町村の条例で義務づけられています。

 ※ 参考—Y市市税条例 第○条

 「住宅用地の所有者は、毎年1月1日現在におけるその住宅用地について、次に掲げる事項を、1月31日までに市長に申告しなければならない。…

(1)住宅用地の所有者の住所及び氏名または名称

(2)住宅用地の所在及び地積

(3)住宅用地の上に存する家屋の所在、所有者、種類、構造、床面積、居住の用に供する部分の床面積及び居住の用に供した年月日並びにその上に存する住居の数

(4)その他市長が必要と認める事項

 例えば、アパート敷地の隣に駐車場があるとします。そして、この駐車場の利用者は全員がアパートの住人としますと、この場合、アパートの敷地とともに、駐車場の敷地も(小規模)住宅用地の特例の対象になります。

 ところが、役所では現地調査だけではアパート住人が利用する駐車場かどうか分からないため、土地所有者に申告を義務づけ(申告書を送付)ています。

◆ 申告が無いと特例が適用されないか

 申告があれば(小規模)住宅用地を適用されますが、申告が無いと適用されないというケースが実際にあります。

 事実、筆者も相談を受けたことがあります(筆者出身市以外の自治体です)。

 ここで問題となるのは、そもそも固定資産税は申告が無くても評価され課税される賦課課税ではなかったのか。それなのに、(小規模)住宅用地は「申告が無いと特例が適用されないのはおかしいのではないか」ということです。

 役所の担当者からすると「申告書を送ったのに、申告が無かったので適用していない」、これに対して納税者は「そもそも固定資産税は申告は関係ないのではないのか」と主張します。

 さて、どちらが正しいのでしょうか。

 この問題も裁判で争われていまして、下級審ですが判例があります。

 平成4年2月24日の浦和地裁は、「申告がないからといって、減額特例を適用しないとすることが許されるものでないことは課税の当局者にとって見易い道理である」との判決が出されています。

 そして平成18年大阪高裁では、やはり行政側に過失があるとしながらも、納税者にも正当な理由なく申告をしなかったことにも過失を認め、3割の過失相殺を認めています。

 実は、この下級審ではありますが、浦和(現さいたま)地裁の判決は大きな衝撃を呼びました。それは、「国家賠償法による損害の賠償」を認めたからです。(この件は「冷凍倉庫の最高裁判決」の中で紹介します)

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大変、有意義に拝見させて頂いています。

 固定資産税が1/6になる小規模住宅用地の特例ですが、
1人で2軒の住宅を別の土地に所有してる場合でも、2軒とも適用されると認識しているのですが、間違っていないでしょうか。
 
 
 
 
 

木村様

 そのとおりです。

 1人が2軒の住宅を別の土地に所有している場合でも、住宅用の敷地であれば2つの土地はそれぞれ200㎡以下は1/6に減額されます。

                           鈴木

うちの土地は少しややこしくて七筆あります。
旗竿地で7筆全部合わせると
市道に繫がりますので、
実際に家のある1筆だけでは
市道には繫がらないため建築基準にひっかかります。
うち4筆は地目上、公衆道路です。
家のある1筆は雑種地、他2筆は宅地です。
この場合、住宅地として申告するのは
実際家のある土地のみの方が宜しいのでしょうか?
公衆道路は公衆道路として残しておいたほうが
固定資産税としては抑えられるでしょうか?
土地は7筆すべて合わせると120坪、
家のある土地だけですと80坪程度です。
宜しくお願いいたします。

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固定資産税の見直し・引下げ

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